失業保険の手続きには「いつまでに申請すべきか」と「いつまで受給できるか(有効期限)」という2つの期限があります。この2つを混同すると、本来もらえるはずの失業給付を受け取れなくなる可能性があります。
ここで言う「いつまでに申請すべきか」は、法律上の締切というよりも、受給期限(原則1年間)の中で損をしないための目安です。一方で「いつまで受給できるか」は、期限を過ぎると残日数があっても受け取れなくなるタイムリミットです。
この記事では、失業保険の期限について、それぞれのケースで「いつまでに何をすべきか」を具体的に解説します。
■目次
失業保険の受給期限は原則1年間
失業保険(失業給付)を受け取れる期限は、離職日の翌日から1年間です。この1年間の間に、ハローワークでの手続きと失業給付の受給を完了させる必要があります。
1年が経過してしまうと、まだ給付日数が残っていたとしても、その分は受け取ることができなくなります。
給付日数が330日・360日の場合は例外
ただし、給付日数が330日または360日の場合は、受給期限が延長されます。
- 330日の給付日数がある場合:離職日の翌日から1年+30日
- 360日の給付日数がある場合:離職日の翌日から1年+60日
330日以下の給付日数の方は、すべて受給期限は1年間となります。
待機期間とは何か
失業保険の手続きをする際、必ず理解しておくべきなのが「待機期間」です。待機期間とは、失業状態であることを確認するための7日間のことで、全員が対象となります。
待機期間は、求職申込をした日から数えて原則「7日間連続」で数えます。この期間は「完全に失業状態」である必要があるため、アルバイトなどで収入を得ると、その日は待機期間としてカウントされず、待機期間の完成(7日が満了する日)が後ろ倒しになります。
待機期間は給付日数には含まれない
待機期間の7日間は、失業給付の支給対象外です。つまり、給付日数が120日ある場合でも、実際に失業給付が支払われるのは120日分であり、待機期間の7日間は別にカウントされます。
自己都合退職の場合は給付制限期間がある
自己都合で退職した場合、待機期間(7日間)に加えて給付制限期間があります。
2025年4月の法改正により、給付制限期間は従来の2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。ただし、この短縮が適用されるのは、過去5年間で2回まで自己都合退職をした場合に限ります。3回目以降の自己都合退職では、給付制限期間は3ヶ月となります。
給付制限期間中は失業給付を受け取ることができません。つまり、自己都合退職の場合、実際に失業給付が支給開始されるのは、ハローワークで手続きをしてから最短でも約38日後(待機7日+給付制限1ヶ月)となります。
給付制限期間は受給期限に含まれる
重要なポイントとして、給付制限期間も受給期限の1年間に含まれます。つまり、手続きが遅れると、給付制限期間の分だけ受給できる期間が短くなってしまいます。
いつまでに手続きすべきか
「いつまでに手続きすればよいか」という質問に対する答えは、できるだけ早くです。その理由を、会社都合退職と自己都合退職に分けて説明します。
会社都合退職の場合
会社都合退職の場合、待機期間(7日間)が終わればすぐに失業給付の支給が始まります。そのため、手続きが遅れた分だけ、受給期限(1年間)の中で受け取れる日数が減ってしまいます。
離職票は通常、退職日から10日前後で会社から届きます。離職票が届き次第、速やかにハローワークで手続きをすることをお勧めします。
会社都合退職で手続きが遅れた場合の例
40歳のAさんは3月31日に会社都合で退職しました。15年勤務していたため、本来240日分の失業給付を受けられます。
しかし、すぐに就職が決まると考えて手続きを先延ばしにし、10月1日にようやくハローワークで手続きをしました。
この場合、Aさんが受け取れるのは以下の通りです。
- 受給期限:翌年3月31日まで
- 待機期間:10月1日~10月7日(7日間)
- 給付開始:10月8日
- 給付終了:翌年3月31日
- 実際に受給できる日数:175日分(本来の240日から65日分を損失)

自己都合退職の場合
自己都合退職の場合は、待機期間(7日間)に加えて給付制限期間(1ヶ月)があるため、実際の給付開始までに時間がかかります。しかし、この給付制限期間も受給期限の1年間に含まれるため、手続きが遅れるとさらに不利になります。
自己都合退職で手続きが遅れた場合の例
40歳のBさんは3月31日に自己都合で退職しました。15年勤務していたため、本来120日分の失業給付を受けられます。
給付制限期間(1ヶ月)を待つのが無駄だと考え、11月1日に手続きをしました。
この場合、Bさんが受け取れるのは以下の通りです。
- 受給期限:翌年3月31日まで
- 待機期間:11月1日~11月7日(7日間)
- 給付制限期間:11月8日~12月7日(1ヶ月)
- 給付開始:12月8日
- 給付終了:翌年3月31日
- 実際に受給できる日数:114日分(本来の120日から6日分を損失)
このように、自己都合退職の場合でも、早めに手続きをすることで受給できる日数を最大化できます。特に、さらに手続きを遅らせるほど「受給期限までの残り日数」が減るため、損失日数は大きくなります。
手続きしたら雇用保険の加入期間はリセットされるのか
