ハローワークは、正式名称を「公共職業安定所」といい、厚生労働省が運営する国の機関です。全国に544カ所あり、多くの人が利用しています(2026年1月時点)。
「会社を辞めた人が失業保険をもらいに行くところ」というイメージが強いかもしれませんが、実は在職中の人でも無料で利用できる就職支援機関です。
一言でまとめると、ハローワークは「失業保険の窓口」であり、同時に「仕事探し・職業訓練の無料サポート窓口」でもあります。

ハローワークの2大役割は「失業保険の給付」と「求職者支援」です。会社を辞めた人への生活支援だけでなく、新しい仕事を探す人、スキルアップしたい人、キャリアチェンジしたい人など、幅広い層が利用できます。
■目次
ハローワークは何をしてくれるのか?主なサービス一覧
ハローワークは部門ごとに以下のようなサービスを提供しています。
雇用保険課:失業保険の手続き
失業保険(正式には雇用保険の基本手当)の手続きを行う窓口です。仕事を失った人の生活を支援し、就職活動中の生活費を給付します。
給付される金額と期間は、雇用保険の加入期間、退職理由、年齢によって異なります。最低90日から、条件によっては最大360日まで受給できます。
受給中は4週間に1回「認定日」にハローワークへ来所し、失業状態であることを確認する必要があります。早期に就職が決まった場合は、再就職手当(失業保険残日数の最大70%相当)を受け取ることもできます。
職業相談部門:求人紹介と就職相談
就職を希望するすべての人に対して職業相談や求人情報の提供を行っています。対象者は以下の通りです。
- 離職者(退職した人)
- 在職中で転職を考えている人
- フリーター、ニート
- 新卒・既卒の学生
- 母子家庭の親
- 高齢者
- 生活保護受給者
専任の相談員が仕事の相談を受け、求人情報を提供します。ハローワーク内には求人検索用のパソコンが複数台設置されており、自由に求人を検索できます。
また、就職に必要なスキルを学べる各種セミナーも無料で開催されています。
- 履歴書・職務経歴書の書き方
- 面接対策
- ビジネスマナー
- コミュニケーションスキル向上セミナー
職業訓練部門:無料で専門スキルを習得
新しい仕事に就くために必要な技能や知識を習得できる職業訓練の相談・手続きを行う部門です。
職業訓練は大きく2つに分かれています。

- 公共職業訓練:失業保険を受給している人向け
- 求職者支援訓練:失業保険を受給していない人向け
コースは事務系から技術系まで幅広く、3カ月から2年コースまであります。受講料はほとんどが無料です(テキスト代等の実費は自己負担)。
さらに、失業保険受給者は訓練期間中も失業保険の給付を受け続けることができます。失業保険がない人でも、一定の要件を満たせば職業訓練受講給付金(月10万円)を受けながら訓練を受けられます。
参考:職業訓練について(知らないと損をする 職業訓練 のすべて)
専門援助部門:特別な支援が必要な人向け
専門的な援助を必要とする以下の方々に対する就職支援を行っています。
- 新卒・既卒の学生
- 子育て中の女性
- 障害者
- 外国人

新卒者支援では、大学等と連携し、未内定者への担当者制の職業相談や求人紹介、求人開拓を実施しています。
マザーズハローワークでは、子連れでも来所しやすいようキッズスペースを設置し、仕事と子育てが両立しやすい求人情報を重点的に収集・提供しています。地域密着型のため、保育園の情報なども得やすいのが特徴です。
障害者支援では、障害特性に応じた職業紹介や求人開拓を実施。近年は精神障害者や発達障害者など、特に支援が必要な方が増加傾向にあります。
事業所部門:企業向けサービス
企業はハローワークに無料で求人を掲載できます。民間の求人サイトでは数十万円から100万円近い掲載料がかかりますが、ハローワークは無料です。そのため、中小零細企業の求人割合が比較的高くなっています。
また、企業向けに以下のような助成金の相談・受付も行っています。
- 雇用調整助成金
- 特定求職者雇用開発助成金
- トライアル雇用助成金
- 障害者雇用関連の助成金
- キャリアアップ・人材育成関連
- 労働時間・賃金・健康確保関連
生活支援:生活に困っている人の相談窓口
生活に困っている人の窓口があり、自治体と連携して事業を行っています。
生活福祉資金貸付制度では、以下の方が対象です。
- 低所得者世帯(必要な資金を他から借りることが困難な世帯)
- 障害者世帯(障害者手帳の交付を受けた人がいる世帯)
