「退職したら失業保険はもらえるの?」「どんな条件を満たせば受け取れるの?」会社を辞めた後、多くの方が気になるのが失業保険(雇用保険の失業等給付)の受給資格です。
失業保険は、失業した方の生活を安定させ、安心して求職活動ができるように支給される制度です。しかし、誰でも無条件にもらえるわけではありません。
この記事では、失業保険を受け取るために必要な要件を、初めての方にもわかりやすく解説します。「自分は受給資格があるのか?」「いつから、いくらもらえるのか?」という疑問に、しっかりお答えします。
■目次
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失業保険を受け取るための2つの基本要件
失業保険を受け取るには、大きく分けて2つの要件を満たす必要があります。
- 雇用保険の加入期間が一定以上あること
- 働く意思と能力があり、求職活動をしていること
この記事では、特に重要な「1. 雇用保険の加入期間」について詳しく解説していきます。
原則は「離職前2年間で12ヶ月以上」の加入期間が必要
失業保険を受け取る基本的な要件は、離職日以前の2年間に、通算して12ヶ月以上の雇用保険加入期間(被保険者期間)があることです。

「12ヶ月以上」の数え方に注意
ここで注意が必要なのは、単純に「12ヶ月働いていればOK」というわけではない点です。
雇用保険の加入期間(被保険者期間)としてカウントされるのは、離職日から1ヶ月ごとに遡って区切った期間のうち、賃金支払の基礎となった日数が11日以上、または賃金支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月だけです。
2020年8月からは「日数が足りなくても、月80時間以上働いていれば1ヶ月としてカウントする」というルールが追加されており、シフト制のパート・アルバイトの方でも受給資格を得やすくなっています。
「賃金支払の基礎となった日」には、実際に労働した日だけでなく、有給休暇を取得した日や休業手当を受けた日も含まれます。
なお、カウントは「月ごと」に行われます。ある月が11日(または80時間)に届かない場合、その月は原則カウントされません。合計で12ヶ月分カウントできるかどうかを、離職前2年間の範囲で見ていきます。
病気や出産で休んでいた期間がある場合
離職前2年間に、病気やケガで長期欠勤していた期間や、出産・育児で休んでいた期間がある場合、受給要件を判定するために見る期間(被保険者期間の「算定対象期間」)をさらに遡って加算できることがあります(最大4年間まで)。
例えば、離職前1年間は働いていたものの、その前の1年間は病気療養で休職していた場合、さらに1年遡った期間(合計3年間)の中で12ヶ月の加入期間を見てもらえることがあります。
この特例が適用されるかどうかは、ハローワークでの判断となりますので、該当する可能性がある方は必ず相談してください。
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会社都合・やむを得ない理由の場合は「6ヶ月以上」でOK
会社の倒産や解雇などの会社都合で退職した場合、または自己都合でもやむを得ない理由がある場合は、離職前1年間に通算6ヶ月以上の雇用保険加入期間があれば受給資格が認められます。

この短縮要件が適用されるのは、以下の2つのケースです。
特定受給資格者とは
特定受給資格者とは、会社都合(倒産・解雇等)により退職を余儀なくされた方のことです。
具体例:
- 会社の倒産により離職した
- 解雇(懲戒解雇を除く)により離職した
- 大量の退職者が出る人員整理により離職した
- 事業所の移転により通勤が困難になり離職した
- 賃金の大幅な引き下げがあり離職した
- 長時間の時間外労働(月45時間超が3ヶ月連続、または月100時間超が1ヶ月など)により離職した
特定理由離職者とは
特定理由離職者とは、特定受給資格者以外で、やむを得ない理由により離職した方のことです。
具体例:
- 期間の定めのある労働契約(契約社員・派遣社員等)が更新されず離職した(本人が更新を希望していた場合)
- 体力の低下、心身の障害、疾病、負傷などにより業務遂行が困難になった
- 結婚や事業所の移転により、住所が変更になり通勤が困難になった
- 親族の介護など家庭事情の急変により離職した
- 妊娠・出産・育児により離職し、受給期間延長措置を受けた
該当するかどうか判断に迷う場合は、ハローワークで離職票を提出する際に相談してください。離職票の離職理由によって、ハローワークが最終的に判定します。
特定受給資格者・特定理由離職者になると何が有利になる?
特定受給資格者・特定理由離職者に該当すると、以下のメリットがあります。
1. 雇用保険加入期間の要件が緩和される
前述のとおり、原則12ヶ月のところ、最短6ヶ月で受給資格が得られます。
2. 給付制限期間がない(すぐに受給開始)
通常の自己都合退職の場合、申請から1ヶ月間(2025年4月以降)は失業保険が支給されない「給付制限期間」がありますが、特定受給資格者・特定理由離職者にはこの制限がありません。
待期期間(7日間)が終わればすぐに支給対象となります。
3. 給付日数が長くなる
特定受給資格者の場合、年齢や雇用保険の加入期間に応じて、通常の自己都合退職よりも給付日数が大幅に増えます。
例えば、35歳で雇用保険加入期間が5年以上10年未満の場合:
- 通常の自己都合退職:90日
- 特定受給資格者:180日
このように、受給できる日数が2倍になることもあります。
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自己都合退職でも給付制限が1ヶ月に短縮(2025年4月改正)
2025年(令和7年)4月1日以降、正当な理由のない自己都合退職であっても、給付制限期間が従来の2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。
ただし注意点があります。この短縮措置が適用されるのは5年間のうち2回までです。
つまり、3回目以降の自己都合退職の場合は、従来どおり2ヶ月の給付制限がかかります。
この「5年間で2回まで」というカウントは、離職日を基準に過去5年間を遡って数えます。短期間で何度も転職を繰り返すと、3回目以降は給付制限が長くなるので注意してください。なお、自己都合退職でも、離職前に一定の教育訓練等を受けた場合は給付制限が解除される仕組みも導入されています(該当するかどうかは、手続き時にハローワークで確認してください)。
そもそも雇用保険に加入できる条件とは?
