「あと数ヶ月で65歳の誕生日だけど、いつ辞めればいいんだろう」、「定年退職日が誕生日当日になっているけど、このままでいいのかな?」
実は、退職日がたった1日違うだけで、受け取れる失業保険が50万円、場合によっては100万円近くも変わることをご存知ですか?
65歳の前後では、失業保険の制度そのものが変わります。「65歳の壁」を知らずに誕生日当日や前日に退職すると、数十万円単位で損をしてしまうのです。
この記事では、退職日による「損得」を具体的な金額シミュレーションで徹底解説します。そして、なぜ「誕生日の前々日」が最強なのか、法律上の理由も図解します。
■目次
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結論:65歳の「誕生日前々日」までに退職すれば最大99万円得する
先に結論をお伝えします。65歳の誕生日前々日までに退職すれば、失業保険を最大50万円〜99万円多く受け取れます。
なぜなら、64歳として退職すれば「基本手当(90日〜240日分)」が受け取れますが、65歳として退職すると「高年齢求職者給付金(30日or50日分の一時金)」になるからです。
【一目でわかる】64歳退職 vs 65歳退職 の違い
| 比較項目 | 64歳で退職 (誕生日前々日まで) ✨おすすめ! |
65歳で退職 (誕生日の前日以降) |
|---|---|---|
| 制度名 | 基本手当(失業保険) | 高年齢求職者給付金 |
| 支給日数 | 90日〜240日 | 30日 or 50日 |
| 受取方法 | 28日ごと分割 | 一時金(一括) |
| 最大受給額 (目安) |
最大 約125万円 | 最大 約26万円 |
| 年金併給 | 停止あり (※1) |
止まらない ✨ (ダブル受給OK) |
※1:停止するのは「老齢厚生年金(受給中の人のみ)」です。老齢基礎年金(国民年金部分)は停止しません。
一般的な定年退職でも最大150日分、もし会社都合退職なら最大240日分もらえます。対して65歳すぎると一律50日分(最大)です。
なぜ「前々日」なのか?年齢計算の法律トリック
「誕生日の前日に退職すればいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、それでは遅いのです。
年齢は「誕生日の前日」に加算される(民法の規定)
実は、年齢は「誕生日の前日」に加算されるというルールがあります(民法143条)。
年齢計算の法則(民法143条)
- 誕生日当日 → すでに65歳
- 誕生日前日 → 65歳に到達
- 誕生日前々日 → まだ64歳
つまり、誕生日当日や前日に退職しても「65歳扱い」になります。
64歳扱いで退職するには、誕生日の「前々日」までに退職する必要があります。
具体例:4月1日生まれの人の場合
| 退職日 | 年齢扱い | 制度 | 支給日数 |
|---|---|---|---|
| 3月30日(前々日) | 64歳 ✅ | 基本手当 | 90日〜240日 |
| 3月31日(前日) | 65歳 ❌ | 高年齢求職者給付金 | 30日or50日 |
| 4月1日(誕生日当日) | 65歳 ❌ | 高年齢求職者給付金 | 30日or50日 |
たった1日の違いで、受給日数が激減してしまいます。
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【衝撃シミュレーション】1日の違いで変わる金額
では、実際にいくら違うのか、具体的な金額でシミュレーションしてみましょう。
※基本手当日額は目安です。正確な金額はハローワークで決定されます。
ケース1:月給30万円・自己都合退職(勤続10年未満)の場合
基本手当日額:約5,235円として計算
| 退職日 | 制度 | 支給日数 | 受給額 |
|---|---|---|---|
| 64歳11ヶ月29日 (前々日) |
基本手当 | 90日 | 471,150円 |
| 65歳0ヶ月 (前日以降) |
高年齢求職者給付金 | 50日 | 261,750円 |
| 差額 | 209,400円の損! | ||
ケース2:月給30万円・定年退職(勤続20年以上)の場合
基本手当日額:約5,235円として計算。多くの定年退職者がここに該当します。
| 退職日 | 制度 | 支給日数 | 受給額 |
|---|---|---|---|
| 64歳11ヶ月29日 (前々日) |
基本手当 | 150日 | 785,250円 |
| 65歳0ヶ月 (前日以降) |
高年齢求職者給付金 | 50日 | 261,750円 |
| 差額 | 523,500円の損! | ||
ケース3:月給30万円・会社都合退職(勤続10年以上)の場合
倒産・解雇・希望退職などで「特定受給資格者」になった場合、64歳なら最大240日支給されます。
| 退職日 | 制度 | 支給日数 | 受給額 |
|---|---|---|---|
| 64歳11ヶ月29日 (前々日) |
基本手当 | 240日 | 1,256,400円 |
| 65歳0ヶ月 (前日以降) |
高年齢求職者給付金 | 50日 | 261,750円 |
| 差額 | 994,650円の損! | ||
会社都合退職なら、その差は約100万円にもなります!
