失業保険を受給している間にアルバイトをすることは可能です。しかし、働き方によっては失業保険が減額されたり、支給が止まったりするため、ルールを正しく理解しておく必要があります。
この記事では、失業保険受給中のアルバイトで気をつけるべき4つのポイントと、「4時間未満で働くと損なのか」「友人の手伝いは申告が必要か」といったよくある疑問について詳しく解説します。
■目次
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失業保険受給中のアルバイトで守るべき4つのルール
失業保険を受けながらアルバイトをする場合、以下の4つのルールを必ず守る必要があります。
※後半で説明する「給付制限期間中(原則1ヶ月間)」は、失業保険がまだ支給されていない期間のため考え方が一部異なります。
- 雇用保険に入らないこと(受給を継続したい場合)
- 1日4時間以上働いた日は、その日の失業保険は支給されない
- 1日4時間未満でも、収入によって減額される場合がある
- アルバイトや手伝いをしたら必ず申告する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 雇用保険に入らないこと
雇用保険に加入するような働き方をすると、「就職」とみなされて失業保険が打ち切られます。
雇用保険の加入要件
以下の条件を両方とも満たすと、雇用保険に強制的に加入しなければなりません:
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
たとえば「1日5時間、週4日のパート」(週20時間)でも、31日以上働く見込みがあれば雇用保険に加入しなければなりません。この場合、就職とみなされて失業保険は打ち切られます。
就職とみなされた場合
雇用保険に加入すると、その時点で失業保険はストップします。ただし、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っていれば「再就職手当 」が支給される可能性があります。
雇用保険の加入要件を満たす働き方をする場合は、必ず事前にハローワークに相談しましょう。
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2. 1日4時間以上働いた日は失業保険が出ない
1日4時間以上働いた日は、その日の失業保険は支給されません。ただし、支給がなくなるわけではなく、後ろにずれるだけです。所定給付日数は減りません。
4時間の定義
ここでいう「4時間」とは、実際に賃金が発生した時間だけではありません。何らかの労働や活動に4時間以上を費やした場合が対象です。
4時間以上とみなされる例:
- アルバイトで4時間以上働いた
- ボランティア活動に4時間以上参加した
- 友人の引越しの手伝いに4時間以上関わった
- 知人の店の手伝いを4時間以上した(無償でも該当)
賃金が発生しなくても、4時間以上何らかの労働に従事すれば「就労」とみなされます。
4時間以上働くと損をするのか?
「4時間以上働くと損」というわけではありません。その日の失業保険は後ろにずれるだけで、アルバイト収入+後日の失業保険の両方を受け取れます。
ただし、失業保険の受給期限(原則、退職日の翌日から1年間)を過ぎてしまうと、後ろにずれた分が受け取れなくなる可能性があるため注意が必要です。
3. 1日4時間未満でも収入によって減額される場合がある
1日4時間未満(かつ週20時間未満)で働いた場合は「内職・手伝い」扱いとなり、失業保険は支給されます。ただし、収入額によっては失業保険が減額されます。
4時間未満で働くと損をするのか?