失業保険を受け取るには雇用保険への加入が前提ですが、どんな働き方なら雇用保険に加入できるのでしょうか?
雇用保険の加入要件
以下の2つの条件を両方満たしていれば、雇用保険に加入する必要があります(会社側に加入義務があります)。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 同一の事業所に継続して31日以上雇用される見込みがあること
例えば、1日5時間、週4日勤務のパート・アルバイトでも、週20時間(5時間×4日)を満たしていれば雇用保険に加入できます。
そして、12ヶ月以上(または6ヶ月以上)の雇用保険加入期間があれば、退職後に失業保険を受け取ることができるのです。
「パートだから失業保険はもらえない」と思い込んでいる方も多いですが、条件を満たしていれば正社員と同じように受給できます。
ここまでの要点まとめ
- 原則は「離職前2年間で、カウントできる月が12ヶ月以上」
- 会社都合・やむを得ない理由なら「離職前1年間で、カウントできる月が6ヶ月以上」
- 「1ヶ月」は11日以上、または80時間以上でカウントされる
- 迷ったら、離職票を持ってハローワークに確認するのが最短ルート
※雇用保険の加入条件について、さらに詳しくは雇用保険の適用条件をご覧ください。
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まとめ:自分の受給資格を確認しよう
失業保険を受け取るための要件をまとめます。
原則: 離職前2年間に通算12ヶ月以上の雇用保険加入期間(1ヶ月のうち11日以上働いた、または80時間以上働いた月でカウント)
特例(会社都合・やむを得ない理由): 離職前1年間に通算6ヶ月以上の雇用保険加入期間
特定受給資格者・特定理由離職者に該当すれば、加入期間の要件が緩和されるだけでなく、給付制限がなく、給付日数も長くなります。
また、2025年4月からは通常の自己都合退職でも、給付制限期間が1ヶ月に短縮されています(5年間で2回まで)。
「自分は受給資格があるのか?」「どの区分に該当するのか?」と不安な方は、離職票を持ってハローワークに相談に行くのが一番確実です。
失業保険は、失業中の生活を支える大切な制度です。受給資格があるのに「知らなかった」「手続きが面倒」と諦めてしまうのはもったいありません。退職したらできるだけ早くハローワークで手続きを進めましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 短期間のアルバイトを複数掛け持ちしていた場合、加入期間は合算できますか?
A. 原則として、雇用保険は1つの事業所(会社)ごとに加入するものなので、複数のアルバイトを掛け持ちしていても合算はできません。ただし、65歳以上の方が対象の「マルチ雇用保険」など例外もありますが、一般の方は1つの職場の労働条件で判断されます。
Q2. 離職票に書かれている離職理由が実際と違う場合はどうすればいいですか?
A. ハローワークで離職票を提出する際に、異議を申し立てることができます。会社側の記載に納得がいかない場合は、必ずその場で相談してください。ハローワークが調査を行い、適切な離職理由を判定します。また、2025年1月からは離職票等の交付申請がマイナポータルからも可能になり、利便性が向上しています。
Q3. 雇用保険に加入していたかどうか不明な場合、どうやって確認できますか?
A. 給与明細を確認してください。雇用保険料が天引きされていれば、加入しています。また、離職時に会社から交付される「離職票」にも雇用保険の加入期間が記載されています。離職票が届かない場合は、ハローワークに相談してください。ハローワークで「雇用保険被保険者資格取得確認照会」を行うことも可能です。
Q4. 1ヶ月のうち11日未満しか働いていない月が何ヶ月かある場合、受給資格はどうなりますか?
A. 11日未満であっても、その月の労働時間が80時間以上あれば1ヶ月としてカウントされます。日数も時間も足りない月はその月自体はカウントされませんが、離職前2年間(または1年間)の範囲内で、カウントできる月を合計して12ヶ月(または6ヶ月)を満たせば受給資格が得られます。
Q5. 試用期間中に退職した場合でも失業保険はもらえますか?
A. 試用期間中でも雇用保険に加入していれば、加入期間としてカウントされます。試用期間を含めて離職前2年間で12ヶ月以上(または1年間で6ヶ月以上)の加入期間があれば、受給資格が認められます。
Q6. 週20時間未満のパートで働いていた期間は、加入期間に含まれますか?
A. 週20時間未満の場合、原則として雇用保険に加入できないため、加入期間には含まれません。ただし、実際には週20時間以上働いていたのに会社が雇用保険に加入させていなかった場合は、ハローワークに相談してください。遡って加入が認められる可能性があります。
Q7. 特定受給資格者・特定理由離職者に該当するかどうかは、誰が判断するのですか?
A. 最終的にはハローワークが判断します。会社が離職票に記載した離職理由をもとに、ハローワークが要件に該当するかを判定します。判定に納得がいかない場合は、異議申し立てができます。