雇用保険(失業保険)とは

雇用保険(失業保険)とは 知っている人だけが得をする国の制度

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失業保険は知っている人だけが得をする制度です。
会社を辞めたからといって自動的にお金が振り込まれるわけでもありません。

実際に私も失業保険はなんとなく知っているけど、「雇用保険って何?」「失業給付?」「基本手当?」というくらい無知でした。
当たり前ですが、それらのことは誰も教えてくれません。インターネットの時代になり、身近に調べることができたのはここ最近のことです。

周りでも雇用保険(失業給付)って何?なんとなくはわかるけれども、という人は多いです。

私自身の話になりますが、以前会社を退職した時に失業保険のことを知らなかったため、手続きすらとっていませんでした。その当時手続きしていたら、失業給付や再就職手当を受け取ることができたでしょう。

本当にもったいないことをしたと思っています

知らないと損をするのが、この雇用保険(失業給付)の制度です。
ここでは雇用保険のことを詳しく説明いたします。

 

雇用保険とは? 失業給付とは?

「雇用保険」だとか「失業給付」だとかいろいろな言葉が出てきました。
他にも「失業手当」や「失業保険」「基本手当」などの言葉もあります。

一体どのような違いがあるのでしょうか?

昔は離職時に受け取れる保険のことを「失業保険」と呼んでいました。
1974年に失業保険制度から雇用保険制度に変更されたので、正しくは「雇用保険の失業等給付」です。

そして実際に1日ごとに支給されるお金を「基本手当」と呼びます。

ですがテレビやマスコミは今でも「失業保険」という名前を使って報道しています。
その方が一般的でわかりやすいからでしょう。

実は雇用保険は失業保険だけではありません。他にも「教育訓練給付金」や「育児休業給付」、「介護休業給付」、人を採用した際に支給される助成金なども含まれます。幅広い制度なんです。雇用保険は大きな箱で、その中に失業給付や他の給付制度が含まれているのです。

雇用保険のことは学校も会社も教えてくれません。
教えてくれているかもしれませんが、いざという時に役に立たなければどうしようもありません。

ですが今はインターネットの時代。パソコンやスマホがあればいつでも検索して必要な情報を集めることができます。

では具体的な雇用保険について説明していきます。

雇用保険はこんな制度

以下が代表的な雇用保険の内容です。

  • 失業期間中、失業給付が受け取れる(90日から360日)
  • 受給途中で就職しても再就職手当(最高7割)が受け取れる
  • 1年以上働いていれば(雇用保険に加入していれば)何度でも受け取れる
     ※自己退職以外は半年加入していれば受け取れる
  • 無料で職業訓練に通うことができる(終了まで失業手当を延長)
  • 資格取得のために費用の20%を支援、専門実践では年間最大168万円
  • 育児休業や介護で会社を休んでも給付が受けれる(給与の67%)
  • 失業給付には税金がかかならない

それ以外にもさまざまなメリットがありますし、本当に知らないと損する内容ばかりです。
今は必要ないかもしれません。でもいつかきっと必要になることもあるでしょう。

その時にもっと早く知っておけばよかった・・・なんてことがないように今のうちに是非理解してください。この知識さえあれば、その後の行動もきっと変わってくるはずです。

雇用保険の一番の役割は、会社を退職したときの生活費の支援です。

会社を辞めたら新しい仕事を探さなければなりません。ですが仕事なんてすぐに決まるわけではありません。場合によっては何ヶ月もかかるでしょう。その間の生活に困らないように支給されるのが「失業等給付の基本手当」、いわゆる失業保険なんです。

雇用保険の保険料はいくら?

失業保険は誰でも受け取れるわけではありません。

失業保険を受け取るには1年以上雇用保険に加入している(保険料を支払っている)必要があります。正社員やフルタイムで働いて人は当然給与から天引きされているかと思います。給与明細を見れば雇用保険料が引かれているはずです。

「自分はパート勤めだから関係ない」と思っている人もいるかもしれません。本当に関係ないのでしょうか?

アルバイトやパートであっても必要な加入要件を満たしていれば加入する必要があります。法律上、会社側で加入させなければなりません。

その条件として「週20時間以上かつ1ヶ月以上継続勤務」という条件です。
そして1年以上雇用保険に加入していれば失業保険が受けられるのです。

雇用保険の加入条件

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  2. 同一の事業所に継続して31日以上の雇用が見込めること

ブラック企業の場合は、わざと雇用保険に入らせないところもあるのです。
それはなぜかというと、「そもそも知識がない」「手続きが面倒くさい」「会社側も保険料を払わなければならない」「法的に罰則がない」など、いくつもの理由があるからです。ひとりの社員を加入させれば、全員分加入しなければなりません。

ですがこれは違法です。ハローワークに相談すればさかのぼって加入することもできます。

では実際に雇用保険の保険料はいくらでしょうか。

雇用保険の保険料

◆2022年の10月~の保険料

労働者負担 事業主負担 雇用保険料率
一般の事業 5/1,000 8.5/1,000 13.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 6/1,000 9.5/1,000 15.5/1,000
建設の事業 6/1,000 10.5/1,000 16.5/1,000

一般の事業での個人の負担は1,000分の5です。これは給料30万受け取っている人は0.5%である1,500円を毎月支払っていることになります。
会社側はもう少し支払う形です。年金や健康保険に比べてだいぶ安く感じるのではないでしょうか。

この保険料が会社を退職した際の失業給付の財源となります。

失業保険はいくらもらえるの、どれくらいのもらえるの

失業したときに受け取れるのが「失業等給付の基本手当」いわゆる失業保険です。
ですが、ただ会社を辞めれば誰でも受け取れるわけではありません。

上記で説明したとおり、まずは保険に一定期間加入している必要があります。それで初めて受け取ることができるのです。

では雇用保険は支払っていて必要な要件を満たしている場合、どれくらいの期間、どれくらいの金額が受け取れるのでしょうか。

人ぞれぞれ条件(退職理由、給与額、加入期間等)がありますので、詳しくは以下のページをご覧ください。

◆給付額についてはそれぞれの今まで受け取っていた給与の額によって変わってきます。
 ⇒雇用保険(失業給付)はいくらもらえるの?(図と例で解説)

◆給付期間は主に退職理由と雇用保険の加入期間によって変わってきます。
 ⇒雇用保険(失業給付)はいつまでもらえるの?

