退職を決めたとき、一番つらいのは「何から手を付ければいいのか分からない」という状態ではないでしょうか。
退職日の調整、有給の消化、会社から受け取る書類、失業保険の申請、年金と健康保険の切り替え。やることが一気に押し寄せてきます。しかも、それぞれに期限があり、順番を間違えると手続きが遅れて生活が不安定になりかねません。
特に厄介なのは「退職前にやること」や「退職後○日以内が期限の手続き」です。ここを後回しにすると、あとから修正するのが難しくなります。
この記事では、退職前と退職後にやるべきことを時系列で整理しました。2025年4月の法改正(自己都合退職の給付制限が2ヶ月から1ヶ月に短縮など)や、窓口で実際に起きているトラブル事例も反映しています。チェックリスト形式になっているので、上から順に確認していけば抜け漏れを防げます。
■目次
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退職前にやるべきこと【チェックリスト付き】
まず全体像を把握しましょう。退職前は、以下の順番で整理すると迷いにくくなります。
【退職前にやることリスト(優先順)】
- 退職の意思を伝え、退職日を決める
- 引き継ぎと有給消化の計画を作る
- 退職前のうちに済ませたい契約・審査(クレジットカード、住まい等)を確認する
- 退職後の手続き(失業保険・年金・健康保険)に必要な書類を把握する
- 転職活動の準備を始める
この5つを順番にこなすだけで、退職後の動き出しがまったく変わります。一つずつ見ていきましょう。
退職の意思を会社に伝える(最初のステップ)
退職手続きの第一歩は、直属の上司に退職の意思を伝えることです。そのタイミングは会社の就業規則に記載されています。就業規則は通常、社内の共有スペースや人事部で閲覧できます。
法律上(民法627条)は、期間の定めがない雇用であれば、退職の申し入れから2週間で退職できます。ただし、会社側も引き継ぎや後任の手配が必要です。トラブルを避けるなら、就業規則に合わせて1ヶ月以上前に伝えるのが安全です。
退職届と退職願の違い
自己都合退職の場合は「退職届」を提出します。これは「自分の意思で退職する」ことを明文化した書類で、会社側は原則として拒否できません。
一方「退職願」は会社に対して退職をお願いする書類です。労働契約の解約を願い出るものなので、会社側の承諾があって初めて有効になります。似ているようで法的な意味がまったく違うので、間違えないようにしましょう。
※退職届と退職願は全く意味が違います。
会社都合退職の場合は退職届不要
会社都合の退職であれば、基本的に退職届を出す必要はありません。むしろ出してしまうと「自分で辞めたいと言った」として自己都合退職扱いにされる危険があります。
会社都合退職は失業保険の給付条件がかなり有利です。会社から退職届の提出を求められた場合でも、書面の文言を必ず確認してください。「一身上の都合」と書かされていないか、自己都合扱いにならないか、提出前にチェックすることが重要です。
会社が辞めさせてくれない場合の対処法
「君がいないと困る」「もう少し我慢してくれないか」「引き継ぎが来るまで待ってほしい」。退職を引き延ばされるケースは少なくありません。中には「違約金を請求する」と脅してくる会社もあります。
しかし退職は労働者の権利であり、会社が一方的に止めることはできません。これを前提に対処してください。
理不尽な圧力がある場合は、労働基準監督署に相談することも選択肢です。相談するにあたっては、証拠を残しておくことが極めて重要です。メールや書面はもちろん、音声の記録も有力な証拠になります。
証拠がないと言った・言わないになる
実際のハローワーク窓口では、退職理由を争うケースが後を絶ちません。たとえばパワハラで退職した場合でも、会社側が事実を否定すれば、客観的な証拠がなければ「単なる人間関係の悪化(自己都合)」と判定されてしまいます。日時が特定できるメールや録音、心療内科の診断書など、複数の証拠があるほど認定される可能性が高まります。
どうしても退職が進まない場合は、退職代行サービスの利用も検討できます。費用はサービスにより異なりますが(平均的な費用は25,000〜30,000円)、電話とメールのみで完結するケースもあります。
有給休暇の申請と消化
有給休暇が残っている場合は、退職日から逆算して「いつから消化に入るか」を決め、早めに申請しておきましょう。有給休暇は労働基準法で定められた働く人の権利です。
ただし、会社が繁忙などを理由に「時季変更」を求めるケースもあります。トラブルを避けるためにも、引き継ぎ計画とセットで日程を示し、退職日までに消化できる形で調整するのが安全です。
