失業保険(基本手当)の金額は、「辞める直前の6ヶ月間の給料」で決まります。 この6ヶ月分の給料を合計して180で割り、1日あたりの金額(賃金日額)を算出します。
そこで重要になるのが、「その給料の中に、交通費やボーナスは含めていいのか?」という点です。
結論から先に言います。
交通費(通勤手当): 計算に含まれます(金額アップ!)
ボーナス(賞与): 計算に含まれません
役職手当・残業代: 計算に含まれます
この「含まれるもの」を知っておかないと、ハローワークで提示された金額が正しいかチェックできません。 具体的に何が含まれて、何が除外されるのか、詳しく見ていきましょう。
■目次
失業保険の計算の仕組み(図解)
まずは計算の全体像を把握しましょう。

離職前6ヶ月の「賃金総額」を計算する
それを180で割って「賃金日額」を出す
賃金日額に給付率(50~80%)を掛けて「基本手当日額」が決まる
つまり、「賃金総額」に含まれる手当が多ければ多いほど、もらえる失業保険は増える仕組みです。
ボーナス(賞与)は原則「含まれない」
残念ながら、ボーナス(賞与)は失業保険の計算対象外です。
失業保険の計算の元になる「賃金」とは、原則として「毎月決まって支払われるもの」を指します。そのため、臨時で支払われるボーナスは除外されます。
なぜ雇用保険料は引かれているのに?
給与明細を見ると、ボーナスからも「雇用保険料」が引かれていますよね。 「保険料を取っておいて、計算に入れないのはおかしい!」と感じるかもしれません。
しかし、現在の制度では「保険料は徴収するが、失業保険(基本手当)の計算ベースには入れない」という仕組みになっています。これは、ボーナスの有無や金額によって、受給者間で極端な格差が生まれないようにするためです。
【例外】ボーナスが含まれるケース
例外として、「年4回以上」支払われる賞与は、毎月の給与と同じ扱いとなり、計算に含まれます。ただし、日本の企業の多くは「年2回(夏・冬)」支給ですので、ほとんどの方は対象外となります。
交通費・役職手当は「含まれる」
ここが一番のポイントです。 交通費(通勤手当)や役職手当は、計算に「含まれます」。
交通費(通勤手当)の重要性
通勤手当は、所得税の計算では一定額まで「非課税(税金がかからない)」ですが、雇用保険の計算では全額「賃金」として扱われます。
つまり、遠くから通っていて交通費が高い人ほど、賃金日額が高くなり、結果として失業保険を多くもらえることになります。 (※6ヶ月定期代などが支給されている場合は、1ヶ月分に割り戻して計算されます)
役職手当の扱い
検索でも多い質問ですが、「役職手当」も計算に含まれます。 部長手当、リーダー手当など、名称に関わらず毎月支払われているものであれば対象です。
【一覧表】含まれるもの・含まれないもの
お手元の給与明細と照らし合わせて確認してください。
計算に「含まれる」もの(プラスになる)
- 基本給
- 通勤手当(定期代、ガソリン代などすべて)
- 残業手当(時間外手当)
- 役職手当(管理職手当)
- 深夜・休日手当
- 住宅手当(家賃補助)
- 家族手当(扶養手当)
- 資格手当
- 皆勤手当
- 教育手当
- 日直・宿直手当
※「税金がかからない手当(非課税通勤費など)」であっても、雇用保険上は「賃金」として計算に含めます。
計算に「含まれない」もの(対象外)
- 賞与(年3回以下のボーナス)
- 退職金
- 解雇予告手当
- 出張旅費・宿泊費(実費弁償的なもの)
- 結婚祝い金・見舞金(臨時的なもの)
- 財形貯蓄の利子補給
【裏技】退職前に残業をすると失業保険が増える
ここまで見てきた通り、「残業代(超過勤務手当)」も計算に含まれます。
失業保険の額を決めるのは、「辞める直前の6ヶ月間」だけです。 つまり、入社してからずっと給料が低くても、最後の6ヶ月間だけ残業を頑張って給料総額を増やせば、失業保険の受給額(基本手当日額)はアップします。
基本手当日額が100円上がれば、90日分で9,000円、150日分で15,000円の差になります。
有給消化に入る前に、繁忙期などで残業をしておくのは有効な手段です。
ただし、基本手当日額には「年齢ごとの上限額」がありますので、すでに高年収の方は残業しても上限に引っかかり、受給額が変わらない場合もあります。
※これは制度上の仕組みの説明であり、不正受給や不自然な労働を推奨するものではありません。
まとめ:給与明細の「総支給額」をチェックしよう
失業保険の計算についてまとめます。
- ボーナス: 原則含まれない
- 交通費: 含まれる(高いほど有利)
- 各種手当: 毎月払われるものはほぼ全て含まれる
- 残業代: 含まれる(直前6ヶ月に残業するとお得)
離職票が届いたら、記載されている賃金額が「交通費込み」になっているか必ず確認しましょう。会社側が間違えて「税金計算用の金額(交通費抜き)」や「基本給のみ」で記載してしまうミスも稀にあります。
もし金額が少なすぎると感じたら、ハローワークで給与明細を提示して訂正を求めることができます。正しい知識を持って、損をしないようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 6ヶ月定期代をもらっていた場合、計算はどうなりますか?
A. 支給された定期代を「1ヶ月分」に割り戻して、各月の賃金に加算します。例えば、1月に6ヶ月定期代(6万円)が支給された場合、1月だけに6万円足すのではなく、1月〜6月の各月に1万円ずつプラスして計算されます。
Q2. 会社を欠勤して給与が減った月がある場合はどうなりますか?
A. 病気や私用で欠勤し、給与支払日数が11日未満になった月は、原則として計算対象から除外され、その前の月(7ヶ月前など)に遡って計算します。これにより、欠勤で極端に受給額が下がるのを防ぐ仕組みになっています。
Q3. 退職金は失業保険の計算に含まれますか?
A. 含まれません。退職金は「賃金」ではなく、労働の対価として後払いされる性格のものや功労報償的なものとみなされるため、失業給付の計算ベース(賃金日額)には一切影響しません。
Q4. 固定残業代(みなし残業代)は含まれますか?
A. 含まれます。毎月固定で支払われている手当ですので、計算対象となります。