雇用保険(失業保険)の役立話

派遣でも再就職手当はもらえる?3ヶ月更新と給付制限1ヶ月の注意点

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「派遣で仕事が決まったけど、再就職手当はもらえるの?」「3ヶ月更新だと対象外になる?」こんな疑問を持つ方は多いでしょう。

結論から言うと、派遣社員でも再就職手当は受け取れます。3ヶ月更新であっても、条件を満たせば問題ありません。

ただし、派遣特有の注意点があります。この記事では、派遣で再就職手当をもらうための3つの条件と、特に間違いやすい「職業紹介事業者」と「派遣会社」の違いについて詳しく解説します。

■目次

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派遣でも再就職手当はもらえる!3つの条件を確認

派遣社員として就職が決まった場合でも、以下の3つの条件をすべて満たせば再就職手当を受け取ることができます。

  1. 1年を超えて勤務することが確実であること(更新ありでも可)
  2. 就職日の前日までに基本手当の残日数が3分の1以上残っていること
  3. 給付制限期間(1ヶ月)がある場合は、待機期間終了後1ヶ月以内はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介であること

※この記事では「就職日=実際に働き始める日(初出勤日)」として説明します(内定日や雇用契約の締結日ではありません)。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

条件①:1年を超えて勤務することが確実であること

派遣の場合、最初の契約期間は3ヶ月であることがほとんどです。「3ヶ月契約なのに、1年以上って無理じゃない?」と思うかもしれません。

しかし、派遣の場合は「契約が更新される可能性があるかどうか」で判断されます。最初の契約が3ヶ月でも、継続の見込みがあれば条件を満たすことができます。

3ヶ月更新でも大丈夫なケース・ダメなケース

○ 3ヶ月契約(更新の可能性あり)→ 要件を満たす
× 3ヶ月契約(更新の可能性なし)→ 要件を満たさない

つまり、雇用契約書に「更新あり」「更新の可能性あり」などと記載されていれば、3ヶ月契約であっても再就職手当の対象になります。

最終的な審査はハローワークが行い、その審査に必要な書類として、派遣会社(雇用主)が「採用証明書(再就職手当支給申請書の事業主記入欄)」に「1年以上の雇用見込み」を記載できるかが実務上のポイントになります。

2ヶ月更新の場合は?

2ヶ月更新の派遣契約も同様です。「更新の可能性あり」であれば、トータルで1年以上働く見込みがあると判断されます。

無期雇用派遣の場合

無期雇用派遣(派遣会社と無期限の雇用契約を結び、派遣先に派遣される形態)の場合は、当然ながら1年以上働く見込みがあると判断されるため、再就職手当の対象になります。

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条件②:就職日の前日までに基本手当の残日数が3分の1以上残っていること

失業保険(雇用保険の基本手当)の残日数が3分の1未満になってしまうと、再就職手当は受け取れません。

就職日の前日の時点で、以下のいずれかに該当する必要があります。

3分の2以上残日数あり → 70%支給
3分の1以上残日数あり → 60%支給

3分の1未満の場合は受け取ることができません。残日数は雇用保険受給資格者証の裏面に記載されているので、必ず確認しましょう。

具体例で計算してみよう

【ケース1】給付制限がなく、所定給付日数が90日の場合

4月10日:雇用保険手続き
4月10日~4月16日:待機期間(7日間)
4月17日:支給開始
6月1日:就職予定日

就職予定日(6月1日)の前日(5月31日)の時点で、残日数が何日残っているか計算します。

4月17日~4月30日(14日)
5月1日~5月31日(31日)
合計:45日消化

90日 - 45日 = 45日残

90日に対して45日残っているということは、ちょうど2分の1になります。

この場合、3分の2以上ではなく、3分の1以上の範囲になるため、支給率は60%です。

仮に1日の基本手当日額が5,000円の場合:
45日 × 5,000円 × 0.6 = 135,000円

この135,000円が再就職手当額です。

【ケース2】給付制限(1ヶ月)ありの場合、所定給付日数が90日の場合

※2025年4月の法改正により、自己都合退職の給付制限期間は2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。