結論から言うと、多くの場合は損をしません。減額されるケースは限定的で、ほとんどの場合は「アルバイト収入+失業保険満額」を受け取れます。
減額されるかどうかは以下の計算で判定されます。
減額される基準の計算方法
失業保険が減額されるかどうかは、以下の式で判定します:
基本手当日額 + アルバイト収入 ≦ 賃金日額の80% + 控除額(1,332円※)
※控除額は毎年8月1日に改定されます(上記は2024年度実績)。
この範囲内であれば失業保険は満額支給されます。超えた場合は、超えた分だけ減額されます。
具体例:月収30万円だった人のケース
賃金日額が10,000円(過去6ヶ月の平均が月収30万円)、35歳、給付日数90日の場合、基本手当日額は約5,687円になります。
満額受け取れるアルバイト収入の上限を計算:
- 賃金日額の80%:10,000円 × 0.8 = 8,000円
- 8,000円 + 控除額1,332円 = 9,332円
- 9,332円 - 基本手当日額5,687円 = 3,645円
この例では、1日あたり3,645円までのアルバイト収入なら、失業保険は満額支給されます。
時給1,000円で3時間働いた場合
時給1,000円 × 3時間 = 3,000円の収入
基本手当日額5,687円 + 収入3,000円 = 8,687円
8,687円 ≦ 9,332円(賃金日額80%+控除額)
→ 条件内のため、失業保険は満額支給
時給1,500円で3時間働いた場合
時給1,500円 × 3時間 = 4,500円の収入
基本手当日額5,687円 + 収入4,500円 = 10,187円
10,187円 > 9,332円(賃金日額80%+控除額)
→ 9,332円を855円超えるため、基本手当日額から855円が減額され、4,832円が支給
つまり、この例では時給1,000円で3時間なら満額もらえますが、時給1,500円で3時間だと少し減額されます。ただし、アルバイト収入4,500円+失業保険4,832円=合計9,332円は受け取れるので、働いた分が完全に無駄になるわけではありません。
「4時間未満で働くと損」という誤解について
「4時間未満で働くと減額されるから損」という情報を見かけることがありますが、これは誤解です。実際には:
- 減額されるのは、賃金日額の80%+控除額を超える収入のとき
- 減額されても、働いた収入+減額後の失業保険の合計は受け取れる
- 時給が低めのアルバイトなら、ほとんどの場合は満額支給される
むしろ、4時間未満で働けば「アルバイト収入+失業保険」の両方が得られるため、働かないより得です。
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4. アルバイトしたら必ず申告する
失業保険を受給するには、失業認定申告書に正直にアルバイトしたことを記入する必要があります。アルバイトだけでなく、内職・手伝い・ボランティアなど、「働いた(活動した)日」がある場合は申告対象と考えるのが安全です。
申告しなかった場合のペナルティ
アルバイトを隠して失業保険を受給すると「不正受給」となり、以下のペナルティが科されます:
- 受け取った失業保険の全額返還
- さらに不正受給額の2倍の額を納付(つまり合計3倍を支払う)
- 以降の失業保険の支給停止
申告は「バレる・バレない」ではなく必須
「少額なら大丈夫」と考えて申告しないと、後日不正受給と判断されるリスクがあります。どんなに小さな仕事でも、必ず申告しましょう。迷う場合は、認定日の前にハローワークへ相談すると確実です。
給付制限期間中(原則1ヶ月間)のアルバイト
自己都合退職で会社を辞めた場合、原則1ヶ月間の給付制限期間があります。この間は失業保険が支給されません。
※2025年4月の法改正により、自己都合退職の給付制限期間は「原則1ヶ月」に短縮されました(ただし、5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合退職の場合などを除く)。
給付制限期間中のアルバイトのルール
給付制限期間中は、失業保険がまだ支給されていないため、働いて収入を得ること自体は可能です。ただし、働いている間は「失業状態」ではない扱いになりやすい点に注意してください。
- フルタイムで働くこと自体は可能
- 雇用保険に加入する働き方もあり得る(その場合は就職扱い)
- ただし、働いていることをハローワークに報告する必要がある
- 失業保険を受け取るには、給付制限終了時点で「失業状態」に戻っている必要がある(受給を希望するなら、終了前に離職が必要)
もしそのまま就職となった場合は、条件を満たせば再就職手当の対象になります。
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待期期間中(7日間)のアルバイト
失業保険の手続き後、最初の7日間は「待期期間」と呼ばれ、失業状態であることを確認するための期間です。
待期期間中に働いてしまった場合
この7日間にアルバイト等をした場合、失業状態でないと判断され、待期期間の完成が遅れます(結果として受給開始が遅れる可能性があります)。
失業保険をスムーズに受け取るためには、手続き後の7日間は働かないほうがよいでしょう。万一働いてしまった場合は、認定日に正しく申告してください。
友人の手伝いや無償のボランティアも申告が必要?
「友人の手伝い」というクエリでこの記事に来る方が多いため、この点について詳しく説明します。
無償でも4時間以上なら申告が必要
失業保険の制度では、賃金が発生しなくても、労働とみなされる活動は申告が必要です。
申告が必要な例:
- 友人の引越しの手伝い(4時間以上)
- 知人の店舗の手伝い(4時間以上)
- 農作業の手伝い(4時間以上)
- ボランティア活動(4時間以上)
これらは賃金が発生していなくても、1日4時間以上を費やした場合は「就労」扱いとなり、その日の失業保険は支給されません(後ろにずれます)。
4時間未満の手伝いは?