有給を使うことで、次の転職活動の準備や体調調整、今後の計画を立てる時間を確保できます。円満退社を目指しつつも、譲れない権利は行使しましょう。
クレジットカードの作成【退職前が安全】
クレジットカードは退職前に作成しておくほうが安全です。
クレジットカードの審査には安定した収入が求められる傾向があります。退職後や転職活動中は審査に通りにくくなる場合があります。既にカードを持っている場合は問題ありませんが、持っていない、または追加でカードが欲しい場合は退職前に手続きしましょう。
カードがあれば公共料金の支払いやネットショッピングが便利になります。カード被害に遭ったとしても、補償のあるカード会社が多いため、現金よりリスクを抑えられる場面もあります。
マイホーム購入・引越・保険の検討
マイホームの購入や引越を考えている人は、退職前に手続きを済ませるほうが進めやすい場合があります。
マイホーム購入
住宅ローンを組む際は、定職についていることが条件になりやすいです。退職後や転職活動中では審査に通りにくくなるため、購入を検討している場合は退職前に段取りを確認しておきましょう。
引越
賃貸物件の契約も同様です。定職についていないと借りられる物件が限られることがあります。退職する前に引越するか、次の就職先が決まってから引越すかを、現実的に判断してください。
転職活動の事前準備
「退職してからゆっくり就職活動しよう」と考える方もいますが、すぐに次の仕事が決まるとは限りません。希望職種にどのくらいの求人数があるのか、給与水準はどれくらいか、退職前から調査しておくと安心です。
転職サイトへの登録や求人情報の収集を退職前から始めることで、退職後の動き出しが格段に早くなります。
【2025年新制度】退職前に教育訓練を受けると、給付制限がなくなる
2025年4月からの新しい制度として、退職前1年以内に厚生労働省が定める「教育訓練等(教育訓練給付の対象講座や公共職業訓練など)」を受講していた場合、自己都合退職の給付制限(1ヶ月)が完全に免除されるという仕組みが始まりました。
つまり、在職中に資格取得の講座やスキルアップ研修を受けておけば、退職後の待機7日間が終わった時点から失業保険を受け取れるようになります。
これは退職後に教育訓練を受講する場合にも適用されます。ただし、退職後に受講する場合は、ハローワークで求職申込みを行った後、所定の期限までに受講を開始することが要件となります。給付制限の長さによって期限や扱いが変わるため、必ず事前にハローワークの窓口で確認しておくと安心です。
戦略的な退職プランニングが可能に
退職を検討しているなら、辞める前に教育訓練等を受講しておくことで、退職後の給付制限をゼロにできます。いわば「計画的な退職」をした人ほど有利になる制度設計です。退職を考え始めた段階で、対象となる訓練や講座を調べておくことをおすすめします。
退職後にやるべきこと【手続きの順番】
退職後にやるべき手続きは多岐にわたりますが、大きくは「①離職票の受け取りと確認」「②ハローワークでの失業保険手続き」「③年金・健康保険の切替」の3つが柱になります。この流れを頭に入れておけば、順番に進めるだけで大丈夫です。
退職時に会社から受け取る書類
退職時もしくは退職後に、会社から以下の書類を受け取ります。これらは次の手続きに必要なので、必ず保管してください。
離職票-1と離職票-2
離職票-1と離職票-2は、会社がハローワークへ手続きした後に発行され、退職後7日前後を目安に自宅に郵送されます(会社側の手続き状況により前後します)。ハローワークへの失業保険申請の際に必要です。また、配偶者の扶養に入る場合にも必要になります。
離職票を受け取ったら確認すべき3つのポイント
離職票が届いたら、ハローワークへ行く前に以下の3点を必ず確認してください。ここを見落とすと、失業保険の金額や受給開始時期に直接影響します。
【離職票の確認ポイント】
- 離職理由が正しいか(「会社都合」と「自己都合」で給付条件が大きく変わる)
- 賃金額が正しいか(過去6ヶ月分の賃金から基本手当日額が算出される。給与明細と照合)
- 勤務日数・雇用保険の加入期間に誤りがないか(受給資格の要件に関わる)
特に賃金額は、残業代や各種手当を含めた総支給額が記載されているかを確認しましょう。記載内容が実態と異なる場合は、ハローワーク窓口で指摘できます。
離職票が届かない場合の対処法
企業側は雇用保険法に基づき、退職の翌々日から10日以内(資格喪失日から起算して10日以内)に離職証明書をハローワークに提出する義務があります。しかし実際には、給与計算の締め日の関係で提出が遅れるケースが多発しています。
