雇用保険と失業保険の違いは?給付の種類や2026年最新の保険料率も解説

雇用保険(失業保険)とは

雇用保険と失業保険の違いは?給付の種類や2026年最新の保険料率も解説

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「雇用保険」と「失業保険」は何が違うのか、混乱していませんか?

結論から言うと、現在の制度名として「失業保険」という制度はなく、正しくは雇用保険制度の中にある「基本手当」のことです。つまり、失業保険は雇用保険の一部ということになります。

ただし、一般的には「失業保険」という呼び方の方が分かりやすく通じやすいため、ハローワークでも日常会話でもこの言葉が使われています。実際、「失業したときにもらえる手当」と聞けば、誰でもすぐにイメージできるからです。

この記事では、雇用保険と失業保険の違い、雇用保険に含まれる様々な給付の種類、そして財源の仕組みまで、初心者にも分かりやすく解説します。また、よく混同される「失業給付金」との違いについても整理します。

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雇用保険と失業保険の違い

まず、歴史的な経緯から整理しましょう。

失業保険法から雇用保険法への変遷

昭和22年(1947年)に「失業保険法」が制定され、失業保険制度がスタートしました。この時点では、文字通り「失業した人への給付」が主な目的でした。

その後、昭和49年(1974年)に「雇用保険法」として全面改正され、失業への給付だけでなく、雇用に関する幅広い制度として生まれ変わりました。これにより、育児休業給付や介護休業給付、教育訓練給付など、失業以外のサポートも含まれるようになったのです。

現在の正式名称と通称

現在、正式には「失業保険」という制度名は使われていません。正しくは以下の構造になっています:

  • 雇用保険(大枠の制度)
  •  └ 失業等給付(給付の分類)
  •   └ 基本手当(これが一般的に「失業保険」と呼ばれるもの)

ハローワークの窓口や一般会話では「失業保険」という言葉が今でも広く使われていますが、正式な書類や法律上の表現では「雇用保険の基本手当」となります。

「失業給付金」との違いは?

検索クエリでも多く見られる「失業給付金」という言葉についても整理しておきましょう。

実は、「失業給付金」という正式な用語も存在しません。これは「失業保険」と同じく通称・俗称であり、雇用保険の「基本手当」を指して使われることが多い言葉です。

つまり:

  • 失業保険 = 失業給付金 = 雇用保険の基本手当(すべて同じもの)

ただし、「失業等給付」という正式な分類名は存在します。これは基本手当だけでなく、傷病手当や就業促進手当なども含む、より広い概念です。

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雇用保険にはどのような種類があるのか

雇用保険は、大きく2つの事業(厳密には育児休業給付を含めた3つの柱)に分かれています。

雇用保険の体系図

※出典:ハローワークインターネットサービス

失業等給付

失業等給付とは、失業者の求職中の生活を支えるための手当を中心に、再就職や能力開発を後押しするための給付をまとめた総称です。

具体的には以下のような給付が含まれます:

【求職者給付】

  • 基本手当(一般的に「失業保険」と呼ばれるもの)
  • 傷病手当(求職活動中に病気やケガで働けなくなった場合)
  • 高年齢求職者給付金(65歳以上の離職者向け)
  • 特例一時金(季節労働者向け)
  • 日雇労働求職者給付金

【就職促進給付】

  • 再就職手当(早期再就職を促進するための一時金)
  • 就業促進定着手当(再就職後の賃金低下を補填)
  • 就業手当(アルバイト等で就業した場合)

【教育訓練給付】

  • 教育訓練給付金(スキルアップのための講座受講費用を補助)

【雇用継続給付】

  • 高年齢雇用継続給付(60歳以降の賃金低下を補填)
  • 介護休業給付(介護休業中の生活を支援)

※2020年4月より「育児休業給付」は雇用継続給付から独立し、現在は主要な独立した給付として扱われています。また、2025年4月からは「出生後休業支援給付」や「育児時短就業給付」などの新しい支援もスタートしています。

雇用保険二事業

雇用保険二事業とは、企業や労働者の雇用安定・能力開発を支援するための事業で、以下の2つから構成されています:

【雇用安定事業】

  • 事業主に対する助成金(雇用調整助成金、キャリアアップ助成金など)
  • 中高年齢者に対する再就職支援
  • 若者や子育て女性に対する就労支援

【能力開発事業】

  • 職業訓練校の設置・運営
  • 事業主が行う教育訓練への支援
  • リスキリング支援(個人への直接支援含む)

これらの事業は、失業を予防したり、労働者のスキルアップを支援したりすることで、雇用の安定を図ることが目的です。

雇用保険の財源

雇用保険の財源は、主に以下の2つで構成されています。

財源の内訳(2025年度〜)

雇用保険の財源は:

