雇用保険(失業保険)の役立話

退職後の住民税と保険料はいくら?6月退職の落とし穴と減免制度

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退職したら、給与から天引きされていた税金や保険料を自分で支払わなければなりません。特に厄介なのが「前年の収入に対して課税される住民税」です。

「去年は働いていたけど、今は無職」という状態でも、前年分の住民税の請求が容赦なく届きます。さらに国民健康保険も前年の所得で計算されるため、退職直後は想像以上に高額な請求に驚く人が後を絶ちません。

特に注意が必要なのは退職する月です。6月退職と7月退職では、住民税の支払い方が大きく変わります。また、失業保険に税金がかかるのかどうかも、多くの人が気になるポイントでしょう。

この記事では、退職後にかかる税金と保険の仕組みを、退職月別の違いや具体的な金額シミュレーションとともに詳しく解説します。事前に知っておけば、退職後の資金計画も立てやすくなります。

■目次

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退職月で変わる住民税の支払い方、特に6月退職は要注意

住民税は前年の所得に対して翌年課税される

住民税の最大の特徴は、「前年1月〜12月の所得に対して、翌年6月〜翌々年5月に課税される」という点です。

たとえば、2025年1月〜12月に働いて得た所得に対する住民税は、2026年6月から2027年5月まで支払います。つまり、2026年6月に退職して無職になっても、2025年分の住民税は2027年5月まで支払い続ける必要があります。

これが「退職後の税金・保険の落とし穴」と言われる最大の理由です。

退職月による住民税の支払い方の違い

退職する月によって、住民税の徴収方法が変わります。

【6月〜12月に退職する場合】
退職月までは給与から天引き(特別徴収)されますが、退職後の残り期間分は自分で納付(普通徴収)に切り替わります。退職時に会社から「普通徴収への切替通知書」が渡されるか、後日市区町村から納付書が届きます。

たとえば、6月に退職した場合、6月分の住民税は最後の給与から天引きされ、7月〜翌年5月分(11ヶ月分)は自分で納付します。納付書は通常、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分割されています。

【1月〜5月に退職する場合】
この期間に退職する場合、退職月から5月までの住民税を最後の給与から一括天引きされることが原則です。ただし、退職時の給与額が少なく一括徴収が難しい場合は、普通徴収に切り替わります。

たとえば、3月に退職した場合、3月・4月・5月の3ヶ月分の住民税が最後の給与から一括で引かれます。給与が少ない場合は手取りがほとんどなくなることもあるため、注意が必要です。

なお、退職月の住民税が「いくら残っているか」は、すでに決まっている「その年度(6月〜翌年5月)」の住民税額と、これまでに天引き済みの回数で決まります。退職月を変えても住民税の総額そのものが増減するわけではなく、主に「いつ・どの方法で払うか(資金繰り)」が変わるイメージです。

6月退職が「最も損する」と言われる理由

6月は住民税の課税が切り替わるタイミングです。6月に退職すると、住民税の新年度(6月〜翌年5月)が始まった直後に普通徴収へ切り替わりやすいため、「納付書の負担が一気に来る」と感じやすいのが特徴です。

ただし重要なのは、退職月で住民税の総額が増えるわけではない点です。6月退職が不利に感じられるのは、給与天引きが止まり、納付書での支払いに切り替わるタイミングが早いため、家計の見え方(資金繰り)が厳しくなりやすいからです。

一方で、1月〜5月に退職すると、残り期間分が最後の給与から一括天引きされることが多く、こちらも手取りが急減して厳しいケースがあります。つまり「どの月が得か」ではなく、一括控除(1〜5月)か、納付書払い(6〜12月)かで家計への出方が変わると理解しておくのが安全です。

住民税の計算方法と具体的な金額

住民税は所得の約10%

住民税は、前年の所得に対して約10%(都道府県民税4% + 市区町村税6%)が課税されます。ここで言う「所得」とは、年収(額面)から給与所得控除や基礎控除、社会保険料控除などを引いた金額です。

【年収別の住民税目安(単身者の場合)】

年収300万円:所得約110万円 → 住民税 約11万円(月9,200円)
年収400万円:所得約166万円 → 住民税 約16.6万円(月13,800円)
年収500万円:所得約236万円 → 住民税 約23.6万円(月19,700円)
年収700万円:所得約371万円 → 住民税 約37.1万円(月30,900円)

※基礎控除43万円(住民税)、社会保険料控除14.4%で計算した目安です。実際の金額は扶養家族や各種控除によって変わります。

退職後の住民税納付の具体例

たとえば、前年年収500万円で6月に退職した場合、住民税約23.6万円のうち、6月分(約2万円)のみ最後の給与から天引きされ、残り約21.6万円を自分で納付することになります。

普通徴収の場合、この21.6万円を4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて支払うため、1回あたり約5.4万円の納付書が届きます。

