雇用保険(失業保険)の手続き 雇用保険(失業保険)の役立話

退職代行で失業保険をもらう手順|離職票が届かない時の対処法も解説

投稿日:

「退職代行を使って会社を辞めたいけど、失業保険ってちゃんともらえるの?」

最近、退職代行サービスを使って会社を辞める人が増えています。でも「退職代行で辞めたら自己都合になるの?」「離職票がもらえないって聞いたけど本当?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、退職代行を使ったからといって、失業保険がもらえなくなることはありません。失業保険がもらえるかどうかに関係するのは「なぜ辞めたか(離職理由)」であって、「どうやって辞めたか(退職代行を使ったかどうか)」ではないからです。

ただし、退職代行の種類や使い方を間違えると、離職票(失業保険の手続きに必要な書類)がなかなか届かなかったり、離職理由を会社と交渉できなかったりして困ることがあります。

この記事では、退職代行を使って辞めた場合に失業保険はどうなるのかを、2026年現在の法律にもとづいてわかりやすく解説します。

■目次

スポンサーリンク

退職代行で辞めても失業保険はもらえる?結論と基本ルール

退職代行を使ったかどうかは、失業保険をもらえるかどうかにはまったく関係ありません。ハローワークが見るのは次の2つだけです。

  • 辞めた理由(自己都合か、会社都合か)
  • 雇用保険に入っていた期間がどれくらいあるか

失業保険をもらうための条件

  • 自分から辞めた場合(自己都合)→ 退職日までの2年間に、雇用保険に入っていた期間が合計12ヶ月以上あること
  • 会社の都合で辞めた場合(会社都合)→ 退職日までの1年間に、雇用保険に入っていた期間が合計6ヶ月以上あること

「退職代行を使ったかどうか」はハローワークの審査では聞かれませんし、離職票にも書かれません。退職代行はあくまで「辞めたいという気持ちを会社に伝えてくれるサービス」なので、辞めた理由そのものとは別の話です。

退職代行を使うと「自己都合退職」になることがほとんど

退職代行を使う人の多くは「もう会社に行きたくない」「上司と話すのがつらい」という理由で利用しています。この場合、「自分から辞める」ことになるので、離職理由は基本的に「自己都合退職」として扱われます。

自己都合退職の場合、以前は失業保険がもらえるまで2ヶ月の待ち期間がありましたが、2025年4月の法改正で原則1ヶ月に短縮されました(ただし、過去5年以内に自己都合で3回以上辞めている場合は3ヶ月)。

退職代行を使っても「会社都合」になるケースがある

退職代行を使ったとしても、辞めた原因が次のどれかに当てはまれば、「会社都合」に近い扱い(特定受給資格者・特定理由離職者)になる可能性があります。

  • パワハラやセクハラを受けていた
  • 残業がひどかった(3ヶ月連続で月45時間超、または1ヶ月で100時間超など)
  • 給料が払われていなかった、または大幅に減らされた
  • 入社時に聞いていた労働条件と実際の仕事内容が大きく違っていた

ただし、ここで大事なのは一般的な民間の退職代行業者は「離職理由の交渉」ができないという点です。民間業者にできるのは「辞めます」と会社に伝えることだけです。「会社都合にしてほしい」と会社に交渉することは法律(弁護士法)で禁止されていて、これを「非弁行為」と言います。

退職代行の種類で「できること」が変わる

退職代行には大きく分けて3つの種類があります。種類によって、法律的にやっていいことが違います。失業保険をなるべく有利にもらいたい人は、この違いを知っておくことが大切です。

種類 「辞めます」と伝える 条件の交渉(有給消化・退職日など) 離職理由の交渉
民間業者 ◯ できる ✕ できない(違法になる) ✕ できない
労働組合が運営 ◯ できる ◯ できる(団体交渉権がある) △ 会社との交渉はできるが、最終判断はハローワーク
弁護士型 ◯ できる ◯ できる ◯ できる

パワハラや未払い残業代があって「会社都合」になる可能性がある人は、弁護士型か労働組合運営の退職代行を選びましょう。会社と交渉してもらうことができます。

退職代行の種類と「できること」の違い

労働組合が運営する退職代行は「団体交渉権」という法律上の権利を持っているので、会社に対して離職理由の変更を求めることができます。ただし、最終的に「会社都合」になるかどうかを決めるのはハローワークです。会社が「会社都合でいいですよ」と言ったとしても、ハローワークの調査で認められなければ会社都合にはなりません。法的にしっかり争いたい場合は、弁護士型が一番確実です。

一方、民間業者は費用が安い(2~3万円程度)のがメリットですが、できるのは「辞めます」と伝えることだけです。離職理由でもめる心配がなく、「とにかく辞めたい」という人には民間業者で十分です。

「労働組合と提携」と「労働組合が運営」は別物なので注意

退職代行を選ぶときに気をつけてほしいのが、「労働組合提携」と「労働組合運営」の違いです。

上の表で「労働組合が運営」と書いたのは、労働組合そのものが退職代行サービスを運営しているケースです。この場合は団体交渉権があるので、会社と交渉することが法律上認められています。

