雇用保険の各種給付について

わかりやすく出産手当金(産休手当)、出産一時金、育児休業給付金(育休手当)

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子供が生まれる時に受け取れる給付金が大きく3つあります。
その給付制度について図解で解説していきます。

まず大きくは3つの給付があります。

1.出産手当金(産休手当)
2.出産一時金
3.育児休業給付金(育休手当)

この3つの手当について解説していきます。

今自分が加入している保険によって支給される、支給されないかが決まってきます。

健康保険については、普段働いている方が加入しているのが健康保険、それ以外の方は国民健康保険になります。働いていても短時間労働や日雇いのような働き方の場合は、会社側の健康保険ではなく国民健康保険の場合もあります。

大まかに以下のように区分されます。

健康保険・・・正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト・パート
国民健康保険・・・自営、フリーランス、アルバイト・パート(短期)、日雇、専業主婦

 

出産手当金(産休手当)

産休手当(出産手当金)を説明する前に、まず産休とは何かについて説明していきます。

産休とは

産休とは「産前・産後休暇」のことを指し、働いていれば誰でも取得可能です。妊娠や出産をした女性の健康回復と、生まれた子供を保護することを目的に作られた休暇で「労働基準法」で規定されています。

・産前休業期間・・・産前6週間(本人の希望により働くことができる)
・産後休業期間・・・産後8週間(取得義務があるが、復職が許される場合あり)

出産手当金(産休手当)とは

産休中の手当として支給されるのが出産手当金(産休手当)です。
こちらは健康保険から支給されます。

支給条件は以下の通りです。

・会社の健康保険に加入している
・妊娠4ヶ月以上である
・事業主から給料が支払われない、または支払われる給料が少ない

出産手当金は会社員やパートやアルバイトでも会社の健康保険に加入していれば受け取ることができます。
ただし、国民健康保険に加入している方は対象外となります。自営やフリーランスの方は対象にはなりません。

出産手当金(産休手当)の支給額

出産手当金の支給額は、1日当たり標準報酬日額の2/3が支給されます。
標準報酬日額とは、手当金の給付開始日以前の12ヶ月間支給された給与の平均額(残業等手当含む)とはを30日で割って計算します。

■支給例【産前休暇42日+産後休暇56日で標準報酬日額が9,000円の場合】

   標準報酬日額9,000円の2/3なので6,0000円。これに98日分(42+56)をかけます。

   6000×98 = 588,000円が支給されます。

出産一時金

出産一時金とは、出産費用(分娩・入院費等)の軽減を目的として支給されるものです。
会社の健康保険または国民健康保険に加入しており、以下の条件を満たしていれば受け取ることができる給付金となります。

支給条件は以下の通り

・健康保険へ加入している方(扶養されている方や国民健康保険でも可)
・普通分娩をはじめ帝王切開・死産・流産・人工妊娠中絶などを含む妊娠4ヶ月以上での出産

現在は原則42万円ですが、2023年4月より50万円まで引き上げることが決まっています。

出産一時金は平成6年に創設され、当初は30万円の支給でした。その後数回の改正が行われ今回が5度目の引き上げとなります。

育児休業給付金(育休手当)

育児休業給付金(育休手当)は、1歳未満の子供を養育するために従業員が休業した場合に支給されるもので、対象者は雇用保険制度に加入している方になります。

支給条件は以下の通りです。

育児休業給付金(育休手当)の支給要件

・1歳未満の養育する子がいること
・雇用保険に加入していること
・生前休業開始前に被保険者期間が12ヶ月以上あること
・育児休業中の就業が月10日以下又は80時間以下であること
・同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること

1歳未満の養育する子がいること

育児休業給付金は、1歳未満の子供がいる場合に支給されます。

※保育所の申込みを行ったが利用できない場合や、子供の養育を行っている配偶者が死亡した場合等は2歳に達するまで

雇用保険に加入していること

給付を受けるには雇用保険に加入している必要があります。
基本的には勤めている会社の社会保険(年金、健康保険)に加入していれば問題ありません。
パートやアルバイトの場合であっても、週20時間継続して働いている場合は雇用保険に加入している(給料から天引)場合があります。

※雇用保険の加入条件

・31日以上引き続き雇用されることが見込まれること
・1週間の所定労働時間が20時間以上であること

生前休業開始前に被保険者期間が12ヶ月以上あること

細かく言えば、過去2年間に12ヶ月(月11日以上)以上の勤務実態があることです。
普通に1年以上勤務していれば問題ないと思われます。(月11日以上出社している必要あり)

※令和3年9月より育児休業開始日起点→産前休業開始日起点に変更となりました。

出典:厚生労働省 

同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること

「子供が1歳6ヶ月になる前日までに、労働契約の期間が満了することが明らかでないこと」という条件があります。
派遣スタッフの場合は1年更新で派遣先企業との契約を結ぶことが多いと思うのですが、この場合の事業主とは派遣会社のことです。

派遣社員の場合、派遣会社ごとに規約は異なると思うのですが、基本は1年以上継続して(紹介先で)働いていれば条件を満たす場合が多いようです。

育児休業給付金(育休手当)の支給期間

産後8週間の産休が明けた翌日から、子供が1歳となる前日までの育児休暇が支給期間となります。
手続きは子供が生まれて1~2ヶ月後までに行い、育児休業給付金はその後2ヶ月ごとに支給されます。


出典:厚生労働省 

例外として、保育所の申込みを行ったが利用できない場合や、子供の養育を行っている配偶者が死亡した場合等は2歳に達するまで支給されます。

育児休業給付金(育休手当)の支給額

■育児休業開始~開始後6カ月まで(180日まで)
 休業開始時賃金日額 × 支給日数(30日【1支給単位】)× 67%

■育児休業開始後6カ月以降(181日以降)
 休業開始時賃金日額 × 支給日数(30日【1支給単位】)× 50%

・休業開始時賃金日額とは・・・育児休業開始前6ヶ月の賃金総額を180で割った額

開始後6ヶ月までと6ヶ月以降で支給額が変わります。

■支給例【育児休業開始~開始後6カ月まで】30日分

  (例)給与の総支給30万円だった場合(休業開始時賃金日額は30×6÷180 = 1万円)
  
   1万円×30日×67% = 201,000円 

さいごに

2019年に育児休業給付を受けた方は、女性で35万3千人、男性で2万7千人でした。
2008年は女性16万5千人、男性1440人なので倍増しています。特に男性の取得率が伸びています。

以下は育児休業給付の支給状況です(2019年)

平均受給月額は 135,398円
平均給付期間は 11.1ヶ月
平均受給総額は 150万2千円です。

ほとんどの方が子供が1歳になるまで育児休暇を取得しているのがわかります。

 

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