雇用保険の各種給付について

産休・育休手当の全制度解説|出産手当金・一時金・育休給付金の条件・金額・計算方法

更新日:

子供が生まれるとき、国(正確には健康保険・雇用保険)から受け取れるお金は大きく3つあります。

ただし、この3つは「名前が似ている」「支給元が違う」「振り込まれる時期がバラバラ」という特徴があり、初めての方ほど混乱しやすい制度です。

この記事では、2026年2月時点の最新制度にもとづき、誰がもらえるのか・いくらもらえるのか・条件は何かを、できるだけわかりやすく整理します。

この記事では「制度の仕組み・条件・計算方法」を網羅して解説しています。

「いつお金が入るか不安」「無収入期間をどう乗り切るか」といった、振込タイミングや家計の対策を先に知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。

※関連記事:産休・育休の無収入期間はいつまで?初回振込まで最長5か月かかります

■目次

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出産・育児でもらえる3つの給付金

  1. 出産手当金(産休手当)
  2. 出産育児一時金
  3. 育児休業給付金(育休手当)

出産・育児でもらえる3つの給付金

3つの給付金の違いを図解で理解する

制度別の管轄と条件の違い

給付金名 管轄 対象者 主な条件
出産手当金 健康保険 会社員(健保加入者) 本人が被保険者/産休中に給与なし
出産育児一時金 健康保険 ほぼ全員 妊娠4か月以上の出産
育児休業給付金 雇用保険 雇用保険加入者 育休前2年で12か月以上勤務

【重要】健康保険と雇用保険は別物

よくある勘違いが「健康保険に入っていれば全部もらえる」というものです。

実際は以下のように分かれています。

  • 健康保険:出産手当金+出産育児一時金
  • 雇用保険:育児休業給付金

パート・派遣の方は「健康保険には入っているが雇用保険には入っていない」というケースがあるため、自分がどちらに加入しているか必ず確認してください。

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自分はどの給付金がもらえる?5分診断チャート

STEP1:雇用形態を確認

以下のいずれかに該当しますか?

  • □ 正社員
  • □ 契約社員(社会保険加入)
  • □ 派遣社員(社会保険加入)
  • □ パート・アルバイト(週20時間以上+社会保険加入)

YESなら次へ進む

STEP2:保険加入状況を確認

給与明細を見て、以下が引かれていますか?

  • □ 健康保険料
  • □ 雇用保険料

両方引かれている → 3つ全部対象の可能性大

健康保険のみ → 出産手当金・一時金は○、育休給付金は×

どちらも引かれていない(扶養内) → 出産育児一時金のみ

STEP3:勤務期間を確認(育休給付金用)

育休開始予定日の前2年間で、以下を満たしていますか?

  • □ 月11日以上(または月80時間以上)働いた月が12か月以上ある

YESなら育休給付金も対象

診断結果まとめ

あなたの状況 対象になる給付金
会社員(健保+雇用保険加入) 3つ全部
パート(健保○/雇用保険×) 出産手当金+出産育児一時金
扶養内パート 出産育児一時金のみ
自営業・フリーランス 出産育児一時金のみ

① 出産手当金(産休手当)

産休(産前・産後休業)について

  • 産前休業:出産予定日の6週間前から(希望すれば就業可)
  • 産後休業:出産翌日から8週間(原則就業不可)

出産手当金の支給条件

  • 本人が会社の健康保険の被保険者である
  • 産前・産後休業を取得している(流産・死産を含む)
  • 産休期間中に給与が支払われない、または手当金より少ない

※国民健康保険のみ加入の方(自営業・フリーランス等)は対象外です。

※夫の扶養に入っている(被扶養者)場合は対象外です。

出産手当金はいくらもらえる?

