会社都合で退職した場合、失業保険(基本手当)はどのような流れで受給できるのか、不安に感じていませんか?
会社都合退職の場合、待期期間7日間のあと「給付制限なし」で支給対象期間が始まるのが大きなメリットです。自己都合退職のような1ヶ月の給付制限期間がないため、早期に経済的な支援を受けられます。なお、実際の振込は「初回の失業認定」を受けた後(認定日から数日後)になります。
この記事では、会社都合退職後の失業保険受給の流れを、初回認定日や振込タイミングなど具体的な日程例を交えて詳しく解説します。また、「会社都合なのに自己都合扱いになっている」場合の対処法や、初回認定日で注意すべきポイントもお伝えします。
手続きの流れを正しく理解しておけば、スムーズに受給でき、無駄な待ち時間や損失を避けることができます。
■目次
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会社都合退職とは?自己都合との違い
まず、「会社都合退職」とは何かを整理しましょう。
会社都合退職の定義
会社都合として扱われ、給付制限がかからない離職理由は、大きく「特定受給資格者」と「特定理由離職者」に分かれます。この記事では一般的に分かりやすい呼び方として、まとめて「会社都合」と表現します。
主に以下のようなケースが該当します:
- 倒産(会社の破産、民事再生など)
- 解雇(懲戒解雇を除く)
- 雇い止め(契約更新を希望したが更新されなかった場合)
- 退職勧奨(会社からの退職の働きかけに応じた場合)
- 大量離職(1ヶ月に30人以上の離職など)
- 事業所の移転により通勤困難になった場合
- 賃金の大幅な低下(85%未満に低下)
- 賃金の未払い(1/3以上の未払いが2ヶ月連続など)
- 長時間労働(月45時間超の時間外労働が3ヶ月連続など)
- ハラスメント(パワハラ、セクハラなど)
自己都合退職との違い
会社都合と自己都合では、失業保険の受給条件が大きく異なります:
| 会社都合 | 自己都合 | |
|---|---|---|
| 給付制限 | なし | 原則1ヶ月 (2025年4月〜) |
| 受給資格 | 離職前1年間に6ヶ月以上 | 離職前2年間に12ヶ月以上 |
| 給付日数 | 90〜330日 | 90〜150日 |
このように、会社都合退職の方が圧倒的に有利です。特に給付制限がないため、待期期間7日後から支給対象期間が始まります(ただし、振込は初回認定の後になります)。
「会社都合なのに自己都合扱い」になっているケース
よくあるトラブルとして、実際は会社都合なのに離職票では自己都合(離職区分4D)になっているケースがあります。
これは、会社側が以下の理由で自己都合扱いにしようとするためです:
- 助成金の受給に影響するため(会社都合が多いと助成金がもらえない)
- 離職率が上がることを避けたい
- 単純に手続きが面倒
もし退職勧奨や実質的な解雇なのに自己都合扱いになっている場合は、ハローワークの窓口で必ず相談してください。ハローワークが会社に事実確認を行い、離職理由を判定し直してくれます。
「会社都合にする方法」を一言で言うと、事実関係を整理して、根拠を持って相談することです。たとえば、退職勧奨のやり取り(メール・書面)、解雇通知、雇止めの通知、労働条件通知書、賃金台帳や未払いを示す資料、勤務実態が分かる記録(タイムカード等)があると、確認がスムーズになります。
退職理由を必ず確認しましょう!
