雇用保険(失業保険)の役立話

契約社員・派遣の失業保険|契約満了の給付制限と1ヶ月ルール【2026年】

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契約社員や派遣社員で働いていた方が契約期間満了で退職する場合、失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取るまでに給付制限期間がつくかどうかは、退職理由によって大きく変わります。

同じ「契約期間満了」でも、更新を希望したのに更新されなかった場合と、自分から更新を断った場合では、失業保険の受給条件がまったく異なります。給付制限がない場合は手続き後約1ヶ月で振込が始まりますが、給付制限がある場合は約1ヶ月半〜2ヶ月かかるのが一般的です。この違いは生活設計に大きく影響します。

特に派遣社員の場合、「1ヶ月ルール」という仕組みを知っているかどうかで、給付制限の有無が変わることがあります。また、契約書に「更新しない」と書かれていても、実際の運用次第では給付制限がつかないケースもあります。

この記事では、契約社員・派遣社員のよくあるケースごとに、給付制限がつくのかつかないのか、また給付日数の優遇措置があるのかを詳しく解説します。

※2025年4月改正により、自己都合退職の給付制限期間は「2ヶ月→1ヶ月」に短縮されました(5年間に2回まで)。

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失業保険の受給区分と給付制限の基本

契約期間満了で退職した場合、以下の3つのいずれかに分類されます。

特定受給資格者(会社都合に近い退職)

会社側の理由で契約が終了した場合です。

  • 給付制限:なし
  • 給付日数優遇:あり
  • 手続き後、約1ヶ月で振込開始

特定理由離職者(やむを得ない退職)

本人が更新を希望したのに更新されなかった場合や、病気・介護などやむを得ない理由での退職です。

  • 給付制限:なし
  • 給付日数優遇:一部あり(特定理由離職者1のみ)
  • 手続き後、約1ヶ月で振込開始

一般受給資格者(自己都合退職)

自分の意思で契約更新を断った場合などです。

  • 給付制限:あり(原則1ヶ月)※2025年4月改正
  • 給付日数優遇:なし
  • 手続き後、約1ヶ月半〜2ヶ月で振込開始

給付日数の優遇措置がある場合、最大で2倍近くの給付日数になることもあります。たとえば、35歳で雇用保険加入5年の方の場合、自己都合なら90日ですが、特定受給資格者なら180日です。

区分 給付制限 給付日数優遇
特定受給資格者 なし あり
特定理由離職者1 なし あり
特定理由離職者2 なし なし
一般受給資格者 あり(原則1ヶ月) なし

自分がどの区分に該当するかは、退職後に会社から送られてくる離職票-2の右端(離職理由コード)で確認できます。

離職票2で離職コードを確認

(参考)離職理由コード(詳細を詳しく説明)

(参考)特定受給資格者と特定理由離職者とは(失業保険が優遇されます)

契約社員の場合:ケース別の判定

契約社員の場合、契約書の内容と実際の退職経緯によって判定が分かれます。

特定受給資格者になるケース

給付制限なし、給付日数優遇あり

該当する退職理由:

  • 会社都合で契約満了を待たずに解雇された
  • 契約書に「更新あり」と明記されていたのに更新されなかった
  • 3年以上働いたが、その後更新されずに離職した(契約書の更新条項に関わらず)

「更新あり」の契約で働いていた方が更新されずに退職した場合は、特定受給資格者として扱われることがあります。

この区分はハローワークの個別判断になります。更新を希望していた事実(メール、面談メモ、更新打診への回答など)が残せる場合は、できるだけ整理しておくと説明がスムーズです。

また、3年以上同じ会社で契約更新を繰り返してきた実績がある場合、契約書に「更新の可能性なし」と書かれていても、雇用継続の期待権が認められ、特定受給資格者になる可能性があります。

注意:自分の意思で契約満了を待たずに途中退職した場合は、一般受給資格者(給付制限あり)となります。

特定理由離職者1になるケース

給付制限なし、給付日数優遇あり

該当する退職理由:

  • 契約期間が終了し、本人が更新を希望したにもかかわらず会社との合意に至らなかった

契約書の更新条項が「更新する場合がある(更新の可能性あり)」または「何も明示がない」場合に該当します。

このケースでは、会社側から「次の契約は更新しない」と言われた場合だけでなく、労働条件の変更(給与減額、勤務時間変更など)で合意できず契約更新に至らなかった場合も含まれます。

