雇用保険の各種給付について

教育訓練給付制度と職業訓練の違いは?対象者・金額・条件を徹底解説

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雇用保険に加入している人、または加入していた人なら、スキルアップのための講座費用を国が一部負担してくれる制度があります。それが教育訓練給付制度です。

この記事では、よく混同される「職業訓練」との違いを中心に、教育訓練給付制度の仕組みや対象者、申請方法まで詳しく解説します。働きながら利用できるのか、失業保険と併用できるのか、といった疑問にもお答えします。

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教育訓練給付制度と職業訓練の決定的な違い

まず最初に、多くの方が混同しがちな「教育訓練給付制度」と「職業訓練」の違いを明確にしておきましょう。

最大の違いは「在職中でも使えるかどうか」

教育訓練給付制度は、仕事をしながらでも利用できます。一方、職業訓練(公共職業訓練・求職者支援訓練)は、一般的には「求職者(離職者)」向けに利用される制度です。

この違いは非常に重要です。今の仕事を続けながらスキルアップしたい、資格を取りたいという方にとって、教育訓練給付制度は大きな味方になります。

受講料の負担方法が異なる

職業訓練はテキスト代を除いて受講料が無料です。国や都道府県が全額負担してくれます。

一方、教育訓練給付制度は受講料を一旦自分で支払い、修了後に一部が戻ってくる仕組みです。「一般教育訓練」なら20%(上限10万円)、「専門実践教育訓練」なら50%(年間上限40万円)が支給されます。

比較表でわかる!両制度の違い

■職業訓練(離職者向け)
制度名 受講料 その他の支給
公共職業訓練 無料(※1年以上のコースは有料の場合あり) 失業保険の延長、交通費・受講手当の支給あり
求職者支援訓練 無料 職業訓練受講給付金の対象者は月10万円と交通費
■教育訓練給付制度(一般教育訓練は在職者も利用可)
制度名 受講料の補助 その他の支給
一般教育訓練 受講料の20%(上限10万円) なし
専門実践教育訓練 受講料の50%(年間上限40万円) 資格取得時は更に20%追加。45歳未満で失業保険の受給資格がある場合、訓練期間中は基本手当日額をもとに算定した60%相当を「教育訓練支援給付金」として受給できる(※)

※2025年4月1日以降に受講開始した場合は60%(2025年3月31日までに受講開始した場合は80%)

職業訓練について詳しく知りたい方は、姉妹サイトをご覧ください。
知らないと損をする 職業訓練のすべて

教育訓練給付制度とは?わかりやすく解説

教育訓練給付制度は、働く人のキャリアアップを支援するため、国が講座費用の一部を負担してくれる雇用保険の制度です。

厚生労働大臣が指定した講座を受講・修了すると、支払った受講料の一部(20%~70%)がハローワークから支給されます。

2つの種類がある

教育訓練給付制度は、2014年10月から以下の2種類に分かれています。

一般教育訓練給付金:在職者・離職者どちらも利用可能。英会話、簿記、ITスキルなど幅広い講座が対象。受講料の20%(上限10万円)を支給。

専門実践教育訓練給付金:原則として離職者向け(在職者も条件を満たせば利用可)。看護師、美容師、調理師など専門性の高い資格取得講座が対象。受講料の50%(年間上限40万円)を支給。資格取得+就職で更に20%追加され、最大70%の補助を受けられます。

専門実践教育訓練について詳しくは、こちらの記事で解説しています。
専門実践教育訓練について(600万円も得する制度)

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対象者と受給条件

「自分は対象になるのか?」が一番気になるポイントですよね。以下で詳しく説明します。

一般教育訓練給付金の対象者

以下のいずれかに該当する方が対象です。

【在職者の場合】
雇用保険の被保険者期間が通算3年以上ある方
※初めて利用する場合は1年以上で利用可能

【離職者の場合】
離職日の翌日から受講開始日までが1年以内で、雇用保険の被保険者期間が通算3年以上ある方
※初めて利用する場合は1年以上で利用可能

項目 内容
対象者 雇用保険の被保険者期間が3年以上の在職者または離職者
※初めて受講する方は1年以上で可
支給対象費目 資格スクールなどの入学金+受講料
支給額 支給対象費用の20%
※上限10万円(4,000円未満は支給なし)
支給対象期間 原則1年(最長で3年まで延長可能な講座もあり)