一方、「労働組合と提携」や「弁護士監修」と書いてある退職代行は、実態としては民間業者が運営していることがあります。あくまで民間業者が運営している以上、できることは民間業者と同じ(退職の意思を伝えるだけ)です。「提携」や「監修」という言葉があるだけで、交渉までやってくれるわけではありません。

【退職代行モームリ社長の逮捕について】

2026年2月、退職代行サービスの最大手だった「モームリ」の運営会社(株式会社アルバトロス)の社長らが、弁護士法違反の疑いで逮捕されました。

モームリは「労働組合提携」「弁護士監修」をうたっていましたが、実態は民間企業が運営する退職代行です。報道によると、退職交渉に関する仕事を弁護士に紹介し、その見返りとして紹介料を受け取っていた疑いが持たれています。この「報酬を得る目的で法律事務を弁護士にあっせんする行為」は、弁護士法で禁止されている「非弁提携」にあたります。

この事件は「民間業者が"提携"や"監修"を前面に出していても、実際にどこが運営しているかを確認することが大切」ということを示しています。退職代行を選ぶ際は、次の3点を必ずチェックしてください。

  1. 運営元は「弁護士」「労働組合」「民間企業」のどれか
  2. 「提携」「監修」ではなく、その組織自体が運営しているか
  3. 費用だけでなく、自分のケースで必要な「交渉」ができるかどうか

スポンサーリンク

退職代行を使った後、離職票が届かない場合の対処法

退職代行を使った後に一番多いトラブルが「離職票が届かない」というものです。

離職票とは、会社を辞めた後にハローワークで失業保険の手続きをするために必要な書類です。通常は会社が発行して、退職後に自宅へ郵送してくれます。

届くまでの目安

普通は退職してから10日~2週間で届きます。でも退職代行を使った場合は会社との関係が気まずくなっているので、会社が手続きを後回しにして3週間以上かかることもあります。

届かないときにやること

【離職票が届かないときの対処法】

  1. まずは退職代行業者に「離職票を早く出すように会社に言ってほしい」と頼む
  2. それでもダメなら、ハローワークに相談する(ハローワークから会社に催促してもらえる)
  3. 退職から2週間以上経っても届かない場合は、ハローワークで「仮手続き」ができないか相談する

法律では、会社は退職日の翌日から10日以内に離職票の手続きをしなければいけないと決まっています。退職から12日~2週間くらい経っても届かなければ、ハローワークの窓口に行って事情を話しましょう。「仮手続き」として、離職票が届く前に受給申請を始められるケースがあります(ただし、仮手続きができるかどうかはハローワークの判断になります)。

「届かないな…」と思いながら何もせずに放っておくのが一番よくありません。早めに動きましょう。

離職票が届かない時の行動フロー

退職代行を使った後の失業保険の手続き

退職代行で辞めても、失業保険の手続きの流れは普通の退職と同じです。ただ、退職代行を使った場合ならではの注意点もあるので、順番に見ていきましょう。

退職代行後の失業保険手続きフロー

ステップ1:必要な書類を準備する

【ハローワークに持っていくもの】

  • 離職票-1と離職票-2(会社から届く書類)
  • 雇用保険被保険者証(会社で雇用保険に入っていた証明書。なくしていてもハローワークで再発行できる)
  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)
  • 証明写真2枚(縦3cm×横2.5cm。スマホで撮ってコンビニ印刷でもOK)
  • 自分名義の通帳またはキャッシュカード(振込先の確認用)

ステップ2:ハローワークに行って求職申込みをする

離職票が届いたら(もしくは仮手続きが認められたら)、自分の住所を管轄するハローワークへ行きます。窓口で「仕事を探しています」と求職申込みをして、失業保険をもらう資格があるかどうかの確認を受けます。

ステップ3:離職理由を確認する(ここが一番大事)

退職代行を使った人にとって、このステップが一番重要です。

届いた離職票には「離職理由」が書かれています。もしこの理由が事実と違う場合は、ハローワークの窓口で「離職理由が違います」と自分で申し出ること(異議申し立て)ができます

たとえば、本当はパワハラや長時間残業が原因で辞めたのに、離職票に「自己都合」と書かれていたとしても、諦めなくて大丈夫です。パワハラの証拠(録音やLINEのスクリーンショットなど)やタイムカードのコピーをハローワークに持っていけば、ハローワークが会社に事実確認をしてくれます。その結果、会社都合に変更される可能性があります。

ステップ4:待機期間と給付制限を待つ

ハローワークで受給資格が決まってから7日間は「待機期間」といって、誰でも待たなければいけない期間です。

その後、自己都合退職の場合はさらに1ヶ月の「給付制限」があり、この期間は失業保険が支給されません。会社都合と認められた場合は、この給付制限がなく、待機期間が終わればすぐに支給が始まります。

