失業保険を受給している間、夫の扶養に入れるのでしょうか?結論から言うと、基本手当日額が3,612円未満なら扶養に入ることが可能です。
ただし、基本手当日額が3,612円以上の場合でも、給付制限期間中(原則1ヶ月間)に限っては扶養に入ることができます。
ただし、扶養に入れる条件を満たし、保険組合が認めた場合です。
【最初に結論】扶養に入れる条件を満たし、保険組合が認めた場合
<扶養に入れる場合>
手間:夫の勤務先へ書類提出
費用:国民年金・国保が不要(月約3万円以上の節約)
<扶養に入れない場合>
手間:自分で役所にて手続き(加入・脱退)
費用:保険料が発生(月約3万円〜 ※前年所得による)
このように、手間はどちらも発生しますが、扶養に入れば数万円の節約になります。扶養に入るための条件、メリット・デメリット、そして実際の手続き方法について詳しく説明していきます。
※以前は給付制限期間が2ヶ月〜3ヶ月と長かったため、扶養に入るメリット(約6万〜10万円程度の節約)は大きかったのですが、期間短縮によりメリットは縮小しています。
■目次
扶養に入れる条件:年間130万円未満の収入見込み
失業保険の収入は「見込み」で計算される
扶養に入るためには、年間の収入見込みが130万円未満でなければいけません。これは健康保険組合の収入要件によるものです。
パート・アルバイトの収入ならわかりやすいのですが、失業保険の場合は将来の予定収入(見込額)で計算します。失業保険を1年間もらい続けた場合に130万円を超えるかどうかで判断されます。
※重要:「見込み」の計算方法(1年を何日として換算するか、失業保険をどう評価するか)は、健康保険組合(協会けんぽ・健保組合等)によって取扱いが異なることがあります。この記事では一般的に用いられる目安を示しますが、最終判断は必ず加入先の健康保険に確認してください。
基本手当日額3,612円未満なら扶養に入れる
失業保険の場合、1年を360日として計算します。
130万円÷360日=3,611円(3,612円未満)
つまり、基本手当日額が3,611円以下であれば扶養に入ることができます。基本手当日額が3,612円以上の場合は、扶養に入ることができません。
※ここでのポイント:扶養判定は「今月いくら受け取ったか」ではなく、基本手当日額をベースに「受給が続いた場合の見込み」で判断されるのが原則です(ただし組合により例外あり)。
基本手当日額が3,611円というのは、退職前の給与でいうと月額13万5千円前後の収入がある場合に相当します。
給付制限期間中(1ヶ月間)は基本手当日額に関係なく扶養に入れる
2025年4月から給付制限期間が1ヶ月に短縮
自己都合退職の場合、失業保険の手続きをしてもすぐに失業保険を受け取ることができません。2025年4月1日より、給付制限期間は原則1ヶ月に短縮されました。
※自己都合退職でもやむを得ない理由での退職の場合は給付制限がつかず、すぐに支給が開始されます。
※5年間に3回以上の正当な理由のない自己都合退職がある場合は、給付制限期間が長くなることがあります。
◆失業保険で得する人と損する人(特定受給資格者と特定理由離職者)
給付制限期間中だけでも扶養に入るメリット
基本手当日額が3,612円以上で通常は扶養に入れない場合でも、給付制限期間中(原則1ヶ月間)は扶養に入ることが可能です。
理由はシンプルで、給付制限期間中は失業保険(基本手当)の支給が行われないためです。支給がない期間は、失業保険を「収入」として評価されにくく、扶養認定を受けられる可能性があります。
1ヶ月待っている間にも、国民年金や国民健康保険に加入する必要があり、当然保険料も支払わなければなりませんが、その間に配偶者等の扶養に入ることで保険料を節約できます。
国民年金保険料は月額17,510円(2025年度)、国民健康保険料は月額1万5千円~2万円程度(年齢・地域により異なる)ですので、1ヶ月だけでも扶養に入れば約3万円の節約になります。
※保険組合によっては、求職期間(給付制限期間を含む)中は扶養に入ることができない場合があります。手続きが煩雑なためかもしれません。事前に保険組合に確認しておきましょう。
扶養に入るメリットとデメリット
扶養に入った方が良いのか、それとも入らずにもっと働いた方がよいのか、メリットとデメリットを整理しておきましょう。
・国民年金、国民健康保険料を払わなくて良い
・税金面で優遇される
■【デメリット】
・自身のキャリア形成が作れない
・将来受け取れる年金が少なくなる
メリット①:国民年金・国民健康保険料を払わなくて良い
扶養に入る一番のメリットが保険料を払わなくても良いことです。
・国民年金保険料は月額17,510円(2025年度)
・国民健康保険料は35歳・年収300万円の場合で、東京都新宿区で約1万5千円、大阪市では約2万円です。
※国民健康保険料は市区町村で金額が異なります。