ここで知っておいてほしいのは、離職票が届くのを待っている間も、失業保険の起算日は進まないということです。失業保険の待機期間や給付制限は「ハローワークに求職の申込みをした日」からカウントが始まります。退職日からではありません。
つまり、離職票が届くのをのんびり待っていると、その分だけ最初の入金が遅れます。
【離職票の仮手続きに必要な書類】
- 退職証明書(会社から発行してもらう)
- 離職証明書の事業主控えの写し
- 給与明細や雇用契約書(退職の事実と賃金がわかるもの)
- 身分証明書やマイナンバーがわかるもの
退職日から12日ほど経過しても届かない場合は、ハローワークに相談しましょう。上記の書類があれば「仮手続き(受給資格の決定の仮手続き)」ができる場合があります。この仮手続きを行えば、離職票が届く前でも待機期間のカウントを開始できます。
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源泉徴収票
年度の途中で退職した場合、会社から源泉徴収票が送られてきます。次の就職先に提出するか、自身で確定申告する際に必要です。
雇用保険被保険者証
次の転職先に提出する必要がある書類です。入社時に渡される場合もあれば退職時に渡される場合もあります。手元にない場合や紛失した場合は、ハローワークで再発行できます。
年金手帳
年金手帳(または基礎年金番号通知書)は次の就職先で必要です。本来、会社は年金番号を確認したら本人へ返す流れが多いため、ご自身で保管しているケースが一般的です。見つからない場合は会社に確認しましょう。
失業保険の申請
次の就職先がすぐに決まる場合は失業保険の申請は不要です。そうでない場合は、離職票を受け取り次第、できるだけ早くハローワークで失業保険の申請を行いましょう。
雇用保険を1年以上(会社都合の場合は半年以上)加入していれば、失業保険を受け取れます。ただし、自己都合退職の場合は原則として1ヶ月の給付制限があります(2025年4月改正)。
なお、手続き後にはまず7日間の待機期間があります。自己都合退職の場合は、さらにその後1ヶ月間の給付制限が加わります。最初の入金は、待機7日と給付制限1ヶ月が終わった後の認定日(通常は4週間ごと)を経て振り込まれるため、申請から最短でも約1ヶ月半、一般的には約2ヶ月前後を見込んでおくと安心です。
なお、転職経験がある方は雇用保険の加入期間について知っておいてください。前職を辞めてから1年以内に次の会社で雇用保険に加入していれば、加入期間は通算されます。ただし、前職で失業保険を実際に受給した場合はリセットされます。
ハローワークでの手続き:持ち物と当日の流れ
失業保険の手続きをスムーズに進めるために、以下の持ち物を事前に準備しておきましょう。
- 離職票-1と離職票-2(会社から受け取ったもの)
- マイナンバーカード(ない場合は通知カード+身分証明書)
- 証明写真2枚(縦3cm×横2.5cm ※マイナンバーカード提示で省略可の場合あり)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑(認印でOK、シャチハタ不可)
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当日の流れは以下のとおりです。
STEP1:求職申込み
まず求職申込書を記入します。事前にハローワークインターネットサービスで仮登録しておくとスムーズです。希望職種や勤務条件は後から変更できるので、この段階では「とりあえず」で問題ありません。
STEP2:離職票の提出と受給資格の確認
窓口で離職票を提出し、雇用保険の受給資格があるかどうかを確認します。受給資格が認められれば「受給資格者のしおり」を受け取ります。
STEP3:雇用保険説明会の日程確認
手続きから約1〜2週間後に開催される「雇用保険説明会」の日時が指定されます(動画視聴で代替される場合もあります)。この説明会には必ず出席してください。
離職理由に納得できないときは窓口で異議を申し立てる
離職票の「離職理由」は、失業保険の給付内容を大きく左右します。会社都合(特定受給資格者)や、やむを得ない理由(特定理由離職者)に認定されると、給付制限がなくなり、給付日数も大幅に増える場合があります。
しかし実際には、会社側が「自己都合(一身上の都合)」として処理した離職票を受け取るケースが少なくありません。もし離職理由に納得できない場合は、ハローワークの窓口で異議を申し立てることができます。
ハローワークは双方に事実確認を行いますが、最終的には「客観的な証拠をどれだけ出せるか」がカギになります。以下に、認定されやすい代表的なケースと、必要になる証拠をまとめます。
| 離職理由 | 必要な証拠の例 |
|---|---|