会社都合退職後の失業保険受給の流れ
それでは、会社都合で退職した場合の失業保険受給の流れを、ステップごとに詳しく見ていきましょう。
受給要件の確認
まず、失業保険を受給するには以下の要件を満たす必要があります:
- 会社都合(特定受給資格者)の場合:離職日以前1年間に、通算6ヶ月以上の被保険者期間があること
- 働く意思と能力があること(求職活動ができる状態であること)
- 離職していること(雇用保険に加入していない状態)
※65歳以上の場合は「高年齢求職者給付金」という一時金になります。詳しくは失業保険と年金(65歳以上の注意点)をご確認ください。
雇用保険の受給要件について詳しくは、雇用保険の受給要件をお読みください。
ステップ1:ハローワークで求職申込と雇用保険申請手続き
住所を管轄するハローワークへ必要書類を持参し、求職申込と雇用保険の申請を行います。
【必要書類】
- 雇用保険被保険者離職票-1、雇用保険被保険者離職票-2
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号記載のある住民票)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 写真2枚(縦3cm×横2.5cmの正面上半身、3ヶ月以内に撮影したもの)※マイナンバーカード提示で省略可能な場合あり
- 印鑑(シャチハタ不可)
- 本人名義の普通預金通帳またはキャッシュカード
※本人確認書類は、運転免許証、マイナンバーカード、官公署発行の身分証明書・資格証明書(写真付き)のいずれか1点。お持ちでない場合は、公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など2点が必要です。
手続きの流れ
- 求職登録用紙に記入し、ハローワークカードを受け取る
- 雇用保険の申請窓口で離職票などを提出
- 窓口担当者からの簡単な質問に答える
- 「受給資格者のしおり」と「雇用保険受給説明会の案内」を受け取る
この時点で受給資格が決定します。離職理由について会社側と相違がある場合は、ここで必ず相談しましょう。ハローワークが事実関係を調査の上、離職理由を判定します。
ステップ2:待期期間(7日間)
受給資格決定日から7日間は「待期期間」と呼ばれ、失業状態であることを確認するための期間です。この期間中は基本手当は支給されません。
(例)4月15日に雇用保険の手続きをした場合
4月15日〜4月21日までの7日間が待期期間となります(土日祝日も含む)
待期期間中に仕事(アルバイト含む)をした場合、その日数分だけ待期期間が延びてしまいます。待期期間は失業状態であることを確認するための期間なので、この間は働かない方が無難です。
ステップ3:雇用保険受給説明会への参加
受給資格決定から1〜3週間後に、管轄のハローワークで「雇用保険受給説明会」が開催されます(ハローワークによって日程は異なります)。
説明会では、ビデオ視聴や制度説明があり、所要時間は約2時間です。雇用保険の手続きの際に、説明会の日時が案内されます。
【説明会で受け取るもの】
- 雇用保険受給資格者証(写真付き)
- 失業認定申告書(初回分)
雇用保険受給資格者証には、支給番号、氏名、被保険者番号、基本手当日額、給付日数などの重要情報が記載されています。「支給番号」は受給資格者証の上部に記載されており、認定日や問い合わせの際に必要になることがあります。この証明書は認定日ごとに必要になるため、大切に保管してください。
ステップ4:初回の失業認定日
説明会から約2週間後に、初回の失業認定日があります。これが多くの人が気になるポイントです。
初回認定日に必要なもの
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書(記入済み)
- 印鑑(訂正が必要な場合に使用)
初回認定日の求職活動実績について
通常、失業認定を受けるには「認定対象期間中に2回以上の求職活動」が必要です。しかし、初回認定日に限り、雇用保険受給説明会への参加が求職活動1回分としてカウントされます。
そのため、初回認定日では追加の求職活動は原則不要です(ハローワークによっては1回の求職活動を求める場合もあるため、説明会で確認してください)。
失業認定申告書には「初回講習会参加」と記入すれば大丈夫です。
認定を受けると支給が確定
失業認定を受けて初めて、基本手当の支給が決定します。説明会に参加していても、認定日に行かなかった場合は失業状態を確認できないため、その期間の給付は受けられません。
また、認定日を忘れると次回以降の受給にも影響する可能性があるため、必ず指定された日時にハローワークへ行きましょう。やむを得ない理由で行けない場合は、事前にハローワークへ連絡してください。
認定を受けたら、次回認定日が記載された新しい失業認定申告書を受け取ります。
ステップ5:基本手当(失業保険)の振込
初回認定日から約5〜7営業日後に、基本手当が指定した銀行口座に振り込まれます。
初回振込の計算例
会社都合の場合、待期期間7日間を経て給付制限なしで支給対象期間が始まります。初回にどれくらいの日数分が振り込まれるのか、具体例で見てみましょう。
【例】
・4月15日:雇用保険手続き(受給資格決定)
・4月22日:待期期間終了
・5月10日:初回認定日
・5月17日頃:初回振込
支給対象期間:
- 4月15日〜4月21日:待期期間(支給なし)
- 4月22日〜5月9日:支給対象(18日分)
この場合、18日分の基本手当日額が振り込まれます。