年収別の損得早見表(定年退職・150日の場合)
ここでは一般的な「定年退職(150日支給)」で比較します。
| 年収 | 月給 | 64歳退職 (150日) |
65歳退職 (50日) |
差額 |
|---|---|---|---|---|
| 240万円 | 20万円 | 710,850円 | 236,950円 | 473,900円 |
| 300万円 | 25万円 | 794,550円 | 264,850円 | 529,700円 |
| 360万円 | 30万円 | 785,250円 | 261,750円 | 523,500円 |
| 480万円 | 40万円 | 1,013,100円 | 337,700円 | 675,400円 |
| 600万円 | 50万円 | 1,094,100円 | 364,700円 | 729,400円 |
※月給30万円以上は給付率が下がるため、伸び率が緩やかになりますが、それでも50万円以上の差がつきます。
定年退職でも、64歳で退職した方が50万円〜70万円多く受け取れます。
「でも年金が止まるんでしょ?」→トータルで比較してみた
「64歳で退職して基本手当をもらうと、年金が止まるから損では?」
確かに、受給期間中は老齢厚生年金が全額停止されます。しかし、それでも多くの場合、64歳退職の方が得です。
実際にトータルで比較(勤続20年以上・定年退職の場合)
前提条件
- 月給:30万円
- 年金月額:15万円(老齢厚生年金9万円+老齢基礎年金6万円)
- 退職理由:定年退職(150日支給)
パターンA:64歳11ヶ月で退職した場合(6ヶ月間の総収入)
| 期間 | 失業保険 | 受給年金 | 月収 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 待機7日 | 15万円 | 15万円 |
| 2ヶ月目 | 15.7万円 | 6万円(基礎年金のみ) | 21.7万円 |
| 3〜6ヶ月目 | 15.7万円×4 | 6万円×4 | 21.7万円/月 |
| 合計 | 78.5万円 | 45万円 | 123.5万円 |
※失業保険受給中の5ヶ月間、老齢厚生年金(9万円)が停止されます。
パターンB:65歳0ヶ月で退職した場合(6ヶ月間の総収入)
| 期間 | 失業保険 | 受給年金 | 月収 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 待機7日 | 15万円 | 15万円 |
| 2ヶ月目 | 26.1万円(一時金) | 15万円 | 41.1万円 |
| 3〜6ヶ月目 | 0円 | 15万円×4 | 60万円 |
| 合計 | 26.1万円 | 90万円 | 116.1万円 |
結果:64歳退職の方が約7万円多い
年金停止額(約45万円)を引いても、64歳で退職した方がトータルで約7万円多く受け取れます。
「たった7万円?」と思うかもしれませんが、これは額面の数字です。
失業保険は非課税ですが、年金は課税対象です。税金や社会保険料を考慮した「手取り額」で比べると、差は10万円以上に広がります。
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65歳退職が有利になる例外ケース
ただし、以下の場合は65歳で退職した方が良いケースもあります。
ケース1:年金月額が非常に高額(厚生年金部分が多い)
年金(特に老齢厚生年金)の月額が20万円を超えるような場合、年金停止の影響が大きくなります。失業保険の日額と年金の日額を比較して、トータルで判断しましょう。
ケース2:すぐに再就職が決まっている
再就職先が決まっており、失業保険を満額受け取れない場合、65歳退職で一時金を受け取る方がシンプルです。
ケース3:雇用保険の加入期間が短い
雇用保険の加入期間が1年未満の場合、64歳で退職すると受給資格がない場合があります(高年齢求職者給付金は6ヶ月でOK)。この場合、65歳まで待つ必要があります。
退職日の調整は可能?会社との交渉術
定年退職日は就業規則で決まっている
多くの会社では、就業規則で定年退職日が「65歳の誕生日」「65歳の誕生月末」などと定められています。
まずは自社の就業規則を確認しましょう。
退職日の前倒し交渉は可能
「誕生日の前々日に退職したい」と人事に相談してみましょう。
会社によって対応は分かれますが、相談してみる価値は十分あります(退職日の扱いは就業規則や社内手続きによって決まります)。
会社への説明例
「失業保険の制度上、誕生日の前々日までに退職すると受給日数が増えるため、退職日を○月○日(前々日)にしていただけないでしょうか。就業規則や手続き上問題がない範囲でご検討いただけますと幸いです。」
自己都合退職なら自由に調整可能
自己都合退職の場合は、会社との合意のうえで退職日を調整しやすいです。誕生日の前々日を狙って退職日を設定しましょう。
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退職日を早めることのデメリット
退職日を前倒しすることには、わずかなデメリットもあります。
デメリット1:退職金への影響(最重要)
これが一番のリスクです。退職金の計算において、勤続年数の「区切り」が変わる可能性があります。
例えば、「勤続30年以上で退職金が大幅アップ」という規定がある場合、誕生日の前々日で辞めると「勤続29年」になってしまい、失業保険の得以上に損をする可能性があります。
必ず就業規則で確認!
