失業保険を受給しているとき、「この収入は確定申告が必要なのだろうか」と疑問に思っていませんか?
結論から言うと、失業保険(雇用保険の基本手当)は非課税のため、確定申告する必要はありません。税金もかかりません。
ただし、失業保険以外に収入がある場合や、配偶者の扶養に入りたい場合は注意が必要です。特に、社会保険の扶養に入る場合、失業保険の日額によっては扶養に入れない可能性があります。
この記事では、失業保険が非課税である理由、確定申告が必要なケース、扶養に入る際の注意点について、詳しく解説します。
■目次
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失業保険は確定申告不要(非課税)
失業保険(雇用保険の基本手当)は、所得税法上の「非課税所得」とされており、確定申告の必要はありません。
なぜ失業保険は非課税なのか
失業保険が非課税とされている理由は、その制度の目的にあります。
失業保険の目的は、失業者が再就職するまでの生活を支援し、求職活動を円滑に行えるようにすることです。つまり、失業という「危険」に備えるための保険であり、労働の対価として得た収入ではありません。
そのため、雇用保険料という掛け金を毎月支払ってきた人が、失業時に受け取る給付金に対して税金を課すのは適切ではない、という考え方から非課税とされています。
所得税も住民税もかからない
失業保険には、以下の税金がかかりません:
- 所得税:かからない
- 住民税:かからない
- 確定申告:不要
失業保険の金額がいくらであっても、税金が引かれることはなく、受給額がそのまま手元に入ります。
年末調整との関係
失業保険は非課税ですが、年の途中で退職した場合の年末調整について疑問を持つ人も多いでしょう。
年の途中で退職した場合
年の途中で退職し、その年の12月31日時点で再就職していない場合、前職の給与については年末調整が行われません。この場合、確定申告をすることで、払いすぎた税金が還付される可能性があります。
【例】
・2025年3月に退職
・2025年12月31日時点で無職
→ 前職の給与(1月〜3月分)について確定申告すると、税金が戻ってくる可能性がある
ただし、この確定申告は「前職の給与」に対するものであり、失業保険は申告対象外です。
年内に再就職した場合
年内に再就職した場合、新しい会社で前職の源泉徴収票を提出すれば、年末調整で前職分も含めて調整されます。この場合も、失業保険は申告する必要はありません。
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失業保険以外の収入がある場合
失業保険自体は非課税ですが、他に収入がある場合は確定申告が必要になるケースがあります。
確定申告が必要なケース
- 退職金を受け取った場合:「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば原則不要ですが、提出していない場合や控除しきれない所得控除がある場合は確定申告で還付を受けられる可能性があります。
- アルバイト収入がある場合:退職後は年末調整がないため、原則として確定申告が必要になることがあります(源泉徴収がされていない・所得税が発生しない範囲など、例外的に不要な場合もあります)。
- 副業収入がある場合:事業所得や雑所得がある場合は確定申告が必要です(退職して年末調整を受けていない場合、「副業20万円以下は申告不要」が当てはまらないケースがあります)。
- 不動産所得がある場合:家賃収入などがある場合は確定申告が必要です。
これらの収入がある場合、失業保険は申告不要ですが、他の収入については確定申告が必要です。
失業保険は「収入」に含めない
確定申告書を作成する際、失業保険は収入欄に記入する必要はありません。失業保険は「非課税所得」のため、申告対象外です。
社会保険の扶養に入る場合の注意点
失業保険は税法上は非課税ですが、社会保険の扶養に入る際は「収入」とみなされます。これが混乱の原因になりやすいポイントです。
税法上の扶養と社会保険の扶養は別
扶養には2種類あり、それぞれ基準が異なります:
| 税法上の扶養 | 社会保険の扶養 | |
|---|---|---|
| 対象 | 配偶者控除・配偶者特別控除 | 健康保険・厚生年金の被扶養者 |
| 失業保険 | 収入に含めない(非課税) | 収入に含める |
| 年収基準 | 103万円または150万円 | 130万円(年収見込み) |
社会保険の扶養に入れる基準
社会保険の扶養に入るには、向こう1年間の年収見込みが130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)である必要があります。
この「年収見込み」には失業保険も含まれるため、基本手当日額が一定額以上だと扶養に入れません。
扶養に入れる基準額
一般的に、基本手当日額が3,612円以上の場合、社会保険の扶養に入れないとされています(健康保険組合によって基準が異なる場合があります)。
