雇用保険の各種給付について

遠方での面接(交通費や宿泊代)が支給される広域求職活動費

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就職活動の際、遠方で面接を受ける機会があるかもしれません。
その際にかかる交通費や宿泊費は馬鹿になりません。
例えば被災地域や北海道などから東京の会社に面接に行く場合などです。

失業保険を受けられる方(雇用保険受給資格者)で、ハローワークの紹介であれば一定の条件のもと費用が支給されるのが「広域求職活動費」です。

ただし一定の要件が揃っていても、誰でも受けられる制度ではありません
遠方で仕事を探すそれなりの理由をハローワークに認められる必要があります。

その支給要件から手続きに関して説明致します。

 

広域求職活動費の対象者の要件

広域求職活動費は、次のいずれかに該当する方が支給対象となります。

  1. 被災地域(青森・岩手・宮城・福島・茨城の災害救助法指定地域)において就業していた方であって、震災により離職を余儀なくされた方
  2. 被災地域の事業所の学卒内定取消者
  3. 被災地域内で就職することが著しく困難な被災地域住居者
  4. 雇用保険受給資格者(待期又は給付制限の期間の経過後の方)

失業保険を受け取れる資格がある方も対象になります。
ただし失業保険手続き後、7日間の待期期間経過後、また自己都合退職などで2ヶ月の給付制限期間がある場合はそれが終了してから対象になるので注意が必要です。
※令和2年10月1日以降

■2ヶ月の給付制限がない場合 → 7日間の待期期間終了後より
■2ヶ月の給付制限がある場合 → 給付制限2ヶ月終了後より

広域求職活動費の支給要件

広域求職活動費は、次のすべてに該当する方が支給対象となります。

  1. ハローワークが紹介する遠隔地の求人事業所の常用求人に応募し、その事業所を訪問して面接する場合
  2. 本人の住所・居所を管轄するハローワークと、訪問する求人事業所の所在地を管轄するハローワークの間の距離が、鉄道で往復300Km以上(バスなどの車賃等は1/4kmをもって鉄道1kmに換算)ある場合

ハローワークの求人が対象になります。
そして往復300キロ以上の遠方地に面接に行く場合です。

東京~沼津、大阪~四日市までが往復で約300キロです。

上記に要件として書かれていませんが、ハローワークの求人に応募し遠方なら誰でも対象になるわけではありません。

地元で仕事が少ない場合や、遠方でなければその仕事(職種)に就けない場合など、特別な要件が必要です。ただ地方から東京に出て就職したい、実家に帰省して働きたいなどの理由では難しいでしょう。

広域求職活動費の支給額

広域求職活動費の支給額は決められた基準で計算されます。

  1. 本人の住所・居所(避難先など)を管轄するハローワークと、訪問事業所を管轄するハローワークの間の往復に要する運賃(鉄道、船賃、航空費、車賃)
  2. 1.の距離と訪問事業所数に応じて定められた宿泊料(鉄道で往復400km以上の場合)

※求人事業主から交通費等求職活動に要する費用が支給された場合は、その額が控除されます。

広域求職活動費のの支給手続き

必要なものは以下の2つです。

・広域求職活動費支給申請書
・広域求職活動面接証明書(事業所、事業所管轄ハローワークの証明)

支給手続きは下記の流れ。

  1. 「広域求職活動費」の支給を希望する場合は、あらかじめ支給要件や手続きについてハローワークから説明を受ける。
  2. 遠隔地の求人事業所への紹介を受けた日の翌日から起算して10日以内に、本人の管轄ハローワークに「広域求職活動費支給申請書」を提出する。用紙はハローワークにあります。雇用保険受給資格はこれに「受給資格者証」を添付する。
  3. 「広域求職活動費」の支給決定の際に、訪問事業所の数に応じた「広域求職活動面接証明書」用紙の交付を受ける。
  4. 求人事業所の面接を受け、「広域求職活動面接証明書」に証明を受ける。
  5. 4.とあわせて、求人事業所を管轄するハローワークにおいて、「広域求職活動面接証明書」に証明を受ける。
  6. 面接が終わったら、その日の翌日以降、10日以内に求人事業所と管轄するハローワークから証明を受けた「広域求職活動証明書」を本人の管轄ハローワークに提出。
  7. ハローワークにて「広域求職活動費支給申請書」の内容を審査し、支給決定された金額を支給。
  8. 紹介を受けた求人事業所の面接を受けなかった場合、元の住所・居所に戻らなかったり、その他不正があった場合は、「広域求職活動費」は支給されず、また支給されていた場合は返還する必要がある。

さいごに

この広域求職活動費は、遠方に面接する際は非常に有効な制度です。
特に被災地の方や過疎化により仕事が少ない場合などは良い制度でしょう。

非常に要件が厳しいため、実際に申請する人が少ないのが現状です。
ハローワークごとに対応も異なるので、遠方に就職を希望する方はハローワークに相談することをオススメします。
たとえば「京都の織物屋で伝統工芸の仕事をしたい」などは対象になるかもしれません。

また面接に合格し、転居する際には「移転費」も支給されます。本人以外にも家族分も支給対象です。

 

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