雇用保険(失業保険)の役立話

得する失業保険。仕事を辞めてもすぐに申請しない方がよい理由

更新日:

失業保険とはその名の通り、「失業保険した際に受け取れる保険(正確には失業等給付の基本手当)」のことです。

仕事を辞めたらすぐに失業保険を申請した方が良いのでしょうか?
場合によっては失業保険を申請した方が良い場合と、申請しない方が良い場合とがあります。

ここでは失業保険を申請した場合の「メリット」「デメリット」をわかりやすく説明していきます。また自己都合退職(3ヶ月間の給付制限あり)の場合のデメリットについても説明します。

失業保険の必要な書類や手続きについては以下を参考にしてください。
(図解でわかる)失業保険手続きから受け取りまでの流れ

 

失業保険を受けることのメリット

前提として言えることですが、既に就職先が決まっている場合は失業保険の申請をすることができません。失業保険とは、就職活動する上での生活支援だからです。

働かなくてもお金が手に入る

当たり前ですが失業保険の最大のメリットはここです。働かなくてもお金が受け取れること
また失業保険には税金がかかりませんので、確定申告も不要です。

毎月一定額の収入があることは大きな魅力です。
ただし、失業保険の額は退職前の6ヵ月の給与で決まるため、場合によっては少ないこともあります。

たとえば総支給額(額面)が以下の場合、

(例1)月30万円(40歳)⇒およそ月17万円の支給
(例2)月10万円(30歳)⇒およそ月8万円支給

※およそ離職前給与の5割~8割(下限、上限あり)

実際の金額が知りたい方は「失業保険の金額を計算(自動計算ツール) 」で計算することができます。

会社を退職するということは何らかの理由があるはずです。
特に人間関係の疲れや過度のプレッシャーなど、精神的なことが原因で体調を崩したり、うつ病を発症するケースも少なくありません。

失業保険は最低でも90日(およそ3ヶ月)は受け取ることができます。その間に心身ともに体調を整えリフレッシュすることでこれからの就職活動に専念することができるのです。

早く仕事が決まっても再就職手当を受けることができる

失業保険の手続きをした後、すぐに就職が決まったとしても無駄にはなりません。
給付日数が3分の1以上残っていれば再就職手当を受けることができます。

失業保険の手続きをした後にすぐに就職が決まった場合は、その後失業保険を受け取ることはできません。
ですが早期に就職が決まったとしても無駄にはなりません。失業保険の代わりとして「再就職手当」を受け取るとることができるからです。

再就職手当とは、まだ失業保険が残っている状況で早期に就職する場合に支給される手当のこと。
就職予定日までに全体の3分の2以上残っていればその70%。3分の1以上残っていればその60%が支給されます。(2017年1月改正)

再就職手当についての詳しい内容については、「再就職手当とは【支給条件から支給額・手続きまで図で解説】 」をご覧ください。

残り3分の2以上で70%、3分の1以上で60%を一括で受け取ることができます。

(例)1日の基本手当額5000円、給付日数180日の方が、就職予定日前日でまだ90日残っていたとしましょう。その場合、3分の2以上はありませんが、3分の1以上は残っています。

その場合「90日分×60%×5000円=27万円」となり、再就職手当として27万円を一括で受け取ることができます。

3分の1以下の残日数の場合は受け取ることができませんが、就職先で再度離職した場合は再び受け取ることも可能です。

再就職先で1年働けば、また失業保険を受け取ることができる

失業保険は過去2年間の間に12ヶ月以上の雇用保険加入期間があれば、再度失業保険を受け取ることができます。再就職先で1年間働いていれば何度でも失業保険を受け取ることができるのです

さらに雇止め、リストラ等の会社都合退職であれば6ヶ月の加入期間があれば受け取ることもできます。

一度受けたらそこで終わりということはありません。

職業訓練に通うことができる

職業訓練とは、新しい分野にチャレンジしたり、資格取得を目指すために通う学校のことです。
2ヶ月から最長2年のコースがあり、ほとんどが無料、1年以上のコースでもわずかなお金を支払うことで通うことができます。

さらに一定の要件(受講指示)を満たしていれば、訓練終了まで失業保険を延長して受け取ることもできます。
職業訓練の主な特徴
職業訓練の詳細については「知らないと損をする 職業訓練 のすべて 」 を参考にしてください。
制度説明からコース案内、申込手続きまでわかりやすく書かれています。