- 高齢者世帯(65歳以上の高齢者がいる世帯)
継続的な相談支援と生活費などの資金貸付を行う「総合支援資金」もあります。生活に困っているようであれば、住所を管轄するハローワークで相談することをおすすめします。
ハローワークを利用するメリット
メリット1:誰でも無料で利用できる
ハローワークは国が運営する事業なので、誰でも無料で就職支援等を利用できます。「誰でも」「無料で」これが最大のメリットです。
民間の転職エージェントの場合、すべての人が支援を受けられるわけではありません。企業から紹介料をもらうビジネスモデルのため、「就職させやすい人(若い人、スキルがある人)」を優先的に支援する傾向があります。
ハローワークは国の事業なので、高齢者でもスキルがなくても職業支援を受けることができます。生活保護受給者やニート、長期の引きこもりの方でも、担当者制のプログラムで就職まで支援します。
メリット2:職業訓練や各種セミナーが無料で受けられる
職業訓練を受けて専門的な技術を身につけることができます。期間は3カ月から半年のコースが多く、受講料は無料です。民間のスクール等で同じような講座を受ける場合は数十万円かかるでしょう。それが無料で受けられ、さらに交通費や手当の支給まであります。
ただし入校選考があるため、希望者全員が受けられるわけではありません。
職業訓練以外にも教育訓練給付制度があります。「一般教育訓練」と「専門実践教育訓練」等に分かれており、一般教育訓練では受講費用の20%、専門実践教育訓練では最大で年間56万円(費用の70%)の給付を受けられます。
メリット3:求人数が日本一多い
ハローワークの求人数は日本一です。全国の求人から探すことができ、沖縄に住んでいても北海道に住んでいても、全国同じ求人情報を検索できます。
正社員等のフルタイム求人はもちろん、パートやアルバイトの求人も豊富です。ハローワークインターネットサービスでは、常時約100万件以上の求人が掲載されています(2026年1月現在)。ただし、求人掲載数は時期により増減します。
ただし、無料で求人を掲載できるため中小零細企業の割合が高めで、地域密着型の求人が多い傾向にあります。
また、公務員関連の求人や地方自治体の臨時職員など、民間の求人サイトには出ない求人も掲載されています。

ハローワークを利用するデメリット
デメリット1:求人に応募するには紹介状が必要
ハローワークの求人に応募する場合、必ずハローワークの紹介状を受け取る必要があります。
紹介状とは「この求人に対してこの方を紹介します」という内容のペラペラの紙1枚です。ハローワークインターネットサービスで良い求人を見つけても、必ず窓口に行って紹介状を受け取らなければなりません。
これは確かに面倒ですが、デメリットをメリットに変える使い方があります。窓口で紹介状を受け取る際に、以下のことを聞いてみましょう。
- この求人への応募者は何人くらいいるのか
- この企業で過去にトラブルや苦情はないか
- 求人票に書かれていない情報(職場の雰囲気、離職率など)
求人票には書かれていない貴重な情報が得られる可能性があります。
デメリット2:開庁時間が短い
ハローワークの開庁時間は通常、平日8時30分~17時15分です。
在職中の人にとっては、平日の日中しか開いていないのは利用しづらいでしょう。ただし、一部のハローワークでは以下のような延長サービスを実施しています(実施曜日・時間はハローワークにより異なります)。
- 平日夜間:8時30分~19時(特定の曜日のみ)
- 土曜開庁:10時~17時(月2回程度)
お住まいの地域のハローワークが延長サービスを実施しているか、事前に確認することをおすすめします。
デメリット3:ブラック企業の求人が混在している
「ハローワークの求人はブラック企業が多い」とよく言われます。これは完全に誤りではありません。
ハローワークの求人審査は最低限のチェックしか行われません。具体的には以下の項目です。
- 最低賃金を上回っているか
- 業務内容に違法性がないか
- 雇用保険や社会保険の加入が明記されているか
これらをクリアすれば求人を掲載できるため、「求人票の内容と実際の労働条件が違う」という問題が起こりやすいのです。
重要なポイント:求人票は「雇用契約書」ではありません。実際に大切なのは入社時に交わす「雇用契約書(労働条件通知書)」です。正式な会社であれば、採用時に雇用契約書を作成し本人へ渡します。この雇用契約書と実際の勤務状況や待遇が異なれば、それはブラック企業と言えるでしょう。