  1. 雇用保険料収入:労働者と事業主が負担する保険料
  2. 国庫負担金:国が税金から負担する部分

国庫負担の割合は、かつて暫定的に引き下げられていましたが、2024年度・2025年度の見直しにより、育児休業給付については本則の1/8(12.5%)に復元されるなど、公的責任が強化されています。

ここは少し専門的ですが、要点はシンプルです。雇用保険は「会社員だけの積立」ではなく、国も一定の責任を持って支える仕組みになっています。

保険料率の推移と背景

2016年度頃までは、雇用保険の積立金が潤沢だったため、保険料率は低く抑えられていました。

しかし、コロナ禍で「雇用調整助成金」の支給が膨らみ、財源が急速に減ったことを背景に、2022年度以降、段階的に保険料率が引き上げられました。

その後、財政状況の改善もあり、足元では年度ごとに見直される仕組み(弾力条項)に基づき、保険料率が調整されています。

現在の雇用保険料率は、以下の通りです(一般の事業・2025年度適用分):

  • 労働者負担:0.55%
  • 事業主負担:0.90%
  • 合計:1.45%

※公式資料:令和7年度 雇用保険料率のご案内(厚生労働省PDF)

誰が保険料を負担しているのか

雇用保険料は、以下のように負担されています:

  • 労働者:失業等給付・育児休業給付の財源部分を負担
  • 事業主:失業等給付・育児休業給付の財源に加え、雇用保険二事業(助成金等)の費用を全額負担

このため、事業主の方が負担率が高くなっています。給与明細を見ると「雇用保険料」として控除されているのが、あなたの負担分です。

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雇用保険に加入できる条件

雇用保険は、一定の条件を満たすすべての労働者に加入義務があります:

加入条件

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがあること

この条件を満たせば、正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員も原則として加入しなければなりません。なお、2028年10月1日からは週の労働時間が「10時間以上」の労働者にも適用が拡大される予定です。

※公式資料:雇用保険法等の一部を改正する法律の概要(厚生労働省PDF)

加入できない人

  • 週の労働時間が20時間未満の人
  • 雇用期間が31日未満の短期アルバイト
  • 昼間学生(原則。ただし卒業見込証明書がある場合や通信制などは加入可)
  • 個人事業主・フリーランス
  • 代表取締役などの会社役員(労働者性が認められない場合)

まとめ:雇用保険と失業保険の関係

雇用保険と失業保険の関係について、重要なポイントをまとめます。

  • 「失業保険」という正式な制度名は現在は使われておらず、正しくは雇用保険の「基本手当」
  • 「失業給付金」も通称であり、基本手当と同じ意味で使われることが多い
  • 雇用保険には、失業時以外にも育児・介護・教育訓練など多様な支援がある
  • 2025年4月から、自己都合退職の給付制限期間は原則「1ヶ月」に短縮された
  • 現在の保険料率は労働者負担0.55%(一般の事業)

雇用保険は、失業時だけでなく、働く人のキャリア形成や家庭との両立を支えるセーフティネットです。不明な点があれば、最寄りのハローワークで相談することをおすすめします。

よくある質問

雇用保険と失業保険は同じですか?

厳密には異なります。雇用保険は制度全体を指す言葉で、失業保険はその中の「基本手当」を指す通称です。ただし、日常会話やハローワークの窓口では「失業保険」という言葉が広く使われています。

失業給付金と失業保険の違いは何ですか?

どちらも雇用保険の「基本手当」を指す通称で、意味に違いはありません。法律上の正式名称は「雇用保険の基本手当」です。

雇用保険料はいくら払っていますか?

2025年度(2026年1月現在)の一般事業の場合、労働者負担は給与の0.55%です。例えば月給30万円なら、月1,650円が雇用保険料として控除されます。給与明細で確認してみてください。

自己都合で辞めてもすぐ失業保険はもらえますか?

2025年4月の改正により、自己都合退職の場合の給付制限期間は原則「1ヶ月」となりました(以前は2ヶ月)。7日間の待期期間と合わせ、以前より1ヶ月早く受給できるようになっています。

パートやアルバイトでも雇用保険に入れますか?

はい。週20時間以上、31日以上の雇用見込みがあれば、パートやアルバイトでも加入義務があります。会社が加入させていない場合は、ハローワークで確認請求を行うことも可能です。

育児休業給付も雇用保険からもらえるのですか?

はい。育児休業給付は現在、雇用保険制度の中で非常に重視されている柱の一つです。2025年4月からは、手取りが実質10割相当となる「出生後休業支援給付」などの新しい制度も追加されています。

雇用保険に入っていないと失業保険はもらえませんか?

はい、もらえません。失業保険(基本手当)を受給するには、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上(会社都合等の場合は離職前1年間に6ヶ月以上)必要です。

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