「産後パパ育休って、お金はもらえるの?」
2022年10月に始まった「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、子どもの出生後8週間以内に最大4週間(28日)取得できる制度です。そして、この期間に対応する「出生時育児休業給付金」として、給与のおよそ67%(※2025年4月の制度改正により、条件を満たせば最大80%・手取り10割相当)が雇用保険から支給されます。
しかし、通常の育児休業給付金との違いがわかりにくく、「自分は対象なのか」「いくらもらえるのか」「いつ申請すればいいのか」と悩む方が非常に多いのが現状です。
この記事では、出生時育児休業給付金の受給条件、具体的な金額の計算方法、申請の手続きと期限、そして通常の育休給付金との違いまで、わかりやすく解説します。
■目次
スポンサーリンク
出生時育児休業給付金とは?制度の基本を解説
出生時育児休業給付金は、産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した場合に、雇用保険から支給される給付金です。
出生時育児休業給付金の基本情報
- 対象:雇用保険に加入している労働者(男女問わず)
- 取得可能期間:子の出生日から8週間以内
- 最大日数:28日(4週間)
- 分割:2回まで分割取得が可能
- 支給額:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%(※要件を満たせば最大80%に上乗せ)
「パパ育休」という名前ですが、女性も取得可能です。ただし、女性の場合は産後8週間は労働基準法の産後休業期間と重なるため、実質的には養子縁組などのケースで利用されることが多いです。
通常の育児休業給付金との違い
出生時育児休業給付金と通常の育児休業給付金は、似ているようで異なる制度です。どちらも雇用保険から支給されますが、取得時期・期間・分割の可否・就業の可否が異なります。
| 項目 | 出生時育児休業給付金(産後パパ育休) | 育児休業給付金(通常の育休) |
|---|---|---|
| 対象期間 | 出生後8週間以内 | 出生後〜子が1歳(最大2歳)まで |
| 最大取得日数 | 28日(4週間) | 子が1歳になるまで(延長あり) |
| 分割取得 | 2回まで可能 | 2回まで可能(2022年10月〜) |
| 休業中の就業 | 労使協定があれば可能(上限あり) | 原則不可 |
| 支給率 | 67%(※要件を満たせば最大80%) | 最初の180日:67%(※要件を満たせば最大80%)、以降:50% |
| 申請期限 | 出生日から8週間を経過する日の翌日から2ヶ月を経過する日の属する月の末日 | 支給対象期間の初日から4ヶ月を経過する日の属する月の末日 |
最大の違いは「休業中の就業が認められている」点です。通常の育休では原則として就業できませんが、産後パパ育休では労使協定を結んでいれば、休業期間中にも一定の範囲で働くことができます。
出生時育児休業給付金(産後パパ育休)受給条件
出生時育児休業給付金を受け取るためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
【受給するための条件チェックリスト】
- 雇用保険に加入していること
- 出生時育児休業を取得していること(出生後8週間以内の休業)
- 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること
- 休業期間中の就業日数が、最大10日以下(10日を超える場合は80時間以下)であること
- 休業期間中に支払われた賃金が、休業開始時賃金日額 × 支給日数の80%未満であること
パート・契約社員でも対象になる?
パートタイムや契約社員でも、雇用保険に加入していれば対象になります。雇用保険の加入条件は「週20時間以上の勤務」かつ「31日以上の雇用見込み」です。
有期雇用契約(契約社員・派遣社員など)の場合は、追加の条件として「子の出生日から8週間を経過する日の翌日から6ヶ月を経過する日までに契約が満了することが明らかでないこと」が必要です。
スポンサーリンク
出生時育児休業給付金の計算方法と具体例
出生時育児休業給付金の計算は、通常の育児休業給付金と同じ計算式を使います。
計算式
出生時育児休業給付金 = 休業開始時賃金日額 × 休業日数 × 67%
※2025年4月施行の「出生後休業支援給付」の対象者は、さらに13%が上乗せされ合計80%(手取り10割相当)になります。上乗せの主な条件は「両親ともに14日以上の育休を取得すること」です。
「休業開始時賃金日額」とは?
