【重要】就業手当は2025年4月の法改正に伴い廃止されました。現在は短期・臨時の仕事をしても就業手当は支給されません(再就職手当の対象になる場合を除く)。
本記事では、過去の制度の仕組みと、廃止後の現在の短期就労時の取り扱いについて解説します。
かつて存在した就業手当は、失業保険(基本手当)を受給している人が短期・臨時の仕事に就いた際に受け取れる手当でした。しかし、この手当には「申請すると支給残日数が減る」という特徴があり、結果として手取りの合計が少なくなるケースが多い制度でした。
この記事では、旧・就業手当の仕組みと「なぜ損になりやすかったのか」を整理したうえで、制度廃止後の現在、短期バイトをした場合にどうなるのかを解説します。
■目次
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就業手当とは?基本的な仕組み(※2025年3月まで)
就業手当とは、失業保険の受給中に「再就職手当の対象とならない短期・臨時の仕事」に就いた場合に支給されていた手当です。
※本制度は2025年3月31日をもって廃止されました。以下は廃止前の制度内容です。
就業手当の支給額
働いた日×基本手当日額の30%
ただし、上限額がありました。
- 60歳未満:1日あたり1,893円(2024年度実績)
- 60歳以上65歳未満:1日あたり1,532円(2024年度実績)
たとえば基本手当日額が5,000円の人が10日間働いた場合:
5,000円 × 30% × 10日 = 15,000円が就業手当として支給されていました。
就業手当の支給要件(旧要件)
就業手当を受け取るには、以下の条件をすべて満たす必要がありました。
- 支給残日数(これから受け取れる残り日数)が所定給付日数(あなたに決まっている総受給日数)の3分の1以上、かつ45日以上あること
- 再就職手当の対象とならない仕事(1年以下の契約、請負、委任など)であること
- 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと
- 待期期間(受給開始前の7日間)が経過した後に就業していること
- 自己都合退職などで給付制限がある場合、最初の1ヶ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により就業したこと(2025年4月改正により、自己都合退職の給付制限期間は原則2ヶ月から1ヶ月に短縮されました)
- 受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
就業手当の最大の欠点:申請すると支給残日数が減る
就業手当の仕組みで最も重要だったのは、申請すると失業保険の支給残日数が就業した日数分だけ減ってしまう点です。
具体例で見る損失額
【条件】
- 基本手当日額:5,000円
- 2週間(14日間)のアルバイト
- アルバイトの日給:10,000円
【就業手当を申請した場合】
- 就業手当:14日 × 5,000円 × 30% = 21,000円
- 支給残日数:14日分減少
- 実質的な損失:5,000円 × 14日 - 21,000円 = 49,000円の損
つまり、就業手当として21,000円もらえますが、本来後から受け取れるはずだった70,000円(5,000円×14日)の権利を失うことになります。
【就業手当を申請しなかった場合】
- その14日間の失業保険:支給なし(ただし支給残日数は減らない)
- アルバイト収入:10,000円 × 14日 = 140,000円
- 後日、14日分の失業保険:5,000円 × 14日 = 70,000円を受給可能
- 合計:210,000円
申請しなければ、アルバイト収入140,000円に加えて、後から失業保険70,000円も受け取れました。
なぜ申請しないほうが得なのか
基本手当は、短期の就労があっても支給残日数そのものは減りません。その就労した日の分が「支給されない(先送り)」扱いになり、受給のタイミングが後ろにずれます(※受給期限の1年以内に受け取り切れることが前提です)。
一方、就業手当を申請すると30%しかもらえない上に、支給残日数が確実に減りました。これが「就業手当は損になりやすい」と言われていた最大の理由であり、現在(廃止後)は申請そのものができないため、この損得判断で迷う必要はありません。
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就業手当と再就職手当の違い
就業手当と混同しやすいのが「再就職手当」です。再就職手当は現在も存続しており、支給額も条件も大きく異なります。
| 項目 | 再就職手当(存続) | 就業手当(廃止) |
|---|---|---|
| 対象となる就職 | 1年以上働ける見込みの安定した職業 | 1年以下の契約、請負、委任など臨時的な就業 |
| 支給残日数の条件 | 3分の1以上 | 3分の1以上、かつ45日以上 |
| 支給額 | 支給残日数×60%または70%×基本手当日額 | 働いた日×30%×基本手当日額 |
| 上限額(60歳未満) | 6,310円/日(2024年度実績 ※毎年8月改定) | 1,893円/日(廃止時点) |
再就職手当は支給残日数の60~70%という大きな割合がもらえるため、基本的に「申請したほうが得」になりやすい制度です。一方、就業手当は30%しかもらえず、現在は廃止されたため考慮する必要はありません。
参考:再就職手当とは
就業手当を申請したほうが良かったケース(参考)
原則として就業手当は申請しないほうが得になりやすい制度でしたが、以下のケースでは申請のメリットがありました。
※現在は制度廃止のため、同様の状況でも申請はできません。
1. 失業保険の受給期限(1年間)が迫っている場合
失業保険は退職日の翌日から1年間が受給期限です。この期限を過ぎると、支給残日数が残っていてもすべて失効します。
【かつての状況】
たとえば、支給残日数が90日残っているときに6ヶ月間(180日)の臨時の仕事が決まったとします。仕事が終わる頃には失業保険の受給期限である1年を過ぎてしまう場合、就業手当を申請しないと90日分の失業保険がすべて失効しました。