1日あたり:標準報酬日額 × 2/3(約67%)

【支給例】

標準報酬日額9,000円の場合

産前42日+産後56日=98日分

9,000円 × 2/3 × 98日 = 約588,000円

※産休・育休中は社会保険料が免除されるため、手取り感覚では休業前の約8割前後になることが多いです。

出産手当金の簡易計算ツール

STEP1:標準報酬月額を確認

給与明細の「健康保険料」の欄を見て、以下の表から該当する標準報酬月額を探してください。

月給の目安 標準報酬月額 標準報酬日額
20〜22万円 22万円 約7,333円
22〜24万円 24万円 8,000円
24〜26万円 26万円 約8,667円
26〜28万円 28万円 約9,333円
28〜30万円 30万円 10,000円

STEP2:出産手当金を計算

標準報酬日額 × 2/3 × 98日(産前42日+産後56日)

例:月給26万円の場合

8,667円 × 2/3 × 98日 = 約566,000円

出産手当金はいつ振り込まれる?

多くの場合、出産から3〜4か月後に一括振込です。出産費用の支払いには間に合わない点に注意が必要です。

※振込タイミングの詳細は実践編の記事をご覧ください。

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② 出産育児一時金

  • 会社の健康保険、国民健康保険どちらでも対象
  • 扶養に入っている方も対象
  • 妊娠4か月以上の出産(流産・死産・帝王切開含む)

出産育児一時金の金額(2026年現在)

  • 原則50万円
  • 産科医療補償制度未加入の医療機関:48万8,000円

現在は「直接支払制度」が主流で、健康保険から病院へ直接支払われます。

受け取り方法

1. 直接支払制度(最も一般的)

健康保険から病院へ直接50万円が支払われます。

  • 出産費用が50万円を超えた → 差額を窓口で支払う
  • 出産費用が50万円未満 → 差額が後日振り込まれる

2. 受取代理制度

小規模な医療機関で利用される場合があります。

3. 産後申請方式

いったん全額を自己負担し、後日50万円を請求します。

③ 育児休業給付金(育休手当)

育休中の生活費として支給される給付金で、雇用保険に加入していることが条件です。

支給要件

  • 1歳未満の子を養育している
  • 雇用保険に加入している
  • 育休前2年間に月11日以上働いた月が12か月以上
  • 育休中の就業が月10日以下または80時間以下
  • 育休後に職場復帰する予定がある

支給額

■ 育休開始〜180日まで:賃金日額 × 30日 × 67%

■ 181日以降:賃金日額 × 30日 × 50%

【例】

月給30万円 → 賃金日額1万円

1万円 × 30日 × 67% = 201,000円

育休給付金の計算方法

STEP1:休業開始時賃金日額を計算

育休開始前6か月の賃金総額 ÷ 180日 = 賃金日額

STEP2:支給額を計算

賃金日額 × 支給日数 × 67%(または50%)

例:月給25万円の場合

  • 6か月の賃金総額:150万円
  • 賃金日額:150万円 ÷ 180日 = 8,333円
  • 最初の6か月:8,333円 × 30日 × 67% = 約167,000円
  • 7か月目以降:8,333円 × 30日 × 50% = 約125,000円

2025年4月以降の新制度

出生後休業支援給付金

  • 両親が育休を取得するなどの一定の要件を満たす場合
  • 最大28日間
  • 給付率80%(非課税+保険料免除で手取り10割相当)

育児時短就業給付金

  • 2歳未満の子を養育しながら時短勤務
  • 賃金減少分の約10%を補填

育休手当はいつ振り込まれる?

原則2か月に1回支給され、初回振込は出産から約4〜5か月後になることが多いです。

※詳しくは産休・育休の無収入期間はいつまで?初回振込まで最長5か月かかりますをご覧ください。

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制度理解でよくある勘違いTOP5

勘違い1:「産休に入ったらすぐお金が入る」

✗ 間違い:産休開始と同時に振り込まれる

○ 正解:産後に申請してから1〜2か月後(実質3〜4か月後)

勘違い2:「出産育児一時金は現金でもらえる」

✗ 間違い:50万円が口座に振り込まれる

○ 正解:多くは病院へ直接支払われる(差額のみ振込)