次回以降は、認定日が4週間(28日)ごとになるため、約28日分の基本手当が支給されます。
振込時間について
振込時間は銀行によって異なりますが、多くの場合、振込日の朝9時〜10時頃に入金されます。ゆうちょ銀行の場合は正午頃になることもあります。
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2回目以降の失業認定について
2回目以降の失業認定では、認定対象期間中に原則2回以上の求職活動が必要です。
求職活動として認められるもの
- ハローワークでの職業相談
- ハローワークでの職業紹介
- 求人への応募(書類選考、面接含む)
- 民間の職業紹介事業者への登録・相談
- ハローワーク主催のセミナー参加
- 許可・届出のある民間事業者のセミナー参加
- 再就職に資する国家試験・検定等の資格試験受験
求職活動として認められないもの
- 求人サイトの閲覧のみ
- 求人情報誌を見ただけ
- ハローワークに行っただけ(相談なし)
- 企業へ問い合わせしただけ(応募に至らない)
詳しくは、認定日ごとに配布される失業認定申告書の裏面に記載されていますので、必ず確認してください。
よくあるトラブルと対処法
離職票が届かない場合
退職後、通常10日〜2週間程度で離職票が届きますが、1ヶ月以上経っても届かない場合は以下の対応を:
- 会社に連絡して発行状況を確認
- 会社が対応しない場合は、ハローワークに相談
- ハローワークから会社へ催促してもらう
離職票がないと失業保険の手続きができないため、早めに対応しましょう。
認定日に行けない場合
病気、ケガ、冠婚葬祭、面接などのやむを得ない理由で認定日に行けない場合は、事前にハローワークへ電話で連絡してください。
理由によっては、認定日の変更や後日の認定が可能な場合があります。無断欠席すると、その期間の給付が受けられなくなるため注意が必要です。
待期期間中に働いてしまった場合
待期期間中に1日でも働いた(アルバイト含む)場合、その日数分だけ待期期間が延びます。必ずハローワークに申告してください。
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まとめ:会社都合退職後の失業保険受給の流れ
会社都合で退職した場合の失業保険受給の流れをまとめます。
- ハローワークで申請:離職票などを持参し、求職申込と雇用保険申請を行う
- 待期期間7日間:失業状態であることを確認する期間(この間は支給なし)
- 雇用保険受給説明会:受給資格者証と失業認定申告書を受け取る
- 初回失業認定日:説明会から約2週間後、認定を受けて支給が確定
- 基本手当の振込:認定日から約5〜7営業日後に振り込まれる
会社都合退職の最大のメリットは、給付制限期間がなく、待期7日後から支給対象期間が始まる点です。自己都合退職と比べて給付日数も多く、受給要件も緩やかです。
手続きの流れを理解し、認定日を忘れずに出席すれば、スムーズに失業保険を受給できます。不明な点があれば、遠慮なくハローワークの窓口で相談してください。
よくある質問
初回認定日はいつですか?
初回認定日は、雇用保険受給説明会から約2週間後です。具体的な日時は説明会で案内されます。ハローワークによって異なりますが、通常は説明会参加後14日〜21日後に設定されることが多いです。
初回認定日には求職活動が必要ですか?
初回認定日では、雇用保険受給説明会への参加が求職活動1回分としてカウントされるため、原則として追加の求職活動は不要です。失業認定申告書に「初回講習会参加」と記入すれば大丈夫です。ただし、説明会に参加していても、認定日に出席しなければ支給は確定しません。ハローワークによっては1回の求職活動を求める場合もあるため、説明会で確認してください。
失業保険はいつ振り込まれますか?
失業認定日から約5〜7営業日後に振り込まれます。例えば、月曜日が認定日なら、その週の金曜日または翌週の火曜日頃に振り込まれることが多いです。振込時間は銀行によって異なりますが、多くの場合、朝9時〜10時頃に入金されます。
会社都合なのに離職票が自己都合になっている場合はどうすればいいですか?
ハローワークの窓口で必ず相談してください。離職票-2の離職区分が「4D」(自己都合)になっている場合でも、実際は会社都合(退職勧奨、実質的解雇など)であれば、ハローワークが会社に事実確認を行い、離職理由を判定し直してくれます。証拠(退職勧奨のメール、録音など)があれば持参するとスムーズです。
待期期間中にアルバイトをしてしまったらどうなりますか?
待期期間中に働いた日数分だけ、待期期間が延びます。例えば、待期期間7日間のうち2日間アルバイトをした場合、待期期間は合計9日間になります。必ずハローワークに申告してください。虚偽申告は不正受給となり、厳しいペナルティがあります。
認定日に行けない場合はどうすればいいですか?
事前にハローワークへ電話で連絡してください。病気、ケガ、面接、冠婚葬祭などのやむを得ない理由であれば、認定日の変更や後日の認定が可能な場合があります。無断欠席すると、その期間の給付が受けられなくなるため、必ず連絡しましょう。
離職票がなかなか届かない場合はどうすればいいですか?
退職後2週間以上経っても離職票が届かない場合は、まず会社に連絡して発行状況を確認してください。会社が対応しない場合は、ハローワークに相談すれば、ハローワークから会社へ催促してもらえます。離職票がないと失業保険の手続きができないため、早めに対応しましょう。