スポンサーリンク

退職代行で辞めるときに失業保険で損しないための3つのポイント

ポイント1:辞める前に「証拠」を集めておく

退職代行を使うと、辞めた後に会社から証拠を取ることはほぼできなくなります。パワハラや長時間残業が原因で辞めるなら、退職代行を頼む前に次のものを確保しておいてください。

  • タイムカードや勤怠記録のコピー・スクリーンショット
  • パワハラ発言の録音データやLINE・メールのスクリーンショット
  • 給与明細(残業時間が書いてあるもの)
  • 就業規則や労働条件通知書のコピー

これらは辞めた後にハローワークで離職理由を争うときの武器になります。辞める前にスマホで写真を撮っておくだけでもOKです。

ポイント2:会社都合にできそうなら弁護士型を選ぶ

民間の退職代行業者は離職理由の交渉ができません。パワハラや残業超過が原因なら、弁護士型の退職代行を選ぶことで「会社都合」にできる可能性が高くなります。

弁護士型は費用が5~10万円くらいかかりますが、会社都合になると給付制限(1ヶ月の待ち)がなくなり、失業保険をもらえる日数も増えることがあります。トータルで見れば費用以上にメリットがあるケースも多いので、目先の安さだけで選ばないようにしましょう。

ポイント3:離職票が届かなくても放っておかない

退職代行を使った後、離職票が届かないまま何週間も放置してしまう人がいます。でも、放っておくとその分だけ失業保険をもらい始めるのが遅くなります。

ここが大事:失業保険の「期限」

失業保険をもらえる期間は「退職した日の翌日から1年間」と決まっています。手続きが遅れて受給のスタートが後ろにずれると、本来もらえるはずの金額を全額受け取れなくなることがあります。離職票が届かないなら催促する、届かなくてもハローワークに相談する。とにかく早めに動くことが大切です。

まとめ

退職代行を使っても、失業保険は問題なくもらえます。ただし、退職代行の「種類」と「辞める前の準備」によって、もらえる条件が大きく変わります。

この記事のポイント

  • 退職代行を使ったこと自体は失業保険に影響しない
  • ただし、退職代行の種類によって「離職理由の交渉」ができるかどうかが変わる
  • 「労働組合提携」「弁護士監修」は民間業者と同じ扱いなので注意(モームリの事件がその典型)
  • パワハラや残業超過が原因なら、弁護士型を選ぶのがベスト
  • 辞める前に証拠(タイムカード・録音・LINE等)を確保しておくことが一番大事
  • 離職票が届かない場合は、退職後12日~2週間を目安にハローワークへ相談する

スポンサーリンク

よくある質問(FAQ)

退職代行を使ったことがハローワークにバレる?

A. バレません。ハローワークの手続きで「退職代行を使いましたか?」と聞かれることはありませんし、離職票にも書かれません。

Q. 退職代行で即日退職した場合、失業保険に影響する?

A. 即日退職したこと自体は影響しません。ただし、退職日が月末か月の途中かによって、その月の社会保険料(健康保険・年金)の扱いが変わります。できれば月末退職のほうが保険料面では有利です。

退職代行で辞めた後、会社が離職票を出してくれない場合は?

A. ハローワークに相談しましょう。ハローワークから会社に「離職票を出してください」と催促してもらえます。それでも会社が出さない場合は、退職から2週間くらい経った時点で「仮手続き」として申請を始められることがあります。

退職代行を使うと「自己都合退職」確定?

A. そうとは限りません。退職代行を使ったかどうかと離職理由は別の話です。パワハラや残業超過、給与未払いなどが原因であれば、証拠をハローワークに出して認められれば、会社都合に変更できる可能性があります。

退職代行の費用は失業保険の金額に影響する?

A. 影響しません。失業保険の日額は、退職前6ヶ月間の給与(ボーナスは含まない)をもとに計算されるので、退職代行の費用はまったく関係ありません。

退職代行モームリは使っても大丈夫?

A. モームリは2026年2月に運営会社の社長が弁護士法違反の疑いで逮捕されており、今後のサービス提供がどうなるかは不透明な状況です。退職代行を選ぶ際は、「民間業者」「労働組合運営」「弁護士型」のどれに該当するかをしっかり確認してから依頼しましょう。「労働組合提携」や「弁護士監修」と書いてあっても、運営元が民間企業であれば交渉はできません。

雇用保険被保険者証って何?届かない場合はどうする?

A. 雇用保険に加入していたことを証明する書類です。通常は離職票と一緒に会社から届きますが、届かない場合やなくした場合は、ハローワークで再発行してもらえます。本人確認書類を持っていけばOKです。

参考・出典

  • 厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年成立)」
  • ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」
  • 厚生労働省「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」
  • e-Gov法令検索「弁護士法(第72条 非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)」
  • 時事通信「『退職代行モームリ』社長と妻逮捕 弁護士法違反容疑」(2026年2月3日)

-雇用保険(失業保険)の手続き, 雇用保険(失業保険)の役立話
-,