職業訓練に通うことは、新しい分野にチャレンジしたり、資格取得や苦手なことを克服することができる大きなチャンスとなります。

失業保険を受けることのデメリット

失業保険を申請して受け取ることのデメリットを説明していきます。

一度失業保険の手続きをしたら加入期間がリセットされる

失業保険の手続きをしたら今までの加入期間がゼロになり、リセットされます。

当然雇用保険の加入期間が長いほうが多くの失業保険を受け取ることができます。
特に会社都合で退職する場合は大きく変わってくるでしょう。

以下の図の場合、手続きをしたら再就職後は0からのスタート。手続きしない場合は11年目から継続してスタートすることになります。

失業保険の手続きをしたら過雇用保険加入期間が0になる

「すぐに就職できるようならあえて手続きをしない」という選択肢もありということです。
ですが再度1年間雇用保険に加入すれば受給資格は得られるのため、そこは考え方一つです。

早く働いた方が良い

失業保険の額は退職前6ヶ月間の平均給与のおよそ5割~8割の支給
年齢によって上限金額も設定されています。

2017年(平成29年)8月改正版

年齢 最低額(1日) 最高額(1日)
30歳未満 1,976円 6,710円
30歳以上45歳未満 1,976円 7,455円
45歳以上60歳未満 1,976円 8,205円
60歳以上65歳未満 1,976円 7,042円
※65歳以上 1,976円 6,710円

※65歳以上の方は「高年齢求職者給付金 となり30日もしくは50日の一時金での支給になります。

変更は毎年8月1日に行われます。

せっかく失業保険をもらえるのなら働かずに支給を受けた方が良いと考える人も多いでしょう。
ですが、そこには多くのデメリットがあることを知らなければなりません。

以下主な3つのデメリットです。

◆働いていない期間があれば就職に不利になる

失業保険を受けている間は当然無職です。無職期間が長くなればなるほど就職活動には不利になります。ブランクが長い人を採用側はどう見るのか? 考えてみたらわかります。

なるべくブランク期間はつくらないほうが良いのです。
3ヶ月ブランク期間があるとその後の就職率は低下するというデータもあります。(ハローワークより)
就職を決めるには離職後3ヶ月以内が良いということ。

それだけではありません。ブランク期間が長くなれば長くなるほど妥協しなければならなくなります。
最初は選り好みしていたものが次第に失業保険も終わりに近づくと、もう働ければどこでも良いという考え方になりがちです。

そのような考えで就職先を決めてしまうと、再度離職の可能性が高まってきます。

◆生活リズムが崩れてしまう

無職期間が長くなると生活リズムが崩れてきます。失業保険の手続きをしたら多くの人が当分はゆっくりしようと考えます。人間は本来怠け者。そのことを忘れてはいけません。

会社勤めの際は「強制的に時間管理」されていたため規則正い生活が出来ていました。
ですがそれが無くなるとどうなるでしょう。

最初は張り切って就職活動するかもしれませんし、朝早く起きてジョギングするかもしれません。
ですがそれが続くのは最初だけ。次第に夜型になって、朝方寝て昼過ぎに起きる生活へと変わっていくのです。

そうなると規則正しい生活リズムが作りづらくなってしまいます。

人の身体には体内時計があり、規則正しい生活をすることでそれを保つことができます。
規則正しい生活ができないと身体の維持管理が十分にできず必要な栄養素も吸収しずらくなり、それが元でやる気がでなくなったり病気になったりもします。

やる気という活力が出ないと、就職活動すらまともにできるわけがありません。
規則正しく生活することが活動する上でとても大切なことです。

◆すぐに働いた方が給与も多く、仕事経験を積むことができる

前述したように失業保険は前職給与の5割~8割しか受け取ることができません。
であれば、すぐに就職して働いた方がより多くの収入を得ることができます。

収入だけではありません。
働くことによって、その分の「仕事経験を得る」こともできます。

特に若い方はそうですが、実務経験を積み上げることが今後の仕事人生において大切な要素となります。

自己都合退職(3ヶ月の給付制限あり)の場合のデメリット

自己都合退職の場合でも、すぐに失業保険が出る場合と出ない場合があります。

自身の健康状態による退職や育児介護などの特定の理由がある場合はすぐに支給されますが、それ以外の自己都合退職の場合は3ヶ月の給付制限がつきます。

ここでは3ヶ月の給付制限が付く場合のデメリットを見ていきます。

3ヶ月の給付制限期間がある

3ヶ月の給付制限期間がある場合は、失業保険の手続き後3ヶ月待たないと支給が始まりません。

実際には手続きしてからお金が振り込まれるのが約4ヶ月後。
もちろんこの給付制限3ヶ月の間にアルバイトしても良いのですが、その分本来やらなければならない就職活動がおろそかになります。