合計すれば1ヶ月で約3万2千円~3万7千円程の負担になります。給付制限期間の1ヶ月だけでも扶養に入れれば、約3万円は得することになります。
※注意:国民健康保険料の金額例はあくまで目安です。実際の保険料は所得・世帯・自治体で大きく変わります。
メリット②:税金面で優遇される(配偶者控除・配偶者特別控除等)
扶養に入るということは収入を抑えることになります。収入を抑えることで税金の支払いを減らしたり、控除を増やすことができます。
・配偶者控除(配偶者特別控除)
・所得税
・住民税
2018年1月の改正により年収150万円までは配偶者特別控除でも38万円満額控除対象となりました。仮に130万円まで働いたとしても控除額38万円は変わらず、所得税は発生しますがその額はわずかです(年収130万円でも13,500円程)。
収入が少なければ所得税、住民税の負担も減ります。ただし130万円を超えてしまうと扶養に入れなくなります。
デメリット①:自身のキャリア形成が作れない
扶養範囲内での働き方になると、当然パートやアルバイト的な仕事になってしまいます。しかしそれではキャリア形成を作ることができません。
将来、正社員等のフルタイムで働こうとしても、パートやアルバイトのみの経験では就職が難しくなります。
デメリット②:将来受け取れる年金が少なくなる
年金の種類として「国民年金」と「厚生年金」があります。サラリーマン等の社会保険料を支払っている方は厚生年金、それ以外の方(自営、扶養者など)は国民年金です。
厚生年金と国民年金では将来受け取る年金が大きく変わります。
国民年金の場合満額でも月に約6万8千円程。正社員等で働き続けた場合の厚生年金額は平均で月15万円。将来の受取額でこれだけの差が出ます。厚生年金は国民年金よりも負担が大きいのですが、働いている本人と同額を会社側でも負担します。そのため将来の受取額に大きな差が出るのです。
もちろん厚生年金、国民年金に両方入っている方の方が多いかもしれません。問題はその加入期間の割合です。年金等含め長い目で見た時に、一概に扶養に入ることが得だとは言い切れません。年金受給額は長生きすればするほど差が出てくるからです。
たとえば年金を将来20年受ける場合、月6万8千円の年金では合計1,632万円です。厚生年金を長年払い続けていた場合、月15万円の年金では合計3,600万円です。その差はおよそ2,000万円にもなります。
仮に扶養に40年入っていたとしても2千万円の節約にはなりません。
扶養に入るための手続き
扶養に入るには、各健康保険組合の認定を受ける必要があります。必要なものは各保険組合により異なります。
・健康保険被扶養者(異動)届
・被扶養者認定申請書
・離職票(退職後に会社から受け取るもの)
【扶養から外す手続き、再加入手続き】
・雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)
上記のようなものが必要です。詳細は配偶者の勤務先または健康保険組合に確認してください。
※扶養から外れる場合は、国民年金、国民健康保険の手続きが必要です(市区町村役場)。
よくある質問
失業保険の待機期間中は扶養に入れる?
はい、入れます。失業保険の手続き後の7日間の待機期間中は、失業保険を受給していないため、基本手当日額に関係なく扶養に入ることができます。
基本手当日額が3,612円以上でも扶養に入れるケースは?
給付制限期間中(原則1ヶ月間)は、基本手当日額に関係なく扶養に入ることができます。ただし、保険組合によっては求職期間中の扶養加入を認めていない場合があるため、事前に確認が必要です。
扶養に入るのと入らないの、どちらが得?
短期的には扶養に入る方が保険料を節約できますが、長期的には厚生年金に加入して働く方が将来の年金受給額が大きくなります。20年間の年金受給で約2,000万円の差が出ることもあります。
失業保険の受給が終わったら自動的に扶養に戻れる?
いいえ、自動的には戻れません。失業保険の受給が終わったら、改めて扶養加入の手続きが必要です。雇用保険受給資格者証(または受給資格通知)を持って、配偶者の勤務先または健康保険組合で手続きを行ってください。
扶養に入っていても失業保険は全額もらえる?
はい、失業保険の金額には影響しません。扶養に入っているかどうかで失業保険の支給額が減ることはありません。
健康保険組合によって扶養の条件は違う?
はい、組合によって条件が異なる場合があります。特に「求職期間中は扶養に入れない」という規定を設けている組合もあります。必ず事前に配偶者の健康保険組合に確認してください。
パートで働きながら失業保険をもらう場合、扶養はどうなる?
パート収入がある場合でも扶養判定は可能ですが、失業保険の扱いが入るため単純計算にならないことがあります。一般的には、基本手当日額が基準未満であることに加えて、パート収入を含めた収入見込みが基準内かどうかを見られます。いずれにせよ、失業保険受給中のアルバイト・パートは受給に影響するため、ハローワークへの申告が必要です。