「1日早く辞めることで、勤続年数の区切りに引っかからないか?」
これを人事担当者に必ず確認してください。
デメリット2:給料が1〜2日分減る
退職日を1〜2日早めると、その分の給料が減ります。ただし、日給換算で数千円〜1万円程度です。失業保険の差額(15万円〜100万円)に比べれば微々たるものです。
デメリット3:社会保険料の締日に注意
社会保険料(健康保険・厚生年金)は、退職日そのものではなく「資格喪失日(通常は退職日の翌日)」がいつになるかで、月末在籍扱いかどうかが変わります。
例:3月31日退職 → 資格喪失日が4月1日になりやすく、3月分の社会保険料が発生しやすい
3月30日退職 → 資格喪失日が3月31日になりやすく、3月分の社会保険料が不要になりやすい
※実際の控除方法は会社の給与締め・徴収方法によって差が出るため、最終的には会社の担当者に確認してください。
具体的な退職日の決め方【誕生日別ガイド】
あなたの誕生日に合わせて、最適な退職日を確認しましょう。
誕生日が月初(1日〜3日)の場合
例:4月1日生まれ → 3月30日までに退職(3月30日=前々日が最強)
5月2日生まれ → 4月30日までに退職(4月30日=前々日が最強)
誕生日が月末(28日〜31日)の場合
例:3月30日生まれ → 3月28日までに退職(3月28日=前々日が最強)
12月31日生まれ → 12月29日までに退職(12月29日=前々日が最強)
閏年の場合の注意
2月29日生まれは、手続き上の扱いがややこしくなりやすいです。
退職日の最適化を狙う場合は、念のためハローワークの窓口で「年齢到達日の扱い」を確認してから退職日を決めるのが安全です。
まとめ:最適な退職日はこの3質問で決まる
あなたに最適な退職日を選ぶために、以下の3つの質問に答えてください。
質問1:退職日は65歳の誕生日の前?後?
→ 前々日までに退職できるなら、64歳退職が有利
質問2:退職金で損をしないか?
→ 勤続年数の区切り(29年か30年か等)を就業規則で要確認
質問3:すぐに再就職する予定は?
→ 再就職予定がないなら、64歳退職が有利
迷ったら「誕生日の前々日」退職を選びましょう
定年退職なら約50万円、会社都合退職なら約100万円も得する可能性があります。
※ただし、老齢厚生年金(厚生年金部分)の月額が高い人は、受給中の停止影響が大きいため、65歳退職(高年齢求職者給付金)が合う場合もあります。
詳しい手続き方法や受給要件については、以下の記事をご覧ください。
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よくある質問(FAQ)
誕生日が4月1日の場合、いつまでに退職すればいい?
3月30日(前々日)までに退職すれば64歳扱いになります。3月31日(前日)以降は65歳扱いです。最も安全なのは3月30日(前々日)退職です。
64歳で会社都合退職した場合、日数はどうなる?
64歳で会社都合(特定受給資格者)の場合、被保険者期間が10年以上あれば「最大240日」支給されます。65歳(50日)との差額は約100万円以上になるため、退職日の調整は非常に重要です。
65歳で退職してしまった…今からでも変更できる?
残念ながら、退職後の変更はできません。次に転職する際は、退職日に注意しましょう。ただし、65歳以上でも高年齢求職者給付金は受け取れますので、必ず申請してください。
64歳で退職したら、年金は何ヶ月止まる?
失業保険受給期間中(定年退職で150日受給なら約5ヶ月)、老齢厚生年金が停止されます。老齢基礎年金(国民年金部分)は停止されません。失業保険終了後、年金は再開されます。
再雇用された場合はどうなる?
再雇用後の退職時も同じルールが適用されます。再雇用契約の終了日が65歳の誕生日前後になる場合は、特に注意が必要です。契約終了日を誕生日の前々日に設定できないか、会社と相談しましょう。
会社が退職日の変更を認めてくれない場合は?
就業規則で退職日が明確に定められている場合、会社の判断次第です。ただし、自己都合退職の場合は、あなた自身が退職日を決められます。定年退職の場合でも、柔軟に対応してくれる会社はあります。人事部に丁寧に相談してみましょう。
失業保険の申請手続きは64歳も65歳も同じ?
基本的な流れは同じですが、64歳(基本手当)は28日ごとの認定が必要で、65歳(高年齢求職者給付金)は一時金のため認定は原則1回です。