よくある誤解として、「失業保険の手続きをすると、雇用保険の加入期間がリセットされる」というものがあります。これは間違いです。
雇用保険の加入期間がリセットされるのは、実際に失業給付を受給した場合のみです。手続きだけして、すぐに就職が決まり、失業給付を1円も受け取らなかった場合は、加入期間はリセットされません。
雇用保険の加入期間を合算できる条件
次の就職先での雇用保険加入開始日が、前職の離職日の翌日から1年以内であれば、雇用保険の加入期間は合算されます。
例えば:
- 前職の離職日:2024年3月31日
- 次の就職先での雇用保険加入日:2025年2月1日
この場合、前職の離職日の翌日(2024年4月1日)から1年以内(2025年3月31日まで)に次の就職先で雇用保険に加入しているため、加入期間は合算されます。
加入期間が長ければ長いほど、将来失業した際の給付日数が増えることになります。
手続き後すぐに就職が決まった場合は再就職手当がもらえる
失業保険の手続きをした後、早期に就職が決まった場合は、「再就職手当」を受け取ることができます。
再就職手当は、失業給付の残日数に応じて、最大で残日数の70%を一時金として受け取れる制度です。早期に就職が決まることを促進するための制度で、失業給付を全額受け取るよりも得になるケースもあります。
詳しくは以下の記事を参照してください。
すぐに働けない場合は受給期間の延長ができる
病気、けが、妊娠、出産、育児、親族の介護などの理由で、退職後すぐに働くことができない場合は、受給期間を最長3年間延長することができます。
この延長手続きをすることで、働けるようになってから失業給付を受け取ることが可能です。延長手続きは、働けなくなった日の翌日から30日経過後に行う必要があります。
詳しくは以下の記事を参照してください。
給付日数の確認方法
自分が何日分の失業給付を受けられるかは、退職理由と雇用保険の加入期間によって決まります。
おおよその給付日数と金額は、以下の自動計算ツールで確認できます。
よくある質問
Q1. 離職票が届くのが遅い場合はどうすればよいですか?
離職票は通常、退職日から10日前後で届きますが、会社の手続きが遅れている場合もあります。2週間以上経っても届かない場合は、まず会社に確認してください。それでも対応してもらえない場合は、ハローワークに相談することで、ハローワークから会社に催促してもらうことができます。
Q2. 失業給付の手続きをしないまま1年が経過した場合、権利は完全に消滅しますか?
はい、受給期限(原則1年間)を過ぎると、失業給付を受け取る権利は完全に消滅します。ただし、病気や出産などやむを得ない理由で働けなかった場合は、受給期間の延長手続きができるため、該当する方は早めにハローワークに相談してください。
Q3. 待機期間中にアルバイトをしたらどうなりますか?
待機期間の7日間は、完全に失業状態である必要があります。この期間中にアルバイトなどで収入を得た場合、その日は待機期間としてカウントされず、待機期間の完成が先送りになります(リセットではなく延長)。待機期間がスムーズに終わるまでは、原則として労働を避けるべきです。
Q4. 給付制限期間中はアルバイトをしてもよいですか?
給付制限期間中は、アルバイトをすることができます。ただし、週20時間以上働く場合や、雇用保険に加入するような働き方をすると、就職したとみなされる可能性があるため注意が必要です。アルバイトをする場合は、必ずハローワークに申告してください。
Q5. 失業給付を受け取らずに就職した場合、雇用保険の加入期間はどうなりますか?
失業給付の手続きをしても、実際に受給しなければ雇用保険の加入期間はリセットされません。次の就職先で雇用保険に加入する日が、前職の離職日の翌日から1年以内であれば、加入期間は合算されます。
Q6. 自己都合退職だが、給付制限期間なしで受給できるケースはありますか?
はい、あります。自己都合退職でも、以下のような「正当な理由」がある場合は、給付制限期間なしで受給できます。
- 体力不足、心身の障害、疾病、負傷などにより離職した場合
- 妊娠、出産、育児により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた場合
- 配偶者や親族の介護・看護のため離職した場合
- 配偶者の転勤に伴って通勤が困難になった場合
これらに該当する場合は、離職票の記載内容とハローワークでの面談で判断されます。
まとめ
失業保険の期限について、重要なポイントをまとめます。
- 受給期限は原則として離職日の翌日から1年間(330日・360日の給付日数の場合は延長あり)
- 手続きは離職票が届き次第、できるだけ早く行うべき
- 待機期間(7日間)は全員が対象で、この期間中の労働は避けるべき
- 自己都合退職の場合、2025年4月以降は給付制限期間が1ヶ月に短縮(過去5年で2回まで)
- 給付制限期間も受給期限の1年間に含まれるため、手続きの遅延は不利
- 手続きしただけでは雇用保険の加入期間はリセットされない
- すぐに就職が決まった場合は再就職手当を受け取れる
- 働けない事情がある場合は、最長3年間の受給期間延長が可能
すぐに就職が決まる見込みがあっても、万が一に備えて早めに手続きをしておくことをお勧めします。手続きをしてすぐに就職が決まれば再就職手当がもらえますし、失業給付を受け取らなければ雇用保険の加入期間もリセットされないため、デメリットはありません。
◆参考リンク