| 病気・心身の障害で業務継続が不可能 | 退職日より前の日付の医師の診断書(退職後の事後的な診断書は認められにくい) |
| 妊娠・出産・育児・親族の介護 | 母子手帳、介護保険の認定書、通院を証明する資料 |
| 配偶者の転勤等による通勤困難 | 住民票の移動記録、配偶者の辞令のコピー(通勤時間が往復2時間以上が目安) |
| 契約更新を希望したが拒否された | 雇用契約書、更新を希望したメール・面談記録 |
| パワハラ・セクハラ | 録音データ、メール、労基署への相談記録、心療内科の診断書(複数の証拠が必要) |
特にハラスメントを理由とする場合、会社側はほぼ確実に事実を否定します。証拠がなければ「単なる人間関係の悪化」として自己都合に分類されてしまうので、在職中から記録を残しておくことが何より大切です。
具体的な失業保険の金額や期間を知りたい場合は、以下を参照してください。
失業認定(4週間に1回)とアルバイト申告の注意
失業保険を受け取るには、原則として4週間に1回、ハローワークで「失業認定」を受ける必要があります。これは「この期間中、確かに失業状態で求職活動を行っていたか」を確認する手続きです。認定を受けなければ、その期間分は支給されません。
受給中にアルバイトや内職をした場合は、必ず認定申告書で申告してください。1日4時間以上働いた日はその日の手当が繰り越しになり、4時間未満でも収入額に応じて減額される場合があります。
特に待期期間の7日間は「完全な失業状態」が前提です。この間に働くと待期期間のカウントが進まなくなるため、原則として避けたほうが安全です。判断に迷う場合は、事前にハローワークへ確認してください。
病気で退職した場合は「失業保険」と「傷病手当金」を間違えないこと
うつ病や適応障害など、健康上の理由で退職した場合に気をつけてほしいポイントがあります。それは、失業保険(基本手当)と健康保険の傷病手当金は、同時に受け取れないということです。
失業保険は「働く意思と能力があり、求職活動を行っているのに就職できない人」が対象です。つまり「まだ療養中ですぐには働けない」という状態では、そもそも受給要件を満たしません。
実際にハローワーク窓口で「現在も療養中で、すぐには働けない」と正直に申告したところ、失業保険の受給資格を否認されてしまった事例があります。しかも傷病手当金の手続きも後手に回り、一切の給付が受けられなくなったケースもあります。
病気で退職した場合は、以下のどちらかを選ぶ必要があります。
病気退職の場合の2つの選択肢
- 選択肢A:在職中から傷病手当金を受給し、退職後も継続受給する(最大1年6ヶ月)。この間、ハローワークで失業保険の「受給期間延長手続き」を行い、受給権を最長4年まで保留する。病気が治ったら延長を解除して失業保険に切り替える
- 選択肢B:主治医に「就労可能証明書」などを書いてもらい、前職のような業務は困難だが、条件付きの軽易な仕事や短時間労働なら可能であることを証明してもらう。これにより「限定的な労働能力あり」と認められ、特定理由離職者として給付制限なしで失業保険を受給できる可能性があります(ただし、窓口で「求職活動ができる状態であること」の説明が必要です)。
どちらの選択肢が合っているかは、病状や生活状況によって異なります。大切なのは、何の準備もなくハローワークに行かないことです。窓口で「すぐには働けない」と言ってしまうと、失業保険の受給資格を失いかねません。
すぐに働けない期間が30日以上続く場合の受給期間延長
病気だけでなく、妹娠・出産・育児、親族の介護などで、すぐに求職活動を始められない期間が30日以上続く場合は、「受給期間の延長」手続きが関係してきます。
失業保険の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間ですが、この延長手続きを行えば最長4年まで受給権を保留できます。「今は働けないけれど、いずれ就職活動をしたい」という方は、自己判断で放置せず、早めにハローワークで相談してください。
国民年金への切替
会社に勤めていたときは、年金と健康保険は社会保険として給料から引かれていました。退職後は自身で手続きして国民年金と国民健康保険に加入しなければなりません。
国民年金の加入手続きは各市区町村役場で行います。退職日の翌日から14日以内に手続きを行う必要があります。切替手続き自体は本人確認書類などで進められることが多いですが、失業による保険料免除を同時に申請する場合は離職票が役立ちます。
国民年金の保険料免除制度
国民年金には保険料免除制度があります。失業した場合や、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合が該当します。