この基準は、年収130万円を日割り計算したもの(130万円÷360日≒3,611.1円)です。3,612円はこの基準を超えるため、扶養の対象外となります。
【計算例】
基本手当日額3,612円 × 360日 = 130万320円 → 130万円超のため扶養に入れない
自分が該当するかは、雇用保険受給資格者証の「基本手当日額」を確認し、配偶者側の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に判断基準を問い合わせるのが確実です。
基本手当日額が3,612円以上の場合、失業保険の受給期間中は扶養に入れず、国民健康保険と国民年金に自分で加入する必要があります。
退職前の給与から推定する
基本手当日額3,612円は、退職前の月給に換算すると約13万5,000円前後です。
ただし、基本手当日額は「賃金日額」などをもとに計算されるため、月給が同じでも手当日額が完全に一致するわけではありません。あくまで目安として捉えてください。
退職前の月給がこれより低い場合は、扶養に入れる可能性が高いです。逆に、これより高い場合は、失業保険の受給期間中は扶養に入れない可能性があります。
詳しくは、失業保険受給中に扶養に入れないときの健康保険の考え方(国保の負担を抑える方法)をご覧ください。
失業保険の受給が終わったら扶養に入れる
失業保険の受給が終われば、再び扶養に入ることができます。扶養に入る手続きは、配偶者の会社の健康保険組合に確認してください。
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まとめ:失業保険と確定申告・扶養
失業保険と確定申告、扶養について、重要なポイントをまとめます。
- 失業保険(雇用保険の基本手当)は非課税のため、確定申告は不要
- 失業保険には所得税も住民税もかからない
- 年の途中で退職した場合、前職の給与については確定申告で還付を受けられる可能性があるが、失業保険は申告対象外
- 失業保険以外に収入がある場合(アルバイト、副業など)は、確定申告が必要な場合が多い
- 税法上の扶養では失業保険は収入に含めないが、社会保険の扶養では収入に含める
- 基本手当日額が3,612円以上の場合、社会保険の扶養に入れない(健康保険組合によって基準が異なる)
- 失業保険の受給が終われば、再び扶養に入れられる
失業保険は確定申告不要で税金もかからないため、受給額がそのまま手元に入ります。ただし、社会保険の扶養に入りたい場合は、基本手当日額を確認し、配偶者の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に事前に相談することをおすすめします。
よくある質問
失業保険を受給中、確定申告は必要ですか?
いいえ、失業保険(雇用保険の基本手当)は非課税のため、確定申告は不要です。ただし、年の途中で退職した場合、前職の給与については確定申告をすることで払いすぎた税金が戻ってくる可能性があります。この場合も、失業保険は申告対象外です。
失業保険と退職金を両方受け取った場合、確定申告は必要ですか?
失業保険は申告不要ですが、退職金については「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合、確定申告をすることで税金が戻ってくる可能性があります。申告書を提出していれば、原則として確定申告は不要です。
失業保険を受給しながらアルバイトをした場合、確定申告は必要ですか?
失業保険は申告不要ですが、アルバイト収入(給与所得)がある場合は、原則として確定申告が必要です。特に退職して年末調整を受けていない場合、確定申告をしないと税金の精算が正しく行われません。ただし、年間の収入が少なく、所得税がかからない範囲であれば申告不要な場合もあります。
税法上の扶養と社会保険の扶養、失業保険はどちらに影響しますか?
税法上の扶養(配偶者控除など)には、失業保険は影響しません(非課税のため)。しかし、社会保険の扶養(健康保険・厚生年金の被扶養者)には影響します。基本手当日額が3,612円以上の場合、失業保険の受給期間中は社会保険の扶養に入れない場合があります。
基本手当日額3,612円とは、どのくらいの給料ですか?
基本手当日額3,612円は、退職前の月給に換算すると約13万5,000円前後です。退職前の月給がこれより低い場合は、社会保険の扶養に入れる可能性が高いです。ただし、健康保険組合によって基準が異なる場合があるため、事前に確認してください。
失業保険の受給が終わったら、すぐに扶養に入れますか?
はい、失業保険の受給が終われば、再び社会保険の扶養に入ることができます。手続きは、配偶者の会社の健康保険組合で行います。失業保険の受給終了を証明する書類(雇用保険受給資格者証など)が必要になる場合があります。
年内に再就職した場合、失業保険を申告する必要はありますか?
いいえ、ありません。年内に再就職した場合、新しい会社で年末調整を行いますが、失業保険は非課税のため申告対象外です。前職の源泉徴収票を新しい会社に提出すれば、前職分も含めて年末調整されます。