【具体例】
30万円の英会話スクールに通った場合 → 20%の6万円が修了後に支給されます。
※必ずスクールを修了(出席率や成績などの修了要件を満たす)する必要があります。

専門実践教育訓練給付金の対象者

専門実践教育訓練は、より専門性が高く、長期間の訓練が対象です。

項目 内容
対象者 雇用保険の被保険者期間が3年以上
※初めて受講する方は2年以上で可
支給対象費目 専門職大学・大学院、専門学校などの入学金+受講料
支給額(基本) 受講費用の50%(年間上限40万円)
※6ヶ月ごとに分割支給
支給額(追加) 受講修了後1年以内に資格取得し、雇用された場合は更に20%追加(上限16万円)
合計で最大70%の補助
その他の給付 受講開始時に45歳未満で失業保険の受給資格がある場合、訓練期間中は基本手当日額をもとに算定した60%相当を「教育訓練支援給付金」として受給できる(※)
支給対象期間 最長3年

※2025年4月1日以降に受講開始した場合は60%(2025年3月31日までに受講開始した場合は80%)

【重要な注意点】
離職している場合は、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内である必要があります。
例:2026年3月31日退職 → 2027年4月1日の入校日までに受講を開始する必要があります。

失業保険(失業手当)との併用はできる?

「教育訓練給付制度を使いながら、失業保険も受け取れるのか?」という質問をよくいただきます。

一般教育訓練の場合

一般教育訓練給付金は、失業保険とは完全に別の制度です。失業保険を受給しながら一般教育訓練の講座を受講することは可能ですが、教育訓練給付金が上乗せされるわけではありません。

また、一般教育訓練の受講中に失業保険の給付日数が延長されることもありません。

なお、失業保険は「就職できる状態(就職の意思と能力がある)」ことが前提の制度です。受講の時間帯や状況によっては手続きや判断が変わることがあるため、受講前にハローワークで確認しておくと安心です。

専門実践教育訓練の場合

専門実践教育訓練は、失業保険との連携が手厚く設計されています。

45歳未満で失業保険の受給資格がある方は、訓練期間中に「教育訓練支援給付金」として基本手当日額をもとに算定した60%相当(※)を受け取りながら学校に通うことができます。

※2025年4月1日以降に受講開始した場合は60%(2025年3月31日までに受講開始した場合は80%)

これは失業保険の基本手当とは別の給付金で、訓練修了まで(最長3年)支給されます。ただし、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 受講開始時に45歳未満
  • 離職後1年以内に専門実践教育訓練を開始
  • 訓練を修了する見込みがある
  • 受講する講座が通信制または夜間制でない(全日制であること)

この教育訓練支援給付金は、2027年(令和9年)までの時限措置となっています。
詳細な条件や手続きは、必ず最寄りのハローワークで確認してください。

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どんな講座が対象?検索方法を紹介

教育訓練給付制度を利用できるのは、厚生労働大臣が指定した講座のみです。自分の学びたい分野の講座があるか、以下の方法で検索できます。

講座検索システムを使う

厚生労働省の公式サイトで、一般教育訓練と専門実践教育訓練の両方を検索できます。
教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システム

「分野・資格名」や「スクール名・キーワード」で検索が可能です。自分の住んでいる地域や、通信講座・eラーニングなどの条件でも絞り込めます。

専門実践教育訓練の指定講座一覧

専門実践教育訓練については、厚生労働省のサイトで定期的に更新されるPDF一覧が公開されています。
厚生労働省:専門実践教育訓練の指定講座について

このページ内に「専門実践教育訓練給付制度指定講座一覧【全体版】」のPDFファイルがあります。

人気の業務独占・名称独占資格講座(2025年10月時点)