ブラック企業を見分けるポイント
以下のような求人は注意が必要です。
- 常に求人を出し続けている企業:年中募集している求人は、離職率が高い可能性があります
- 給与が業務内容に対して不自然に高い:誇大広告の可能性があります
- 求人内容が曖昧:「やる気次第で高収入」など具体性がない
- 試用期間が異常に長い:6カ月以上など
不安な求人については、職業相談窓口で相談してみましょう。過去のトラブル情報や応募状況など、有益な情報が得られる場合があります。
近年、ハローワークでもブラック企業対策を強化しており、苦情が多い求人や労働基準法違反の履歴がある企業の求人は掲載を断るケースも増えています。
ハローワークはこんな人におすすめ
ハローワークは以下のような人に特におすすめです。
- 失業保険を受給したい人:失業保険の手続きはハローワーク以外ではできません
- 無料で職業訓練を受けたい人:専門スキルを無料で学べます
- 地元で就職したい人:地域密着型の求人が豊富です
- 公務員・準公務員の仕事を探している人:民間サイトにない求人があります
- 年齢やスキルの面で民間エージェントでは支援を受けにくい人:誰でも平等に支援を受けられます
- 子育て中の女性:マザーズハローワークが利用できます
- 障害者:専門の支援窓口があります
ハローワークの利用方法(初めての人向け)
初回来所時の流れ
- 最寄りのハローワークへ行く(予約不要)
- 総合受付で「初めて来ました」と伝える
- 求職申込書に記入する
- ハローワークカード(求職番号が記載されたカード)を受け取る
- 職業相談窓口で相談・求人検索が可能になる
ハローワークインターネットサービスの活用
自宅からでもハローワークの求人を検索できます。ただし、ハローワークに設置されている求人検索機はリアルタイム更新ですが、インターネット版は1日1回(早朝)の更新です。
インターネットで良い求人を見つけたら、求人番号をメモしてハローワークへ行き、紹介状を受け取りましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. ハローワークは在職中でも利用できますか?
A. はい、利用できます。転職を考えている人、スキルアップのために職業訓練を受けたい人、教育訓練給付金を利用したい人など、在職中でも自由に利用できます。
Q2. ハローワークの利用に料金はかかりますか?
A. いいえ、すべて無料です。職業相談、求人紹介、セミナー参加、職業訓練の相談など、すべてのサービスが無料で利用できます。
Q3. ハローワークに登録すると会社にバレますか?
A. いいえ、バレません。ハローワークへの登録情報は守秘義務で保護されており、現在の勤務先に連絡が行くことはありません。
Q4. ハローワークの求人はすべてブラック企業ですか?
A. いいえ、そんなことはありません。優良企業の求人も多数あります。ただし、無料で求人掲載できるため、一部に問題のある企業が混在しているのも事実です。不安な求人については職業相談窓口で確認しましょう。
Q5. 失業保険をもらわなくてもハローワークは利用できますか?
A. はい、利用できます。失業保険を受給しなくても、求人検索、職業相談、セミナー参加などすべてのサービスが利用可能です。
Q6. 職業訓練は誰でも受けられますか?
A. 入校選考があるため、希望者全員が受けられるわけではありません。ただし、失業保険受給者か否か、年齢、スキルレベルなどによって適したコースがあり、相談窓口で自分に合った訓練を案内してもらえます。
Q7. ハローワークと民間の転職エージェント、どちらを使うべきですか?
A. 両方を併用するのがおすすめです。ハローワークは地域密着型求人や公務員求人に強く、民間エージェントは大手企業や専門職に強い傾向があります。それぞれの強みを活かして使い分けましょう。
まとめ:ハローワークは使い方次第で強い味方になる
ハローワークは失業した時だけでなく、スキルアップが必要な時、転職を考えている時にも利用できる公共機関です。
終身雇用制が崩壊しつつある現代では、女性も高齢者も働き続けることが求められています。民間の転職エージェントでは支援を受けにくい人でも、ハローワークでは誰でも平等に支援を受けられます。
ブラック企業が混在しているというデメリットはありますが、職業相談窓口で情報を聞き出すなど、使い方次第でリスクを減らすことができます。
無料で利用できる公共サービスですから、必要に応じて積極的に活用してみてはいかがでしょうか。