免除には全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4段階があります。失業中であれば、本人の前年所得を除外して審査してもらえるため、免除が通りやすくなります。退職したら忘れずに申請しましょう。
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健康保険の切替【3つの選択肢】
会社の健康保険を抜ける場合、新たに以下3つから選択する必要があります。日本は国民皆保険制度であるため、何らかの公的医療保険に必ず加入しなければなりません。
退職後の健康保険の選択肢
- 健康保険の任意継続を使う
- 国民健康保険に切り替える
- 配偶者や両親等の扶養に入る
1. 任意継続
今加入している健康保険をそのまま継続する方法です。最長2年間加入できます。ただし、会社と折半していた保険料を全額自分で支払うことになります。とはいえ上限額が設けられているので、単純に2倍になるわけではありません。
2. 国民健康保険
退職日の翌日から14日以内に市区町村役場で手続きをする必要があります。国民健康保険料は前年の所得によって決まるため、前年度の所得が多ければ多いほど保険料が高くなります。
ただし、会社の倒産や解雇などによる離職、雇止めなどによる離職の場合は、国民健康保険料が軽減される場合があります。
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任意継続と国民健康保険の金額を比較して、安いほうを選びましょう。家族が多い場合は任意継続のほうがお得になるケースが多いです。
3. 扶養に入る
配偶者や親が会社の健康保険に加入している場合、扶養に入ることで健康保険料と国民年金保険料の負担がなくなります。
ただし注意点があります。多くの健康保険では、失業保険(基本手当)の受給が始まると「収入あり」とみなされ、扶養に入れない(または扶養から外れる)扱いになります。一方で、給付制限期間中のみ扶養に入れる場合もあるため、具体的な判定基準は加入先(協会けんぽ・健保組合)に確認しましょう。
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【注意】月末退職と月途中退職で保険料が変わる
意外と知られていないのが、退職日が月末か月途中かで社会保険料の扱いが変わるという点です。
社会保険料は「資格喪失日の属する月の前月分」まで徴収されます。月末退職(たとえば10月31日退職)の場合、資格喪失日は翌日の11月1日になるため、10月分まで社会保険料がかかります。
問題は、月末退職後にすぐ国民健康保険に切り替え、さらに同月内に新しい会社に就職した場合です。国民健康保険と新しい会社の社会保険で保険料の同月得喪による二重払いになるケースがあります。
この場合、新しい会社の保険証を持参して市区町村窓口で「国民健康保険の脱退手続き」をすれば、二重払いの分は還付されます。ただし、自動的に処理されるわけではなく、自分から手続きしないと返ってきません。忘れないように注意してください。
転職活動・職業訓練
退職前から事前に就職活動はしておきましょう。就職活動は退職後3ヶ月が一つの目安です。長引くほど生活の不安が大きくなりやすいため、早めに動くほうが有利です。
転職サイトに登録したり、ハローワークで行うセミナーに参加しましょう。
職業訓練も検討する
職業訓練も有力な選択肢です。新しい仕事に挑戦する場合、経験や資格がないと難しいこともあります。職業訓練で必要な知識を身につけ、資格を取得して挑戦する道があります。
職業訓練中は、失業保険を最後まで受けながら(延長給付で)通うことができ、交通費も支給されます。自己都合退職で給付制限が付いている場合でも、ハローワークの受講指示を受けて公共職業訓練などが始まれば、制限が解除され前倒しで支給されるケースがあります。
自分がどのような仕事につけばよいか迷っているなら、検討してみる価値は十分にあります。
4月開講の職業訓練コースであれば2年間の保育士や介護福祉士などの国家資格を格安で取得できるチャンスもあります。
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【2025年新設】教育訓練休暇給付金という選択肢
2025年10月から、退職せずにスキルアップを目指す人のための新しい制度「教育訓練休暇給付金」が始まりました。
これは、会社の就業規則に基づいて無給の教育訓練休暇を30日以上連続で取得した場合に、雇用保険から生活費が支給される制度です。いわば日本版の「学び直し休暇」と言えます。