専門実践教育訓練では、特に医療・福祉・美容分野の国家資格講座が充実しています。全国で指定されている主な講座分野は以下の通りです。

分野 講座数(全国)
業務独占・名称独占資格
(看護師・介護福祉士・美容師など)
約1,913講座
職業実践専門課程
(工業・商業実務など)
約694講座
デジタル・IT分野
(第四次産業革命スキル習得講座)
約269講座
専門職大学院・大学等 約146講座

上記の内訳として、看護師、介護福祉士、美容師、調理師、保育士、社会福祉士などの国家資格を目指す講座が多くを占めています。

この他にも、キャリアコンサルタントや理学療法士、作業療法士、IT系資格など、全国で約3,300講座(2025年10月時点)が開講されています。

通学じゃなくてもOK!通信・eラーニングも対象

「仕事が忙しくて通学は無理…」という方も安心してください。

教育訓練給付制度は、通学講座だけでなく「通信教育」や「eラーニング」の講座も対象です。

ユーキャン(U-CAN)などの通信教育でも、厚生労働大臣指定の講座であれば教育訓練給付金(20%)の対象となります。自分のライフスタイルに合わせて学習方法を選べるのは大きなメリットです。

ただし、必ず厚生労働大臣指定教育訓練講座であることを確認してください。すべての通信講座が対象ではありません。

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自分が対象者かどうか確認する方法

「雇用保険に何年加入しているか分からない」「前回いつ使ったか覚えていない」という方は、ハローワークで照会できます。

支給要件照会の手続き

ハローワークまたは教育訓練施設で配布している「教育訓練給付金支給要件照会票」に必要事項を記入し、以下のいずれかの方法で住所を管轄するハローワークに提出してください。

  • 本人が窓口に持参
  • 代理人が持参(委任状が必要)
  • 郵送

照会結果は後日、ハローワークから回答されます。受講申込前に必ず確認しておくと安心です。

【前回利用からの期間に注意】
過去に教育訓練給付金を受給したことがある方は、前回の受講開始日から3年以上経過している必要があります。詳細はハローワークで確認してください。

申請手続きの流れ

一般教育訓練と専門実践教育訓練では、申請の流れが異なります。

一般教育訓練給付金の申請手続き

一般教育訓練は、受講修了後に必要書類を持参してハローワークに申請します。つまり、先に自分でお金を全額支払い、修了後に給付金を請求する流れです。

申請期限:受講修了日の翌日から1ヶ月以内
申請場所:本人の住所を管轄するハローワーク(やむを得ない場合を除き郵送不可)

必要書類

書類名 備考
教育訓練給付金支給申請書 教育訓練施設が受講修了後に配布
教育訓練修了証明書 教育訓練施設から発行
領収書 教育訓練施設が発行。クレジットカード払いの場合はクレジット契約証明書(または必要事項が付記されたクレジット伝票)
本人・住所確認書類 運転免許証、住民票の写し、雇用保険受給資格者証、国民健康保険被保険者証、印鑑証明書のいずれか(コピー不可)
雇用保険被保険者証 雇用保険受給資格者証でも可。コピー可
教育訓練給付対象期間延長通知書 適用対象期間の延長をしていた場合のみ
返還金明細書 領収書発行後に教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人へ還付された場合、教育訓練施設から発行

【申請期限は厳守!】
受講修了日の翌日から1ヶ月を過ぎると、原則として給付金を受け取れなくなります。修了証明書などの書類が揃ったら、すぐに申請しましょう。

専門実践教育訓練給付金の申請手続き

専門実践教育訓練は、受講前と受講中に複数回の手続きが必要です。

受講開始1ヶ月前までに行うこと

受講開始の1ヶ月前までに、以下の手続きを行う必要があります。

【提出書類】

  • 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(ハローワークで配布)
  • ジョブ・カード

【ジョブ・カードとは】
受講開始日前に、訓練対応キャリアコンサルタントによる「訓練前キャリア・コンサルティング」を受ける必要があります。事前に学歴、職歴、今後の目標などを記載した「ジョブ・カード」を作成し、それを元に面談を行います。キャリアコンサルタントがコメントを記入して完成となります。

ジョブ・カードの様式はインターネットからダウンロードできます。また、ハローワークでも紙媒体を用意しています。
ジョブ・カード総合サイト(厚生労働省)