4月10日:雇用保険手続き
4月10日~4月16日:待機期間(7日間)
4月17日~5月16日:給付制限(1ヶ月)
5月17日:就職予定日

給付制限期間中は基本手当が支給されていないため、90日分そのまま残っています。

この場合、3分の2以上残っていることになるので、支給率は70%です。

仮に1日の基本手当日額が5,000円の場合:
90日 × 5,000円 × 0.7 = 315,000円

この315,000円が再就職手当となります。

※実際の「失業保険が振り込まれる日」は認定日後になりますが、ここでは「給付日数(残日数)のカウント」を分かりやすくするため、日付を簡略化して計算しています。

条件③:給付制限期間の最初の1ヶ月はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介であること

この条件が一番わかりにくく、派遣で再就職手当をもらえなかったという方の多くがこの条件を理解していなかったケースです。

給付制限ありの場合の注意点

自己都合退職などで給付制限期間(1ヶ月)がある方は、以下のような流れで雇用保険を受け取ります。

  1. ハローワークにて雇用保険の手続き
  2. 7日間の待機期間
  3. 1ヶ月の給付制限期間
  4. 雇用保険受給開始

この1ヶ月の給付制限期間中(待機期間終了後1ヶ月)に就職する場合は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介での就職でないと再就職手当は出ません。

この期間に派遣会社から派遣社員として働き始める場合は、(その就職が「職業紹介事業者の紹介」ではない限り)原則として対象になりません。ここは要注意です。

※同じ会社名でも「派遣(派遣会社が雇用主)」と「職業紹介(直接雇用)」で扱いが変わります。詳しくは後半で説明します。

給付制限の最初の1ヶ月とは具体的にいつ?

手続きの流れを例で見てみましょう(4月15日に雇用保険の手続きをした場合)。

日付 内容
4月15日 雇用保険手続き
4月15日~4月21日 待機期間(7日間)
4月22日~5月21日 給付制限(待機終了後1ヶ月)← この期間が要注意!
5月22日~ 支給開始

5月21日までに派遣として仕事を開始する場合、派遣会社経由(派遣)だと再就職手当を受け取れない可能性があります。必ずハローワークまたは職業紹介事業者の紹介を受けてください。

5月22日以降に就業を開始する場合は、派遣会社経由でも何ら問題ありません(他の条件も満たす必要があります)。

会社都合退職の場合は?

会社都合退職や特定理由離職者など、給付制限がない方はこの条件を気にする必要はありません。待機期間(7日間)終了後すぐに就職しても、派遣会社経由で問題なく再就職手当を受け取れます。

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【重要】職業紹介事業者と派遣会社の違い

「職業紹介事業者」と「派遣会社」、この2つの違いを理解することが非常に重要です。

職業紹介事業者とは

職業紹介事業者は、求職者と企業を仲介する事業者です。実際に雇用契約を結ぶのは、求職者と就職先の企業(直接雇用)です。

代表的な職業紹介事業者:

  • リクルートエージェント
  • doda
  • パソナキャリア
  • マイナビエージェント
  • 人材バンク、人材コンサルタント会社など

いわゆる「転職エージェント」と呼ばれるところが職業紹介事業者です。

派遣会社とは

派遣会社は、派遣社員と派遣会社が雇用契約を結び、派遣先企業に派遣される形態です。給与の支払いは派遣会社から行われます。

代表的な派遣会社:

  • パソナ(派遣事業)
  • テンプスタッフ
  • スタッフサービス
  • リクルートスタッフィング

同じ会社でも事業内容が違う

パソナやテンプスタッフなどは、派遣事業と職業紹介事業の両方を行っています。

同じ会社を利用しても、「派遣」として働くのか「職業紹介」を受けて直接雇用されるのかで、再就職手当の扱いが変わります。

給付制限期間の最初の1ヶ月以内に就職する場合は、必ず「職業紹介事業者」としての紹介を受けるか、ハローワーク経由で就職してください。

紹介予定派遣の場合は?

紹介予定派遣は、最初は派遣として働き、一定期間後に直接雇用に切り替わる制度です。

紹介予定派遣の再就職手当の扱いは、開始時点では「派遣」として扱われます。したがって、給付制限期間の最初の1ヶ月以内に紹介予定派遣で就職する場合も、基本的には再就職手当の対象外となる可能性があります。

ただし、「派遣として働き始める日」と「直接雇用に切り替わる日」で扱いが分かれることがあります。書類上どの形で就職したことになるかはケースによって判断が分かれるため、必ず事前にハローワークに確認してください。

求人サイト経由は対象外の期間がある

リクナビNEXT、エン転職、Indeed、マイナビ転職などのインターネット求人サイトを利用して採用された場合、給付制限期間の最初の1ヶ月間は再就職手当を受け取れません。

求人サイトは求人情報を提供しているだけで、職業紹介事業者ではありません。実際は本人と企業が直接やり取りをしているため、給付制限期間(1ヶ月目)における「職業紹介事業者の紹介」という条件を満たさないのです。