3ヶ月(実際は振込まで4ヶ月)待つのであれば、手続きせずに再就職した方が賢明かもしれません

もらえる金額が少ない

自己都合退職の場合、会社都合退職に比べて給付日数が大幅に減ります
例えば35歳の方が10年勤めていた会社を退職したとします。

会社都合なら10年だと240日になるのに対し、自己都合なら120日です。
年齢に関係なく10年未満だと90日です。

■会社都合退職者

被保険者であった期間 6ヶ月以上1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

■自己都合退職(特定受給資格者、特定理由離職者1、就職困難者以外)

被保険者であった期間 6ヶ月以上1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢 90日 90日 120日 150日

再就職手当が出ない場合がある

再就職手当の条件として、給付制限期間3ヶ月の最初の1ヶ月に限り、「ハローワーク又は職業紹介事業者」の紹介でないと再就職手当を受けることができません。

ここは要注意です。あくまでハローワークでの紹介か、職業紹介事業者(転職エージェント等)の紹介でないと受け取れません。

例えば失業保険の手続きを行なった後に求人雑誌で希望の求人があり、そこに就職が決まったとします。
ですが給付制限期間1ヶ月目であれば、再就職手当が受け取れません。

もし「すぐにでも来てほしい」と依頼があった場合、上記のことを考えて就職日をずらすように相談する必要が出てくるかもしれません。2か月目に入れば再就職手当を受け取ることができます。

その場合の再就職手当の額は失業保険の7割。それを一括で受け取ることができます。

<参考>再就職手当とは【支給条件から支給額・手続きまで図で解説】

国民健康保険の軽減措置を受けられない

働いていた時には天引きされていた健康保険や年金。退職後は自分自身で直接支払わなければなりません。

多くの市区町村では失業者に対して国民健康保険の軽減措置を行なっています。
ですが3ヶ月給付制限のある自己都合者の場合は対象になりません

国民健康保険は前年度の収入によって金額が変わってきます。前年の収入が多いとその分支払額も増えてきます。
会社都合の場合は軽減措置がありますが、給付制限のある自己都合退職の場合はないところがほとんどです。

これに国民年金も加わると大変な負担になります。

国民年金の場合は「国民年金保険料免除制度」があります。
3ヶ月給付制限がある自己都合対象の場合でもこれに該当します。(ただし世帯収入要件があり)

詳しくは 国民年金を払えない場合は『国民年金保険料免除制度』を利用しましょう にわかりやすく書かれています。

まとめ

結論から言えば、会社都合で退職した場合は直ぐに失業保険の手続きをした方が良いと言えます。

すぐに支給を受けることができますし、最低でも90日以上の失業保険を受けることが出来るからです。
受給期間中に就職が決まっても、3分の1以上の給付日数を残していれば「再就職手当」を受けることもできます。

更に新しい就職先で1年以上雇用保険に加入すれば、再度離職したとしても失業保険を申請することができます。1年以上加入することで受給要件を満たせるからです。(会社都合退職の場合は6ヶ月)

考えたいのが自己都合で退職する場合。特に3ヶ月の給付制限が付く場合は迷うところ。
※自身の病気等でやむを得ず退職する場合はすぐに支給されます。

ハッキリ言うと、自己都合で失業保険を受け取るのは損です。
上記表の通り特に年齢が高く、雇用保険の加入期間が長ければ長いほど損になります。

実際に支給を受けられるのは4ヶ月後。しかも会社都合退職と比べて給付期間も短い。

「給付制限が付いた場合は失業保険を申請せずに再就職する」
そして将来、会社都合退職の場合に手続きをするという考え方も有りかもしれません。

最終的にはその人の置かれている立場によっても変わってきます。

 

-雇用保険(失業保険)の役立話
-, , ,

Copyright© 知らないと損する雇用保険(失業保険) , 2018 All Rights Reserved.