「自己都合で辞めても、失業保険がすぐもらえるようになったって本当ですか?」
2025年4月から、自己都合退職でも給付制限が1ヶ月に短縮される、という話を耳にした人は多いと思います。でも実際には、「誰でも1ヶ月になるわけではない」という現実があります。
- 過去5年以内に「給付制限つきの自己都合退職」が0回または1回なら、給付制限は原則1ヶ月に短縮されます(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
- ただし受給開始が早まっても、初回の振込は退職から約1.5〜2ヶ月後になるのが一般的です(出典:ハローワーク/基本手当)。
私自身、57歳でこれまで何度か転職を経験してきましたが、制度の細かいルールを知らないまま手続きを進めて、後から「え、こんなに待つの?」と焦った経験があります。特に「過去5年で2回まで」という条件は、自分の記憶だけで判断すると間違えやすい。
この記事では、給付制限が1ヶ月になる条件を正確に理解し、自分が対象かどうかを確実に判断する方法を、できるだけ分かりやすく整理しました。
制度が変わっても、準備不足で生活が苦しくなっては意味がありません。まずは「自分は何回目なのか」を、きちんと確認することから始めましょう。
■目次
自己都合退職の給付制限が「1ヶ月」に短縮された背景
2025年4月から何が変わったのか
自己都合で退職した場合、失業保険(基本手当)には「給付制限」と呼ばれる待ち時間があります。これは、すぐに給付が始まらず、一定期間待たされる仕組みです。
これまで自己都合退職の場合、給付制限は原則2ヶ月でしたが、2025年4月1日以降の離職から、給付制限が原則「1ヶ月」に短縮されました(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
つまり、条件に当てはまれば、これまでより1ヶ月早く失業保険を受け取れる可能性が出てきた、ということです。
なぜ短縮されたのか(制度の狙い)
背景にあるのは、転職や再就職のしやすさです。自己都合退職でも、すぐ次の仕事を探す人が増えています。その一方で、給付制限が長いせいで、生活費が持たずに無理な選択をしてしまうケースも少なくありません。
そこで国は、一定の回数までは給付制限を短くすることで、生活の空白を少しでも埋めようとしました。ただし、何度も繰り返し使われるのを防ぐため、回数制限が設けられています(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
「誰でも1ヶ月になる」わけではない、という点がここでの重要ポイントです。
「自分は1ヶ月になる?」を判断する最重要ルール
「過去5年間で2回まで」という条件の意味
給付制限が1ヶ月に短縮されるかどうかは、過去5年間に「給付制限が付いた自己都合退職」が何回あるかで決まります。
- 過去5年以内に0回または1回 → 今回は給付制限1ヶ月
- 過去5年以内に2回以上 → 今回は短縮の対象外となります(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
ここでいう「回数」は、自己都合退職をした回数ではなく、給付制限が適用された自己都合退職(受給資格決定を受けたもの)の回数で数えます(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
図解イメージで理解する判定パターン
文章だけだと分かりにくいので、よくあるケースで考えてみます。
ケースA(短縮される例:今回が2回目)
- 2020年:自己都合退職(5年以上前)
- 2024年:自己都合退職(給付制限あり・1回目)
- 2026年:今回の退職 → 給付制限1ヶ月
ケースB(短縮されない例:今回が3回目)
- 2022年:自己都合退職(給付制限あり・1回目)
- 2024年:自己都合退職(給付制限あり・2回目)
- 2026年:今回の退職 → 短縮の対象外
ポイントは「5年」という期間です。これを1日でも勘違いすると、判断を誤ります。
記憶だけで判断すると危険な理由
「何回目かくらい覚えている」と思いがちですが、ここで詰まる人は本当に多いです。
というのも、実際に給付を受給したかどうかではなく、給付制限が適用されたかどうか(受給資格決定を受けたか)が重要になるためです(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
過去に、申請だけしてすぐ再就職した人でも、状況によっては履歴上のカウントに影響することがあります。ネットの簡易計算や自分の記憶だけで判断するのは危険です。
最終確認は、雇用保険被保険者証を持って、ハローワークで履歴照会するのが確実です(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
1ヶ月短縮でも油断できない「お金の現実」
実際にお金が入るまでのタイムライン
「1ヶ月になる」と聞くと、すぐお金が入るように感じますが、実際はそう単純ではありません。
- 待期期間:7日
- 給付制限:1ヶ月(短縮対象の場合)
- 初回認定日までの期間
これらを合計すると、実際の初回振込までは約1.5〜2ヶ月かかるのが一般的です(出典:ハローワーク/基本手当)。
月収30万円の場合の金額イメージ
目安として、月収30万円前後の人の場合、基本手当の日額は約6,000円程度になることが多いです(出典:ハローワーク/基本手当)。
1ヶ月分で約18万円。この18万円が「1ヶ月早く入るかどうか」が、今回の改正の差です。
助かるのは間違いありませんが、無収入期間がゼロになるわけではない点には注意が必要です。
見落とされがちな支払い
無収入期間中でも、支払いは止まりません。
- 住民税(前年所得ベース)
- 国民健康保険料
- 国民年金
貯金が30万円前後の場合、これらの支払いだけで一気に苦しくなります。ここを甘く見ると、制度改正があっても生活は楽になりません。
最初にやるべき3つのチェックリスト
① 過去の給付制限回数を正確に確認する
まずやるべきは、ハローワークでの履歴確認です。
雇用保険被保険者証を持参し、「過去5年の給付制限回数(短縮の対象かどうか)」を確認してください。これをやらずに話を進めるのは、地図を持たずに山に入るようなものです。
② 無収入期間を前提に資金を計算する
最低でも2ヶ月分の生活費は無収入を想定してください。
家賃・光熱費・通信費・保険料・税金を書き出すだけでも、現実が見えます。
※内部リンク提案:記事タイトル「失業中の住民税はいつ払う?」/アンカーテキスト「住民税の支払いタイミングはこちら」
③ 制度に期待しすぎない
今回の改正は「救済」ではなく「緩和」です。
1ヶ月短縮されても、生活が自動的に立て直るわけではありません。少し余裕ができるだけ、という認識で動いた方が安全です。
手続きの流れ:ハローワークで何を確認すればいい?