◆失業給付(基本手当)を自動計算します。
 ⇒失業保険の金額を計算(自動計算ツール)

簡単言ってしまえば、自己都合退職よりは会社都合退職の方が長い期間もらえ、前職の給与が高かった人がより多くの金額をもらえます(およそ前職の5割~8割程度。上限あり)。

雇用保険はある意味、民間の保険と同じような性質です。何かあった時の保険です。いざというときに自分がどのくらいの期間、いくら受け取れるのかを計算しておくとよいでしょう。

また手続後、すぐに就職が決まった場合でも「再就職手当」が受けとれる場合があります。最高で残日数の70%も受け取れます。失業手当を最後まで受け取らないと損だという人もいますが、再就職手当がその代わりになりますし、一括で受け取ることができます。

◆就職した際に受け取れる再就職手当
 ⇒再就職手当とは【支給条件から支給額・手続きまで図で解説】

雇用保険(失業給付)を受け取るために必要な手続き

雇用保険は失業したら自動的に入ってくるものではありません。当然手続きが必要です。

本人が直接ハローワークに行って手続きを行います。その手続を行なっていないと失業保険は受け取ることができませんし、その有効期限は退職した翌日から1年です。

退職後、1年の間に手続きして全て受け終える必要があります。1年を超えてしまうとたとえ残日数が残っていても失業保険は打ち切られます。※給付日数が330日の人は1年+30日、360日の人は1年+60日。

失業保険は1年以内に受けおわならないといけない

※2020年(令和2年)10月1日より、正当な理由がない自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは給付制限期間が3か月から2か月へと短縮されました。

◆退職からハローワークへの手続きまで
 ⇒雇用保険(失業給付)の手続きはいつまでに行えばよいのか

失業期間中に資格がとりたい、学校に通いたい

失業中に勉強したい、資格が取りたいという時はありますよね。その場合も雇用保険者向けに職業訓練があります。

キャリアチェンジを考えている人や資格取得やスキルを身に着けたい場合には職業訓練がオススメです。
仕事をしていたら勉強する時間は限られてしまいますから。

職業訓練の場合は、ほとんど3ヶ月~半年。長いもので最長2年コースがあります。

◆さまざまな職業訓練コースを紹介
 ⇒職業訓練校のコース一覧 

ハローワークで案内している多くの職業訓練は無料です。お金をかけずに通うことができます。更に失業保険を訓練終了まで延長して受け取れたり、交通費や受講手当(上限2万円で教科書代のようなもの)の支給まであります。

まさに至れり尽くせりの制度です。

職業訓練の主なコースとして、パソコンから簿記、介護、医療事務、WEB、プログラミング、不動産、保育、フード、ブライダル、CAD、貿易事務、ネイリスト、アロマセラピー、インテリアデザインなど、幅広くさまざまなな職業訓練コースがあります。

どのような保険給付があるのかその他の手当

雇用保険は失業給付以外にもさまざまな給付金の制度があります。

教育訓練給付制度と専門実践教育訓練

職業訓練とは少し違う教育訓練給付金制度というのがあります。資格取得等に費やしたお金の20%の給付を受けられるものです。職業訓練に通うには退職している必要がありますが、こちらは在職者でも受けることができます。よくユーキャンなどの通信教育や英会話スクール等で利用している人が多い給付制度です。

教育訓練給付制度(専門実践教育訓練)を利用してかしこく学ぼう

また2年コースや3年コースなど、実際の専門学校に通う場合の給付制度があります。こちらが専門実践教育訓練といいます。対象となる学校であれば、1年で最大56万円の支給を受けることができます。さらに45歳未満であれば失業手当の80%の支給を受けながら通うことも出来ます。

※2018年1月からは1年で最大56万円。失業手当80%とさらに多くの給付を受けることができるようになりました。それ以前は1年で最大48万円。失業手当の50%を支給。

専門実践教育訓練について

育児休業給付

育児休業給付金は雇用保険の制度で、働くママ(パパ)の育児休業中の生活を支援してくれる制度です。
子供が1歳又は1歳2ヶ月未満になるまで、休業開始前の賃金の67%(約3分の2)を支援する仕組みです。

育児休業給付について

介護休業給付

2週間以上にわたり常時介護が必要な方を介護刷る場合に支給されます(93日分が限度)
支援金額は休業開始時賃金日額の67%(約3分の2)です。

介護休業給付

その他の給付についてはこちらをお読みください。

「雇用保険の各種給付について」 一覧

まとめ(雇用保険の知識は絶対に必要)

このように雇用保険制度にはさまざまな給付の制度があります。全て覚える必要はありませんが、何となくでも覚えていれば今後の役に立つかもしれません。

国の制度というとは、誰かが親切に教えてくれるというものではありません。調べてみて初めて「こういう制度があるんだ」と知ることも多いでしょう。利用できるものは利用しないともったいない。

このサイトが少しでもお役にたてれば幸いです。

 

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