6ヶ月ごとの支給申請に必要な書類

専門実践教育訓練給付金は、6ヶ月ごとに分割して支給されます。その都度、以下の書類を提出します。

  • 教育訓練給付金支給申請書(6ヶ月ごとに教育訓練施設が発行)
  • 受講証明書または修了証明書(6ヶ月ごとに教育訓練施設が発行)
  • 教育訓練給付金受給資格者証(受給資格確認手続き時にハローワークから交付)
  • 領収書(本人が納付した費用について、教育訓練施設が発行)
  • その他、還付金を受けた場合やクレジット払いの場合は、その事実を証明する書類

教育訓練支援給付金について

45歳未満の方で失業保険の受給資格がある場合、訓練期間中は基本手当日額をもとに算定した60%相当(※)を「教育訓練支援給付金」として受給できます。

この給付金は、訓練修了まで(最長3年)延長されます。主な条件は以下の通りです。

  • 受講開始時に45歳未満
  • 離職後1年以内に専門実践教育訓練を開始
  • 専門実践教育訓練の講座を修了する見込みがある
  • 受講する講座が通信制または夜間制でない

※2025年4月1日以降に受講開始した場合は60%(2025年3月31日までに受講開始した場合は80%)

上記以外にも細かな規定があるため、必ず最寄りのハローワークで相談してください。

専門実践教育訓練について、さらに詳しくはこちらの記事もご覧ください。
専門実践教育訓練について(600万円も得する制度)
専門実践教育訓練について - 知らないと損する職業訓練のすべて

よくある質問

Q1. 一般教育訓練と専門実践教育訓練、どちらを選べばいい?

A. 在職中で短期間のスキルアップを目指すなら一般教育訓練、離職中で国家資格など本格的な資格取得を目指すなら専門実践教育訓練がおすすめです。

一般教育訓練は雇用保険の被保険者期間が1年以上(2回目以降は3年以上)あれば利用でき、数ヶ月~1年程度の講座が中心です。専門実践教育訓練は被保険者期間が2年以上(2回目以降は3年以上)必要で、2~3年の長期講座が多くなります。

Q2. 教育訓練給付制度を使うと、会社に知られる?

A. 基本的に会社に知られることはありません。教育訓練給付金の申請は個人がハローワークに対して行うもので、会社を通す必要はありません。ただし、雇用保険被保険者証を会社が保管している場合は、取り寄せる際に気づかれる可能性があります。

Q3. 受講途中で辞めてしまったら、給付金はもらえない?

A. 原則としてもらえません。教育訓練給付金は「講座を修了したこと」が支給条件です。各講座には修了要件(出席率や成績など)が定められており、それをクリアしないと修了証明書が発行されず、給付金も支給されません。

Q4. ユーキャンの講座はすべて対象?

A. すべてではありません。ユーキャンの講座でも、厚生労働大臣指定の講座のみが対象です。講座を選ぶ際は、必ず「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定講座」と明記されているか確認してください。不明な場合は、ユーキャンやハローワークに問い合わせましょう。

Q5. 職業訓練と教育訓練給付制度は併用できる?

A. 基本的に併用はできません。職業訓練(公共職業訓練・求職者支援訓練)を受講中は、原則として教育訓練給付制度を同じ期間に同時利用することはできません。どちらか一方を選ぶ必要があります。ただし、職業訓練修了後に教育訓練給付制度を利用することは可能です。

Q6. 前に使ったことがあるけど、また使える?

A. 前回の受講開始日から3年以上経過していれば再度利用できます。ただし、2回目以降は被保険者期間の条件が初回と異なります(一般教育訓練・専門実践教育訓練ともに3年以上)。詳しくはハローワークで支給要件照会を行ってください。

Q7. 育休中でも教育訓練給付制度は使える?

A. 使えます。育児休業中も雇用保険の被保険者であれば、教育訓練給付制度を利用できます。ただし、育休中は時間的な制約もあるため、通信講座やeラーニングなど自分のペースで学べる講座を選ぶことをおすすめします。

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