ただし、給付制限期間の1ヶ月を過ぎてから就職する場合や、そもそも給付制限がない方(会社都合退職など)は、求人サイト経由で就職しても再就職手当の対象になります。

再就職手当の手続き方法

派遣で就職が決まり、条件を満たしている場合の手続き方法を簡単に説明します。

①派遣会社に採用証明書を依頼

まず、派遣会社に「採用証明書」の作成を依頼します。この書類には、1年以上働く見込みがあることを派遣会社が証明する内容が記載されます。

②ハローワークに必要書類を提出

以下の書類を持って、ハローワークで再就職手当の申請を行います。

  • 再就職手当支給申請書
  • 雇用保険受給資格者証
  • 採用証明書(派遣会社が記入)
  • その他、ハローワークから指示された書類

申請期限は就職日の翌日から1ヶ月以内です。遅れると受け取れなくなるので注意してください。

詳しい手続き方法については、こちらの記事をご覧ください。
再就職手当とは(失業保険)

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2025年4月の法改正で何が変わった?

2025年4月1日から、自己都合退職の給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。

これにより、以下のように変わりました。

項目 改正前 改正後(2025年4月~)
給付制限期間 2ヶ月 1ヶ月
待機終了後の制限期間 最初の1ヶ月 最初の1ヶ月

給付制限期間が短くなったため、早く失業保険を受け取れるようになりました。ただし、再就職手当の条件(待機終了後1ヶ月はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介)は変わりません。

つまり、給付制限期間全体が1ヶ月になったため、待機終了後1ヶ月以内に派遣として就職すると、再就職手当がもらえなくなるという点に注意が必要です。

よくある質問

Q1. 3ヶ月更新の派遣で、更新されなかった場合は返金しないといけない?

A. 返金の必要はありません。再就職手当は、就職時点で1年以上働く見込みがあれば支給されます。その後、会社都合で契約が更新されなかった場合でも、返金を求められることはありません。

Q2. テンプスタッフやパソナなら、必ず再就職手当がもらえる?

A. 派遣として働く場合は、条件を満たす必要があります。テンプスタッフやパソナでも、「派遣」なのか「職業紹介」なのかで扱いが異なります。給付制限期間の最初の1ヶ月以内に派遣として働く場合は、(職業紹介による直接雇用でない限り)再就職手当はもらえません。

Q3. 派遣会社が「1年の見込みなし」と判断したら、絶対にもらえない?

A. 採用証明書にどう記載されるかが実務上のポイントです。派遣会社が「更新の可能性なし」と判断し、1年以上の見込みが立たない場合は、再就職手当は受け取れません。契約前に派遣会社に確認するか、ハローワークに相談してください。

Q4. 2ヶ月更新の派遣でも大丈夫?

A. 更新の可能性があれば大丈夫です。2ヶ月更新でも、「更新あり」または「更新の可能性あり」と契約書に記載されていれば、トータルで1年以上働く見込みがあると判断されます。

Q5. 給付制限期間が終わってから派遣で働けば確実にもらえる?

A. はい、給付制限期間終了後なら派遣でも問題ありません。待機期間終了後1ヶ月を過ぎてから就職すれば、派遣会社経由でも再就職手当を受け取れます(その他の条件も満たす必要があります)。

Q6. 無期雇用派遣なら絶対に再就職手当がもらえる?

A. 無期雇用派遣は1年以上の見込みがあると判断されやすいです。無期雇用派遣の場合、派遣会社と無期限の雇用契約を結ぶため、1年以上働く見込みがあると認められます。ただし、給付制限期間の最初の1ヶ月の条件などは別途確認が必要です。

Q7. 契約社員の場合は再就職手当はもらえる?

A. 1年以上の雇用契約、または更新の可能性があればもらえます。契約社員も派遣と同様に、1年以上働く見込みがあれば再就職手当の対象です。契約書に「更新あり」などの記載があるか確認してください。

まとめ

派遣社員でも、条件を満たせば再就職手当は受け取れます。特に以下の点に注意してください。

  • 3ヶ月更新でも「更新の可能性あり」なら対象
  • 給付制限期間の最初の1ヶ月以内に派遣で働く場合は対象外
  • 職業紹介事業者と派遣会社は別物
  • 2025年4月から給付制限期間が1ヶ月に短縮

既に雇用保険の手続きをされている方は、いつまでに就職すれば再就職手当が受け取れるのか計算してみましょう。

また、再就職手当は2017年1月1日より増額されています。

3分の2以上残っていた場合:60% → 70%
3分の1以上残っている場合:50% → 60%

それぞれ10%ずつアップしています。雇用保険を最後まで受け取るよりも、早めに就職して再就職手当を一括で受け取った方が、金銭的にも気持ち的にも楽になるかもしれません。

不明な点があれば、必ずハローワークに事前確認することをおすすめします。

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