この場合は、就業手当を申請して30%でも受け取ったほうが、何ももらえないよりは良かったのです。
基本手当日額5,000円、支給残日数90日の例:
- 就業手当を申請した場合:90日 × 5,000円 × 30% = 135,000円
- 申請しなかった場合:受給期限切れで0円
2. すでに長期間働いてしまった後で、受給期限が近い場合
就業手当は事後申請も可能でした。すでに数ヶ月働いてしまい、その間に受給期限が迫ってしまった場合は、後から申請することで30%分を確保できました。
ただし、申請は次回の認定日または就職した日から次々回認定日の前日までに行う必要がありました。
現在の判断ポイント
現在は就業手当が廃止されたため、「受給期限(退職日の翌日から1年)内に失業保険をもらいきれるか」のみを確認すればOKです。
短期の仕事をする場合は、ハローワークで失業認定申告書に就労を記入し、その日を支給なし(先送り)として処理してもらいましょう。
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就業手当の手続き方法(※現在は廃止)
※以下は過去の手続き情報です。現在は申請できません。
必要書類
- 就業手当支給申請書(ハローワークで入手、またはハローワークインターネットサービスから印刷可能)
- 失業認定申告書(就業した日をカレンダー欄に○印で記入)
- 雇用保険受給資格者証
申請のタイミング
就業手当の申請は、原則として4週間に1回ある認定日ごとに行いました。
また、安定した職業以外で就職が決まり、就職日以降に失業認定を受ける必要がない場合は、就職した日から次々回認定日の前日までに代理人または郵送で申請することも可能でした。
就業手当支給申請書の記入例
就業手当支給申請書には以下の内容を記入しました。
- 氏名、生年月日、住所
- 雇用保険被保険者番号
- 就業先の名称、所在地、電話番号
- 就業期間(いつからいつまで働いたか)
- 就業形態(請負、委任、1年以下の雇用など)
- 働いた日数
【記入イメージ(例)】
- 就業期間:2024年10月1日〜2024年10月14日
- 就業形態:1年以下の雇用(短期アルバイト)
- 働いた日数:14日
- 就業先:勤務先名/所在地/電話番号を記入
現在はこれらの手続きは不要です。
就業手当に関するよくある誤解(現在も重要)
誤解1:「働いた日は申告すると支給残日数が減る」
正しくは:失業認定申告書に働いた日を記入しても、支給残日数は減りません。ただし受給のタイミングが後ろにずれるだけです(受給期限の1年以内に受け取り切れることが前提)。
多くの人が「働いた日を申告すると損をする(=就業手当のように30%になって日数が減る)」と勘違いしていますが、就業手当が廃止された現在、申告しても日数は減りません。正しく申告して、その日を支給なし(先送り)にするのが正解です。
誤解2:「就業手当は必ず申請しなければならない」
正しくは:かつても任意の申請でしたが、現在は廃止されたため申請自体ができません。
短期のアルバイトをしても、失業認定申告書にだけ正直に記入すればOKです。
誤解3:「途中で仕事を辞めたら就業手当は返さなければならない」
正しくは:就業手当を申請してしまった後に仕事を辞めても、すでに減った支給残日数は戻りませんでした。
現在はそもそも就業手当がないため、このリスクもありません。途中で仕事を辞めたら、再び失業認定を受ければ残りの日数分を受給できます。
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まとめ:就業手当は廃止!現在は「申告のみ」でOK
就業手当のポイントは以下の3つです。
- 就業手当は2025年4月の法改正で廃止された
- 短期のアルバイトなら、働いた日を申告するだけでOK(その日は支給なし=先送り)
- 就業手当の「申請して損をする」リスクはなくなった
失業保険を受給しながら働く場合は、まず「再就職手当の対象になるか(1年以上の安定雇用か)」を確認してください。再就職手当なら60~70%と高い割合で支給されるため、該当する場合は申請を検討する価値があります。
再就職手当に該当しない短期・臨時の仕事の場合は、失業認定申告書に正しく記入しましょう。就業手当は廃止されたため、迷う必要はありません。
よくある質問
Q1. 就業手当はいつ廃止されましたか?
A. 就業手当は2025年4月の雇用保険法改正に伴い、2025年3月31日をもって廃止されました。現在は短期の仕事をしても就業手当は支給されませんが、働いた日の分は支給なし(先送り)として処理され、支給残日数が減ることはありません。
Q2. 短期アルバイトをしたらどうすればいいですか?
A. 失業認定日に提出する「失業認定申告書」のカレンダー欄に、働いた日を○または×で記入して提出してください。就業手当の申請は不要(廃止済み)です。申告することで、その日の分の失業保険は支給されませんが、支給残日数は減らずに後回し(繰り越し)にされます。
Q3. 就業手当と再就職手当の違いは何ですか?
A. 再就職手当は1年以上働ける安定した職業に就いた場合に支給される手当(現在も存続)で、支給残日数の60%または70%が支給されます。一方、就業手当はかつて短期の仕事に対し30%支給されていた手当ですが、現在は廃止されています。
Q4. 働いた日を申告すると支給残日数が減りますか?
A. いいえ、減りません。失業認定申告書に働いた日を記入しても、支給残日数は減らずに後ろにずれるだけです。かつての就業手当を申請した場合は減っていましたが、制度廃止によりその心配はなくなりました。
Q5. 給付制限期間は短縮されましたか?
A. はい。2025年4月の法改正により、自己都合退職の給付制限期間は原則「2ヶ月」から「1ヶ月」に短縮されました(5年以内に2回以上の正当な理由のない自己都合退職がある場合を除く)。これにより、以前より早く失業保険を受け取れるようになっています。
Q6. 再就職手当の上限額はいくらですか?
A. 再就職手当等の算定基礎となる基本手当日額の上限額(60歳未満)は、毎年8月1日に改定されます。2024年度実績では6,310円でしたが、最新の金額はハローワーク等で確認してください。なお、就業手当(廃止)の上限額とは異なります。