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国民健康保険は想像以上に高額、前年所得で決まる

国民健康保険料も前年所得で計算される

国民健康保険料も住民税と同じく、前年の所得を基に計算されます。しかも、会社員時代は会社が健康保険料の半分を負担していましたが、国民健康保険は全額自己負担です。

このため、退職直後の国民健康保険料は住民税よりも高額になるケースが多く、「こんなに払えない」と驚く人が続出します。

国民健康保険料の計算方法(市区町村で異なる)

国民健康保険料は市区町村によって計算方法が異なります。一般的には「所得割(所得に応じた額)+ 均等割(1人あたりの定額)」で計算されます。

【具体例: 東京23区(2025年度基準)】

年収500万円の単身者の場合
所得:約313万円(給与所得控除・基礎控除43万円後)
所得割:313万円 × 10.4% = 約32.5万円
均等割:約6.4万円
合計:約38.9万円(月3.2万円超)

これを年10回(6月〜翌年3月)に分けて支払うため、1回あたり約3.9万円の納付書が届きます。

※実際の保険料は市区町村によって大きく異なります。お住まいの市区町村のウェブサイトで試算できるところもあるので、確認してみましょう。

国民健康保険料の減免制度を活用しよう

前年の所得が高くても、退職による収入減少を理由に減免を受けられる場合があります。多くの市区町村で、失業や倒産などの理由で所得が大幅に減少した場合の減免措置を実施しています。

市区町村の国民健康保険担当窓口に相談すれば、減免の可否を判断してもらえます。申請しないと減免されないため、必ず相談しましょう。

国民年金は定額、失業中は免除制度を活用

国民年金保険料は月額17,510円(2025年度)

国民年金保険料は所得に関係なく定額です。2025年度(2026年3月まで)は月額17,510円、2026年度(2026年4月から)は月額17,920円となります。

会社員時代は厚生年金に加入しており、保険料も会社が半分負担していました。退職後は国民年金に切り替わり、全額自己負担になります。

失業中は国民年金の免除制度を利用できる

失業状態であれば、国民年金の免除・猶予制度を利用できます。前年の所得が高くても、失業を理由にした特例免除が認められる場合があります。

免除には「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/4免除」があり、所得状況によって決まります。免除期間中も年金の受給資格期間にカウントされるため、将来の年金額は減りますが、受給資格を失うことはありません。

詳しくは国民年金を安くする国民年金免除制度をご覧ください。

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所得税は年の途中退職なら還付される可能性大

所得税は累進課税、年収に応じて税率が変わる

所得税は累進課税制度で、年収が高いほど税率が上がります。

年収300万円:所得税 約5.5万円(月4,600円)
年収500万円:所得税 約16.8万円(月14,000円)
年収700万円:所得税 約31.5万円(月26,200円)
年収1000万円:所得税 約76.8万円(月64,000円)

※基礎控除48万円、社会保険料控除14.4%で計算した目安です。

年の途中で退職したら確定申告で還付を受けられる

会社員の場合、毎月の給与から所得税がやや多めに天引きされており、年末調整で過不足を精算します。

年の途中で退職し、その年に再就職しなかった場合は年末調整を受けられません。そのため、翌年の確定申告で払いすぎた所得税を還付してもらえる可能性があります。

特に、退職後に収入がなく、社会保険料や生命保険料を自分で支払った場合は、還付額が大きくなることがあります。

参考:所得税の計算(誰でもわかる図解で解説)

失業保険に税金はかかる? 所得としてカウントされるのか

失業保険は非課税、所得にならない

失業保険(正式には雇用保険の基本手当)は非課税です。所得税も住民税もかかりません。

たとえば、失業保険で年間150万円を受給しても、税法上の所得はゼロです。確定申告も不要です(他に所得がある場合は別)。

「失業保険が税金で消える」は誤解

「失業保険 税金で消える」という検索をする人がいますが、これは誤解です。失業保険自体には税金がかかりません。

ただし、退職後も前年分の住民税や国民健康保険料は支払わなければならないため、「失業保険をもらっても、住民税や保険料で消えてしまう」と感じる人が多いのです。

失業保険と税金・保険料は別物です。失業保険は非課税ですが、前年の所得に対する住民税や国民健康保険料は容赦なく請求されます。

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退職後の税金・保険、月額でいくらかかる?

前年年収500万円で退職した場合のシミュレーション

退職直後の1年間にかかる税金・保険料を具体的に計算してみましょう。

【前提条件】
・前年年収:500万円
・単身者
・6月に退職
・退職後は無職(失業保険のみ受給)

【1年間の支払総額】

住民税:約23.6万円(月1.9万円)
国民健康保険料:約38.9万円(月3.2万円)
国民年金:約21.5万円(月1.8万円)
合計:約84.0万円(月7.0万円)

失業保険の基本手当が月15万円程度だとすると、税金・保険料で月7.0万円が消え、手元に残るのは約8万円です。これに家賃や生活費が加わるため、貯金がないと厳しい状況になります。

前年年収300万円の場合は?