支給額は失業保険と同じ計算方法で、賃金日額の50%〜80%(年齢等により異なる)が支給されます。雇用保険の加入期間によって支給日数が変わり、最大150日分まで受け取れます。
| 雇用保険の加入期間 | 支給日数(上限) |
|---|---|
| 5年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
「退職してから勉強する」のではなく、「会社に籍を置いたまま学び直す」という選択肢が現実的になりました。ただし、まだ導入している会社は限られているため、まずは自社の就業規則に教育訓練休暇制度があるかどうかを確認してみてください。
まとめ:退職前後の手続き、優先順位はこの3つ
退職前後は本当にやることが多いです。何をしなければならないのか、まずはリストをつくり、順番決めをしましょう。そうすれば慌てる必要はなくなります。
失業保険は、申請してもすぐに入金されません。待機7日と給付制限が終わり、認定日を経てから振り込まれます。離職票が届かない場合は12日を目安にハローワークで仮手続きを相談しましょう。退職前の段階で、最初の入金までの生活費も合わせて見通しを立てておくと安心です。
迷ったときの優先順位は次のとおりです。
- 退職前:退職日と有給消化を確定し、退職前にしか進めにくい手続き(審査等)を先に済ませる
- 退職直後:健康保険と国民年金(14日以内が目安)を優先する
- 書類到着後:離職票を受け取り次第、ハローワークで失業保険の申請を進める(届かなければ仮手続きを相談)
よくある質問
退職届はいつまでに出せばいいですか?
法律上は退職日の2週間前までですが、会社の就業規則を確認してください。多くの会社では1ヶ月前としています。円満退社を目指すなら、遅くとも1ヶ月以上前に伝えるのが賢明です。
退職前にクレジットカードを作るべきですか?
推奨します。退職後や転職活動中はクレジットカードの審査に通りにくくなる場合があります。既にカードを持っていれば問題ありませんが、追加で必要な場合は退職前に手続きしましょう。
退職後の手続きはどの順番で行えばいいですか?
優先順位は以下の通りです。
- 会社から必要書類(離職票、源泉徴収票など)を受け取る
- 健康保険の切替(退職日の翌日から14日以内)
- 国民年金への切替(退職日の翌日から14日以内)
- ハローワークで失業保険の申請
- 転職活動の開始
自己都合退職の給付制限期間は何ヶ月ですか?
2025年4月1日より、原則1ヶ月に短縮されました。ただし、過去5年間に2回、自己都合退職で受給資格決定を受けている場合、今回(3回目以降)は3ヶ月に延長されます。また、所定の要件を満たして教育訓練等を受講した場合は、給付制限が完全に免除されます。
離職票が届かない場合はどうすればいいですか?
退職日から12日ほど経過しても届かない場合は、ハローワークに相談してください。退職証明書や離職証明書の事業主控えの写し等があれば、受給資格決定の仮手続きができる場合があります。待っているだけでは失業保険の起算日が遅れるため、早めの行動が大切です。
病気で退職した場合、失業保険はすぐにもらえますか?
「すぐには働けない」状態の場合、失業保険の受給要件を満たしません。この場合は、健康保険の傷病手当金を先に受給し、ハローワークで失業保険の受給期間延長手続きをしておきましょう。病気が回復した後に延長を解除すれば、失業保険を受給できます。条件付きの軽易な業務なら可能な場合は、医師の証明書等があれば受給できるケースもあります。
有給休暇は退職前に必ず消化できますか?
有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利です。ただし、会社が繁忙などを理由に時季変更を求める場合もあるため、退職日までに確実に消化できるよう、早めに申請し引き継ぎ計画とセットで調整しましょう。
自己都合退職でも、すぐに失業保険をもらえるケースはありますか?
あります。「正当な理由のある自己都合退職」と認められれば、給付制限なしで受給できます。たとえば、通勤が困難になった場合(会社移転・転居等)、家族の介護が必要になった場合、妊娠・出産などが該当します。また、2025年4月からは退職前に教育訓練を受けた場合に給付制限が免除される仕組みも導入されています。該当しそうな場合は、ハローワークで相談してください。
失業認定日にハローワークへ行けない場合はどうなりますか?
指定された認定日に来所しないと、その期間の失業認定が受けられず、手当も支給されません。ただし、病気や冠婚葬祭などやむを得ない理由がある場合は、事前にハローワークへ連絡すれば認定日の変更が可能です。「行けない」と分かった時点で、必ず連絡するようにしてください。