勘違い3:「育休給付金は毎月振り込まれる」

✗ 間違い:給料のように毎月入る

○ 正解:2か月に1回、しかも初回は4〜5か月後

勘違い4:「扶養内パートでも全部もらえる」

✗ 間違い:パートなら全員対象

○ 正解:本人が健康保険・雇用保険に加入していないと対象外

勘違い5:「退職したら一切もらえない」

✗ 間違い:退職したら全額ダメ

○ 正解:かなり条件は限られますが、条件を満たせば退職後でも出産手当金が出る場合があります

まとめ|3つの給付金は「管轄」と「条件」が違う

  • 出産手当金:会社の健康保険/産休中の生活費
  • 出産育児一時金:健康保険(ほぼ全員)/出産費用の補助
  • 育児休業給付金:雇用保険/育休中の生活費

まずは「自分がどの保険に入っているか」を確認し、対象になる給付金を把握することが第一歩です。

※振込タイミングや無収入期間の対策については、産休・育休の無収入期間はいつまで?初回振込まで最長5か月かかりますをご覧ください。

よくある質問(FAQ)

産休手当(出産手当金)はいつ入るの?

目安は申請から1〜2か月程度ですが、産後8週間が終わってからまとめて申請することが多く、出産から3〜4か月後に一括で入金になるケースが多いです。申請期限は休んだ日ごとに翌日から2年です。

産休手当の計算方法は?

支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3が、1日あたりの支給額です。そこに産休の日数(原則98日など)を掛けて総額を計算します。

扶養内パートでも出産手当金はもらえる?

原則もらえません。出産手当金は本人が会社の健康保険の被保険者である必要があります。夫の扶養(被扶養者)の場合は対象外です。

退職しても出産手当金はもらえる?

退職後でも受給できるケースがあります。一般的には、退職日までに継続して一定期間の被保険者期間があり、退職日に出勤していない(産休中など)こと等の条件を満たす必要があります。会社の総務または加入する健康保険に確認してください。

※ただし、育児休業給付金は職場復帰が条件のため、退職するともらえません。

出産育児一時金はいつ・どうやって受け取る?

多くの医療機関では「直接支払制度」が使われ、健康保険から病院へ直接支払われます。出産費用が50万円を超えたら差額を窓口で支払い、50万円未満なら差額が後日振り込まれます。

帝王切開でも「出産一時金」と「出産手当金」は両方もらえる?

はい、両方もらえます。妊娠4か月(85日)以上の出産であれば、帝王切開でも出産育児一時金は対象です。また、会社の健康保険の被保険者で産休中に給与が出ない等の条件を満たせば、出産手当金も対象です(別制度なので併用できます)。

育休手当(育児休業給付金)の条件は?

主な条件は(1)雇用保険に加入(2)育休前2年間に「月11日以上働いた月」が12か月以上(3)育休中の就業が月10日以下または80時間以下、などです。パートでも雇用保険に入っていれば対象になる可能性があります。

育休手当の計算方法は?(67%→50%)

育休開始前6か月の賃金総額を180で割った休業開始時賃金日額をもとに計算します。開始から180日までは67%、181日以降は50%です。

育休手当はいつ振り込まれる?遅いって本当?

原則は2か月に1回です。初回は「育休開始から2か月経過後の申請」になるため、体感としては出産から4〜5か月後に最初の入金になることが多いです。

2025年4月から「手取り10割相当」って本当?

条件を満たすと本当です。2025年4月から出生後休業支援給付金が始まり、両親が一定日数以上育休を取るなどの条件を満たすと、最大28日間は給付率が80%となり、社会保険料免除・非課税の関係で手取り10割相当になります。

保育園に入れないときの延長は?(2025年4月から厳格化)

育休給付は原則1歳までですが、保育所に入れない等の理由がある場合は1歳6か月、さらに最長2歳まで延長できます。ただし2025年4月以降は、入所申込の写し・入所保留通知書など提出書類が厳格になっています。

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