住民税:約11万円(月0.9万円)
国民健康保険料:約22万円(月1.8万円)
国民年金:約21.5万円(月1.8万円)
合計:約54.5万円(月4.5万円)

年収が低ければ、住民税や国民健康保険料も下がりますが、それでも月4万円超の負担は重いでしょう。

退職後の税金・保険を抑えるための対策

国民健康保険の減免制度を必ず確認

前述の通り、退職による収入減少を理由に国民健康保険料の減免を受けられる場合があります。市区町村の窓口で相談しましょう。

国民年金の免除・猶予制度を利用

失業中であれば、国民年金の免除制度を利用できます。年金事務所またはお住まいの市区町村で手続きできます。

任意継続健康保険も検討

退職後20日以内であれば、会社の健康保険を最長2年間継続できる「任意継続健康保険」を選択できます。保険料は全額自己負担になりますが、扶養家族が多い場合や前年の所得が高い場合は、国民健康保険より安くなることがあります。

確定申告で還付を受ける

年の途中で退職した場合は、翌年の確定申告で所得税の還付を受けられる可能性があります。社会保険料控除や生命保険料控除も忘れずに申告しましょう。

まとめ: 退職前に知っておくべき税金・保険の落とし穴

退職後にかかる税金と保険料は、前年の所得を基に計算されます。このため、「去年は働いていたけど、今は無職」という状態でも容赦なく請求されます。

押さえておくべきポイント:

  • 住民税は前年所得に対して翌年課税される(6月〜翌年5月)
  • 退職月によって住民税の支払い方が変わる(6月退職は特に注意)
  • 国民健康保険料も前年所得で計算され、想像以上に高額
  • 失業保険自体には税金がかからない(非課税)
  • 国民健康保険料の減免制度、国民年金の免除制度を活用すべき
  • 年の途中退職なら確定申告で所得税の還付を受けられる

退職を考えている人は、退職後1年間の税金・保険料を事前に計算し、それを賄える貯金を確保しておくことをおすすめします。特に前年の年収が高かった人ほど、退職直後の負担が重くなるため、計画的な準備が必要です。

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よくある質問

Q1. 6月退職と7月退職、どちらが住民税の負担が軽い?

A. 住民税の総額は基本的に「前年所得」で決まるため、6月退職・7月退職で住民税が増減するわけではありません。違いは「支払い方(資金繰り)」です。6月退職は普通徴収への切り替えが早く、納付書払いが始まりやすいため負担を強く感じる人が多いです。7月退職は給与天引きが1回多くなる一方、残りは普通徴収になる点は同じです。どちらが楽かは、手元資金・退職金の有無・次の収入見込みで変わるため、退職前に「最後の給与で一括控除になりそうか」「納付書払いになるか」を会社に確認すると安心です。

Q2. 失業保険をもらうと、翌年の住民税が高くなる?

A. いいえ、なりません。失業保険(基本手当)は非課税所得のため、翌年の住民税の計算には含まれません。たとえば、失業保険で年間150万円を受給しても、税法上の所得はゼロです。翌年の住民税は、退職前に働いていた期間の給与所得のみで計算されます。

Q3. 国民健康保険料が高すぎて払えない。どうすればいい?

A. まず市区町村の国民健康保険担当窓口に相談してください。退職による収入減少を理由に減免を受けられる場合があります。また、分割払いの相談もできます。滞納すると延滞金が発生したり、保険証が使えなくなったりするため、払えない場合は必ず事前に相談しましょう。

Q4. 任意継続健康保険と国民健康保険、どちらが安い?

A. 前年の所得や扶養家族の有無によって異なります。一般的に、前年の所得が高い場合や扶養家族が多い場合は任意継続の方が安くなることがあります。任意継続は退職後20日以内に手続きが必要なため、退職前に両方の保険料を試算して比較することをおすすめします。市区町村の窓口で国民健康保険料の試算をしてもらえます。

Q5. 年の途中で退職したら確定申告は必要?

A. 必須ではありませんが、確定申告すると所得税の還付を受けられる可能性が高いです。会社員時代に毎月の給与から多めに天引きされていた所得税が、年末調整を受けずに退職すると還付されないままになります。翌年2月16日〜3月15日の確定申告期間中に申告すれば、払いすぎた所得税が戻ってきます。

Q6. 住民税を一括で払えと言われたが、分割にできない?

A. 普通徴収の場合、通常は年4回(6月、8月、10月、翌年1月)の分割納付です。ただし、一括納付を選択することもできます。分割の回数や時期は市区町村によって異なる場合があるため、納付書に記載されている問い合わせ先に確認してください。支払いが困難な場合は、市区町村の税務課に相談すれば、分納の相談に乗ってもらえることがあります。

Q7. 国民年金を免除すると、将来の年金額はどのくらい減る?

A. 免除の種類によって異なります。全額免除の場合、免除期間の年金額は通常の2分の1になります(国庫負担分のみ反映)。ただし、免除を受けても受給資格期間にはカウントされるため、将来年金を受け取れなくなることはありません。また、免除期間の保険料は後から追納(10年以内)することもできます。

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