4時間未満で賃金も発生していない場合でも、「手伝い(内職・手伝い)」として申告書に記入しておくほうが安全です。特に、繰り返し行っている場合や、実質的に仕事に近い内容の場合は判断が分かれることがあるため、事前にハローワークに相談しましょう。
まとめ:失業保険受給中のアルバイトで押さえるべきポイント
失業保険を受けながらアルバイトをする際の重要なポイントをまとめます:
- 週20時間以上、31日以上の雇用見込みのある働き方はNG(雇用保険加入→就職扱い)
- 1日4時間以上働いた日は失業保険が出ない(ただし後ろにずれるだけで消えない)
- 1日4時間未満なら多くの場合、失業保険は満額支給(収入が一定基準を超える場合のみ減額)
- どんなに小さなアルバイトでも必ず申告する(隠すと3倍返しのペナルティ)
- 友人の手伝いやボランティアも4時間以上なら申告が必要
- 待期期間(最初の7日間)は働かないほうがよい(受給開始が遅れる可能性)
- 給付制限期間(1ヶ月間)は働いてもOK(ただし報告が必要。受給を希望するなら終了時点で失業状態に戻す)
失業保険を受けながらアルバイトをすることは可能ですし、ルールを守れば「アルバイト収入+失業保険」の両方を受け取れます。「4時間未満で働くと損」というのは誤解で、実際には多くの場合、満額を受け取れます。
ただし、申告を怠ると重いペナルティがあるため、どんなに小さな仕事でも正直に申告することが大切です。迷ったらハローワークに相談しましょう。
よくある質問(FAQ)
失業保険受給中に4時間未満で働くと損をしますか?
いいえ、多くの場合は損をしません。4時間未満で働いた場合、失業保険は支給されますが、収入額によっては減額される場合があります。ただし、減額は「基本手当日額+収入」が「賃金日額の80%+控除額」を超えるときに発生し、時給が低めのアルバイトならほとんどの場合は満額支給です。減額されても、働いた収入と減額後の失業保険の合計は受け取れます。
友人の手伝いやボランティアも申告が必要ですか?
はい、賃金が発生しなくても、1日4時間以上を費やした手伝い・労働・ボランティアは申告が必要です。これらは「就労」扱いとなり、その日の失業保険は支給されません(後ろにずれます)。4時間未満で賃金もない場合でも、申告書に「手伝い(内職・手伝い)」として記入しておくほうが安全です。迷う場合はハローワークに相談してください。
失業保険受給中にアルバイトをしたら必ず申告しなければなりませんか?
はい、アルバイトや内職・手伝いなど、働いた(活動した)日がある場合は申告が必要です。申告しないと不正受給となり、受け取った失業保険の返還に加えて不正受給額の2倍の納付が求められるなど、重いペナルティがあります。迷う場合は認定日の前にハローワークへ相談してください。
1日4時間以上働いたら失業保険はどうなりますか?
1日4時間以上働いた日は、その日の失業保険は支給されません。ただし、支給がなくなるわけではなく後ろにずれるだけで、所定給付日数は減りません。アルバイト収入と後日の失業保険の両方を受け取れますが、受給期限(退職日の翌日から1年間)を過ぎると受け取れない可能性があるため注意が必要です。
給付制限期間中(1ヶ月間)はアルバイトできますか?
はい、給付制限期間中(2025年4月改正により自己都合退職の場合は原則1ヶ月間)は、失業保険がまだ支給されていないため働いて収入を得ること自体は可能です。ただし、働いていることはハローワークに報告が必要で、失業保険を受け取るには給付制限終了時点で失業状態に戻っている必要があります(受給を希望するなら終了前に離職が必要です)。
待期期間中(最初の7日間)にアルバイトをしてしまったらどうなりますか?
待期期間中にアルバイト等をすると、失業状態でないと判断され、待期期間の完成が遅れる可能性があります。その結果、受給開始が遅れることがあります。働いてしまった場合は、認定日に正しく申告してください。
週20時間以上働くとどうなりますか?
週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合、雇用保険に加入する必要があり「就職」とみなされて失業保険は打ち切られます。ただし、支給残日数が3分の1以上残っていれば再就職手当の対象になる可能性があります。該当しそうな場合は事前にハローワークに相談してください。