「更新したい意思があった」ことが前提になるため、口頭のやり取りだけで不安な場合は、更新希望の意思表示をした証拠(メール等)を残しておくと安心です。

特定理由離職者2になるケース

給付制限なし、給付日数優遇なし

該当する退職理由:

  • ケガや病気で働けなくなった
  • 両親や家族の介護が必要になった
  • 妊娠・出産・育児により退職(保育所に入所できない等含む)
  • 配偶者の転勤に伴う転居で通勤困難になった

体調不良の場合、診断書などの証明書類が必要になることがあります。また、介護の場合は要介護認定の書類などが求められる場合があります。

一般受給資格者になるケース

給付制限あり(1ヶ月)、給付日数優遇なし

特定受給資格者、特定理由離職者のいずれにも該当しない場合です。

具体例:

  • 契約書に「更新しない」と明記されているのを承知で入社し、契約満了で退職した
  • 更新の可能性があったのに、自分から「更新しない」と申し出た
  • 転職先が決まったため契約途中で退職した

ただし、契約書に「更新しない」と書かれていても、過去に更新された実績が複数回ある場合は、雇用継続への期待権が認められ、特定理由離職者1になる可能性もあります。この判断はハローワークで個別に行われます。

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派遣社員の場合:ケース別の判定と1ヶ月ルール

派遣社員の場合は、契約更新のパターンと派遣会社の対応によって判定が変わります。特に重要なのが「1ヶ月ルール」です。

更新を希望したのに更新されなかった場合

特定理由離職者1(給付制限なし、給付日数優遇あり)

契約更新を希望したにもかかわらず更新されなかった場合は、特定理由離職者1に該当します。これは契約社員の場合と同じ扱いです。

次の派遣先が決まらない場合:1ヶ月ルールが重要

派遣社員が派遣先との契約満了後、自分の意思で「更新しない(派遣会社も辞める)」と伝えた場合、原則として一般受給資格者(給付制限あり)になります。

ただし、契約満了後も「働く意思がある(就業継続の意思がある)」ことを派遣会社に伝えたうえで、仕事の紹介が成立しない状態が1ヶ月続くと、特定理由離職者1になれる可能性があります。

1ヶ月ルールの流れ:

  1. 派遣先との契約が満了する(本人は就業の意思あり)
  2. 派遣会社から次の仕事の紹介を受ける(紹介がない場合もある)
  3. 1ヶ月間、次の仕事が決まらない(紹介がない、または条件が合わない)
  4. 離職票の発行を依頼
  5. 特定理由離職者1として処理される(給付制限なし、給付日数優遇あり)

この1ヶ月の間に派遣会社から仕事の紹介があった場合、希望条件に合わない仕事であれば断っても構いません。ただし、どの条件が合わなかったのか(勤務地、勤務時間、賃金、通勤時間など)を説明できるようにしておくと安心です。

一方で、正当な理由なく紹介を断り続けると自己都合と判断されるリスクもあります。迷う場合は、断る前に「どの条件なら就業できるか」を派遣会社に明確に伝え、やり取りの記録(メール等)を残すことをおすすめします。

重要な注意点:

  • 1ヶ月待たずに離職票を請求すると、一般受給資格者(給付制限あり)になってしまいます
  • 派遣会社によっては1ヶ月ルールを説明せず、すぐに離職票を発行してくることがあります
  • 離職票が送られてきても、記載内容を確認し、納得できない場合はハローワークで異議申し立てが可能です

派遣社員の場合のケース(特定理由離職者か一般受給資格者)

3年以上の派遣契約後に更新されなかった場合

特定受給資格者(給付制限なし、給付日数優遇あり)

同一の派遣先で3年以上働いた後、更新されずに退職した場合は、特定受給資格者として扱われることがあります。これは雇用継続への期待権が認められるためです。

産休代替などの期間限定派遣の場合

産休代替や特定プロジェクトのための期間限定派遣の場合、契約時点で「更新なし」が明確であっても、実際の運用によって判定が変わることがあります。

特定理由離職者1になる可能性があるケース:

  • 産休代替で入ったが、実際には契約が複数回更新された
  • 「期間限定」と言われていたが、同様の仕事で他の派遣社員が継続雇用されている

このようなケースでは、ハローワークで個別に判断されるため、契約書類や更新履歴を持参して相談することをおすすめします。

やむを得ない理由での退職の場合

契約社員・派遣社員に関わらず、以下のような理由で退職した場合は、自己都合に見えても給付制限がつかない場合があります。

特定受給資格者になる可能性がある理由

給付制限なし、給付日数優遇あり

  • 賃金の未払いや遅延が複数回あった
  • 賃金が従来の85%未満に低下した
  • 残業時間が月45時間を超える月が3ヶ月連続、または月100時間を超える残業が1ヶ月あった
  • 上司や同僚からパワハラ・セクハラを受けた(証拠があることが望ましい)
  • 労働契約の内容と実際の業務が著しく異なる

これらの理由で退職する場合、証拠となる書類(給与明細、タイムカード、メールなど)を保管しておくことが重要です。

特定理由離職者2になる理由

給付制限なし、給付日数優遇なし

  • 体力や心身の障害により業務遂行が困難になった(医師の診断書が必要な場合あり)
  • 両親や家族の介護・看護が必要になった
  • 妊娠・出産・育児により退職(保育所に入所できない場合を含む)
  • 結婚や配偶者の転勤に伴う転居で通勤が困難になった(片道2時間以上など)
  • 事業所の移転で通勤が困難になった

体調不良の場合、「業務遂行が困難」と認められるには、通常の診断書だけでなく、就業が困難であることを明記した医師の意見書が必要になることがあります。

詳しくは厚生労働省の公式ページを参照してください。

(参考)特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

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離職票の内容に納得できない場合の対処法

会社から送られてきた離職票の退職理由が実際と異なる場合、そのままハローワークに提出する必要はありません。

ハローワークで異議申し立てができる

離職票を提出する際、ハローワークの窓口で「退職理由に異議がある」と伝えれば、実際の退職経緯を説明する機会が与えられます。

異議申し立ての流れ:

  1. 離職票提出時に「退職理由に異議がある」と窓口で伝える
  2. ハローワーク職員から退職の経緯を詳しく聞かれる
  3. ハローワークから会社に事実確認が入る
  4. 両者の主張を基にハローワークが最終判断

この場合、契約書、メールのやり取り、更新の申し出をしたことを示す証拠などがあると有利です。

会社との話し合いも有効

離職票が届く前、または届いた直後であれば、会社側と退職理由について再度話し合うこともできます。

会社によっては、離職者に有利になるような退職理由に変更してくれる場合もあります。特に、契約更新を希望したかどうかの認識が会社と本人で食い違っているケースでは、話し合いで解決できることがあります。

ただし、ハローワークは離職票に記載された内容を基に処理を行うため、最終的な判断はハローワークが行います。会社と本人の主張が食い違う場合は、ハローワークが間に入って事実確認を行います。

2025年4月改正:自己都合退職の給付制限短縮

2025年4月1日以降、正当な理由のない自己都合退職の場合でも、給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されました。

改正のポイント:

  • 2020年以降は「5年間に2回まで2ヶ月」でしたが、2025年4月以降は「5年間に2回まで1ヶ月」に短縮
  • 3回目以降は1ヶ月にならない可能性があるため、過去5年の回数が不明な場合はハローワークで確認
  • 給付制限期間中も求職活動は必要
  • 給付制限期間は「待機期間7日」とは別にカウント

改正により、一般受給資格者でも以前より早く失業保険を受け取れるようになりましたが、それでも特定受給資格者・特定理由離職者と比べると、約2〜4週間程度の差があります。

(参考)雇用保険(失業保険)はいつまでもらえるの?

まとめ

契約社員・派遣社員の契約満了では、退職理由の判定が失業保険の受給に大きく影響します。

契約更新を希望したのに更新されなかった場合は、給付制限なしの可能性が高く、派遣社員の場合は契約満了後に仕事の紹介がなければ1ヶ月待てば給付制限なしになる可能性があります。また、3年以上働いた後の契約満了は、給付日数優遇が受けられる可能性が高いです。

離職票が届いたら、まず離職理由コードを確認しましょう。もし実際の退職理由と異なる場合や、特定受給資格者・特定理由離職者に該当すると思われるのに一般受給資格者になっている場合は、ハローワークで異議申し立てができます。

退職理由の判定は、会社との話し合いやハローワークへの説明次第で変わることもあります。諦めずに、まずは正確な情報を持ってハローワークに相談することが大切です。

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