休業開始前6ヶ月間の賃金(ボーナスを除く)の合計を180で割った金額です。残業代や通勤手当は含まれます。
月給別の支給額シミュレーション
28日間(最大)取得した場合の支給額の目安は以下の通りです。
| 月給(額面) | 賃金日額の目安 | 28日取得した場合の支給額 |
|---|---|---|
| 20万円 | 約6,667円 | 約124,900円 |
| 25万円 | 約8,333円 | 約156,100円 |
| 30万円 | 約10,000円 | 約187,600円 |
| 35万円 | 約11,667円 | 約218,900円 |
| 40万円 | 約13,333円 | 約250,200円 |
なお、賃金日額には上限額が設定されています。
休業中に就業した場合の減額ルール
産後パパ育休の特徴として、労使協定があれば休業中にも就業できます。ただし、就業した場合は給付金が減額される可能性があります。
休業中に就業した場合のルール
- 就業日数が最大10日以下(10日を超える場合は就業時間が80時間以下)であること → これを超えると給付金がゼロになる
- 就業により支払われた賃金が、賃金日額 × 休業日数 × 80%以上の場合 → 給付金はゼロ
- 就業により支払われた賃金が、賃金日額 × 休業日数 × 13%超〜80%未満の場合 → 差額のみ支給
- 就業により支払われた賃金が、賃金日額 × 休業日数 × 13%以下の場合 → 全額支給
計算が複雑に見えますが、要するに「働きすぎると給付金が減る、または0なる」ということです。就業する場合は事前にハローワークや会社の担当者に確認しておくことをおすすめします。
産後パパ育休を2回に分割取得する場合の注意点
産後パパ育休は2回まで分割して取得できます。たとえば「出産直後に2週間取得し、退院後に2週間取得する」といった柔軟な使い方が可能です。
分割取得する場合の申出ルール
分割取得する場合は、初回の申出時にまとめて2回分の日程を申し出るのが原則です。後から「やっぱりもう1回取りたい」と追加申出した場合、会社は拒否できます。
分割取得と給付金の関係
2回に分割しても、合計28日以内であれば給付金の総額に影響はありません。それぞれの休業期間ごとに計算され、支給されます。
ただし、申請手続きは原則としてまとめて1回で行います。2回目の休業が終了した後に、2回分をまとめて申請するのが一般的です。
スポンサーリンク
出生時育児休業給付金の申請手続き
出生時育児休業給付金の申請は、原則として会社(事業主)を通じて行います。
申請の流れ
【申請手続きの流れ】
- 会社に産後パパ育休の取得を申し出る(休業開始の2週間前まで)
- 休業中に就業する場合は、労使協定の有無を確認し、就業可能日を会社と調整する
- 休業終了後、会社が「出生時育児休業給付金支給申請書」をハローワークに提出する
- ハローワークが審査し、本人の口座に直接振り込まれる
申請期限に注意
申請期限は「出生日から8週間を経過する日の翌日から起算して2ヶ月を経過する日の属する月の末日まで」です。
これだけ読むと非常にわかりにくいのですが、要するに出生日から「約4ヶ月~4ヶ月半後の月末」が申請期限の目安です(出生日によって変動します)。「月末」が基準になるため、出生日のタイミングによっては想像より早く期限が来ることがあります。会社任せにしていると申請を忘れるケースがあるため、自分でも期限を把握しておきましょう。
自分で申請することもできる
原則は会社を通じた申請ですが、本人が希望すれば自分でハローワークに直接申請することも可能です。会社が手続きに非協力的な場合は、ハローワークに相談してください。
産後パパ育休と通常の育休はどちらも取れる?併用パターン
産後パパ育休と通常の育児休業は、併用が可能です。つまり、出生後8週間以内に産後パパ育休を取り、その後に通常の育児休業を取得することで、合わせて長期間の育休を取ることができます。
併用した場合のモデルケース
| 期間 | 休業の種類 | 給付金 |
|---|---|---|
| 出生〜2週間 | 産後パパ育休(1回目) | 出生時育児休業給付金(67%※) |
| 2週間〜4週間 | 復帰(就業) | 通常の給与 |
| 4週間〜8週間 | 産後パパ育休(2回目) | 出生時育児休業給付金(67%※) |
| 8週間〜1歳 | 通常の育児休業 | 育児休業給付金(67%※→50%) |
※2025年4月の制度改正により、両親ともに14日以上の育休を取得するなどの条件を満たせば、67%が最大80%(手取り10割相当)に上乗せされます。
このように、産後パパ育休を2回に分けて取得し、その後に通常の育休を2回に分けて取得すれば、最大4回に分けて育休を取ることが可能です。パートナーの体調や仕事の繁忙期に合わせた柔軟な育休プランが実現できます。
スポンサーリンク
まとめ:出生時育児休業給付金のポイント
産後パパ育休は、出産直後の大変な時期にパートナーと一緒に子育てをするための制度です。給付金もしっかり受け取れますので、取得を迷っている方は安心して申請してください。
この記事のポイント
- 出生時育児休業給付金は、給与の約67%(条件を満たせば最大80%)が支給される
- 最大28日間(4週間)取得可能で、2回に分割できる
- 休業中でも労使協定があれば一定範囲で就業可能
- 通常の育児休業給付金との併用が可能
- パートや契約社員でも雇用保険加入者なら対象
- 申請は原則会社経由だが、自分で申請することも可能
よくある質問(FAQ)
Q. 出生時育児休業給付金は男性だけの制度ですか?
A. いいえ。制度上は性別を問わず取得可能です。ただし、女性の場合は出生後8週間は労働基準法の産後休業期間と重なるため、実質的には養子縁組の場合などに利用されます。
Q. 産後パパ育休中にテレワークで働いた場合、給付金は減額されますか?
A. テレワークでも就業した時間は「就業」としてカウントされます。就業日数が10日以下(10日超の場合は80時間以下)であれば給付金への影響はありませんが、就業で受け取った賃金の額によっては減額・不支給になる場合があります。
Q. 産後パパ育休の期間中に有給休暇を使うことはできますか?
A. 産後パパ育休と有給休暇は別の制度です。育休期間中に有給休暇を取得するのではなく、育休を取得する前後に有給休暇を使うのが一般的です。育休中は無給ですが、その代わりに出生時育児休業給付金が支給されます。
Q. 出生時育児休業給付金はいつ振り込まれますか?
A. 会社がハローワークへ申請手続きを完了してから、通常数週間~1ヶ月程度で振り込まれます。ハローワークの審査状況や、会社の申請スピードによって大きく変動します。休業終了後すみやかに会社へ申請を依頼し、進捗を確認しておくと安心です。
Q. 産後パパ育休を取得すると、その後の通常の育休の日数は減りますか?
A. いいえ、減りません。産後パパ育休と通常の育児休業は別の制度であり、産後パパ育休を最大28日取得した後でも、通常の育休(子が1歳になるまで)をフルで取得できます。
Q. 出生時育児休業給付金に上限額はありますか?
A. はい、賃金日額に上限額が設定されています。月給が高い方は上限に達する可能性があります。上限額は毎年8月に見直されるため、最新の上限額はハローワークで確認してください。
参考・出典
- 厚生労働省「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法 改正ポイント」
- 厚生労働省「出生後休業支援給付が創設されます」
- 厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」
- ハローワークインターネットサービス「雇用保険手続きのご案内」