まず確認したいのは「自分は短縮対象かどうか」
窓口で確認したいのは、難しい話ではありません。ポイントは次の2つです。
- 過去5年以内に、給付制限つきの自己都合退職が何回あるか
- 今回の離職が「2025年4月1日以降の離職」に当たるか
この2点が確定すると、給付制限が1ヶ月になる可能性があるかどうか、見通しが立ちます(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
持って行くと話が早いもの(最低限)
- 雇用保険被保険者証(まずはこれ)
- 離職票が手元にある場合はそれも
- メモ(過去の退職年・会社名が分かるとさらに早い)
「被保険者証が見つからない」場合も、本人確認ができれば照会できることがあります。状況は地域や窓口で異なるため、電話で一度聞いてから動くと無駄足が減ります。
窓口でそのまま使える質問テンプレ
- 「自己都合退職の給付制限が1ヶ月になる条件に当てはまるか、過去5年の給付制限回数を確認したいです」
- 「過去の離職で、給付制限が付いた扱いになっている回数は何回ですか?」
これだけ聞ければ十分です。細かい法律論より、まずは「自分は何回目か」を確定させる方が、生活を守れます。
まとめ:制度に期待しすぎず、確認から始める
2025年4月からの制度改正で、給付制限が1ヶ月に短縮されるケースが増えました。でも、それは「自動的に楽になる」という話ではありません。
大事なのは、自分が短縮対象かどうかを正確に把握すること。そして、たとえ1ヶ月になったとしても、実際の振込までには2ヶ月近くかかる現実を受け止めて、資金計画を立てておくことです。
私も含め、50代になると「もう失敗できない」というプレッシャーが強くなります。だからこそ、ネットの情報や自分の記憶だけで判断せず、ハローワークで一度きちんと確認する。その手間を惜しまないことが、結局は一番の安全策になります。
制度は少しずつ良くなっていますが、頼りすぎると足元をすくわれます。まずは雇用保険被保険者証を手元に用意して、明日にでもハローワークに問い合わせてみてください。それだけで、見通しは大きく変わります。
よくある質問(FAQ)
自己都合退職でも、給付制限は必ず1ヶ月になりますか?
原則として、過去5年間に給付制限が付いた自己都合退職が0回または1回であれば、給付制限は1ヶ月に短縮されます。過去5年以内に2回以上ある場合は短縮対象外となります(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
「過去5年間で2回まで」とは、どう数えるのですか?
「失業保険を受給した回数」ではなく、給付制限が適用された自己都合退職(受給資格決定を受けたもの)の回数で数えます。判断が難しい場合は、ハローワークで履歴照会を行うのが確実です(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
給付制限が1ヶ月になると、いつ頃お金が振り込まれますか?
待期期間7日+給付制限1ヶ月+初回認定日までの日数が必要なため、実際の初回振込は退職から約1.5〜2ヶ月後になるのが一般的です(出典:ハローワーク/基本手当)。
給付制限が1ヶ月になると、もらえる金額も増えますか?
給付制限の短縮は「支給開始が早まる」だけで、基本手当の日額や総支給額が増えるわけではありません。金額自体は、年齢や退職前の賃金によって決まります(出典:ハローワーク/基本手当)。
懲戒解雇や重責解雇でも、給付制限は1ヶ月になりますか?
なりません。懲戒解雇などの重責解雇の場合は短縮ルールの対象外となります(出典:厚生労働省/雇用保険制度)。
不安解消のための補足Q&A
ネットだけで自分が何回目か判断できる?ハローワークに行かないとダメ?
正確な判断は難しいです。離職理由の認定や給付制限の有無は、本人の記憶とズレていることがよくあります。雇用保険被保険者証を持参し、ハローワークで履歴を確認するのが確実です。
給付制限の間、アルバイトしても大丈夫ですか?
原則として可能ですが、必ず申告が必要です。働いた日数や収入によっては、その分の給付が減額・繰り越しになることがあります。地域や個別事情で扱いが変わることもあるため、事前にハローワークへ確認してください。
1ヶ月になっても、正直お金が持つか不安です……
住民税や国民健康保険料、国民年金の支払いは続くため、貯金が少ない場合は厳しくなるケースもあります。最低でも2ヶ月分の生活費を想定して、資金計画を立てておくことが重要です。
過去に会社都合と自己都合が混ざってるんですが、どう数えるんですか?
会社都合退職は給付制限の回数には含まれません。ただし、離職理由の認定結果が重要になるため、自己判断せずハローワークで確認してください。
不安なとき、どこに相談すれば安心できますか?
最も確実なのは、ハローワークでの個別確認です。ネット情報は参考にはなりますが、最終判断は必ず窓口で行うのが安全です。