「アルバイトやパートでも雇用保険に入れるのか」「週何時間から加入できるのか」「給与明細に雇用保険料が引かれていないけど大丈夫なのか」。こうした疑問を持つ方は多いでしょう。
雇用保険は正社員だけのものではありません。一定の条件を満たせば、アルバイトやパートでも加入できます。コンビニバイトでも飲食店のパートでも同じです。
雇用保険に加入していれば、退職後の失業給付だけでなく、再就職手当や職業訓練、育児休業給付などさまざまな給付を受けられます。保険料は給与の0.55%(一般の事業)と少額ですが、いざという時の保障は大きいものです。そもそも条件を満たしていれば、法律で加入が義務付けられています。個人の意思で加入するかどうかを決めることはできません。
■目次
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雇用保険の加入条件(2つの要件)
アルバイトやパートでも、以下の2つの要件を両方満たせば雇用保険に加入できます(加入しなければなりません)。正社員だけが対象というわけではありません。
雇用保険の加入要件
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上継続して雇用される見込みがあること
この2つを満たしていれば、雇用形態に関係なく原則として加入対象です(学生等の例外を除く)。逆に、どちらか一方でも満たしていなければ加入できません。
具体例:コンビニでアルバイトする場合
加入できるケース
1日4時間、週5日働く場合 → 週20時間なので雇用保険に加入します(1か月限定の短期バイトでない限り)。
加入できないケース
1日3時間、週4日働く場合 → 週12時間なので雇用保険に加入できません。
週20時間以上働いていれば、コンビニバイトでも雇用保険の対象になります。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなど、どのコンビニチェーンでも同じ基準です。
雇用契約書で所定労働時間を確認する
アルバイトやパートでも、会社は「雇用契約書(労働条件通知書)」を交付する義務があります。この書面には、契約期間、勤務時間、休日、賃金などが明記されています。
週の所定労働時間が記載されているので、20時間以上かどうかを確認できます。シフト制で週ごとに変動する場合は、契約上の所定労働時間がどう定められているかが判断のポイントです。
雇用保険に加入できない4つのケース
加入要件を満たせば原則として強制加入ですが、個人の状況によっては加入できない(適用除外となる)場合もあります。
1. 所定労働時間が週20時間未満、または31日未満の雇用
そもそも加入要件を満たしていない場合です。勤務時間を増やすか、契約内容を変更してもらうことで対応できる場合もあります。
2. 本業が学生の場合
大学生など、学業が本業の学生は、加入条件(週20時間以上)を満たしていても原則として雇用保険に加入できません。
その理由は、学業が本業だからです。アルバイトを辞めても「失業した」という状態にはあたりません。雇用保険は失業時の生活保障なので、学業が本業の学生は対象外です。
ただし、以下の場合は例外的に加入できます。
学生でも加入できる例外ケース
- 通信制、夜間、定時制の学生
- 卒業見込み証明書があり、卒業後もその会社で働く場合(内定者など)
3. 既に別の勤務先で雇用保険に加入している(ダブルワーク)
雇用保険の加入は1人1つが原則です。労災保険とは異なり、1人が複数の勤務先で同時に加入することはできません。
1か所で既に雇用保険に加入している場合、別のバイト先で加入要件を満たしても、そちらでは加入できません。新しいバイト先には、既に加入している旨を伝える必要があります。
ダブルワーク時の加入先の選び方
どちらの勤務先で加入するかは、「主たる賃金を受けている雇用関係(給料が高い方や労働時間が長い方)」で判断します。原則として、メインの勤務先1社でのみ加入することになります。
※例外として、65歳以上の方は、本人がハローワークに申し出ることで2つの勤務時間を合算できる「マルチジョブホルダー制度」があります。
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4. 農林水産業の個人経営で5人未満の事業所
原則として、従業員を1人でも雇っていれば雇用保険の強制適用事業所となります。
ただし例外があり、農林水産業(農業、林業、漁業)の個人経営で、常時雇用する従業員が5人未満の場合は「暫定任意適用事業所」にあたります。この場合、事業主と労働者の過半数が希望しない限り、加入しないことができます。
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雇用保険に加入しているか確認する方法
自分が雇用保険に加入しているかどうかは、給与明細で確認できます。
雇用保険に加入していれば、所得税と同様に「雇用保険料」が給与から天引きされています。給与明細に「雇用保険料」の項目があり、金額が引かれていれば加入しています。引かれていなければ加入していません。
雇用保険料は会社と労働者がそれぞれ負担します。個人の負担額は給与の0.55%(2025年度・一般の事業の場合)です。
- 月給10万円なら:約550円
- 月給20万円なら:約1,100円
この程度の金額ですので、大きな負担ではありません。
条件を満たしているのに未加入の場合
週20時間以上働いていて、31日以上の雇用見込みがあるのに、給与明細から雇用保険料が引かれていない場合、会社が加入手続きを怠っている可能性があります。
特に個人経営のお店や小規模な事業所では、手続き漏れや勘違いが起きるケースもあります。以下の手順で確認してください。
【雇用保険に未加入かもと思ったら】
- 雇用契約書で「週の所定労働時間(20時間以上)」を確認する
- 雇用期間が「31日以上(または更新あり)」になっているか確認する
- 直近の給与明細で「雇用保険料」の控除があるかを確認する
- 条件を満たしているのに控除がない場合、店長や総務担当に理由を確認する
加入要件を満たしているのに加入させないのは法律違反です。「うちはパートは入れない決まりだから」という会社の独自ルールは通用しません。会社に確認しても対応してもらえない場合は、ハローワークに相談しましょう。
雇用保険に加入するメリット
雇用保険に加入することで、さまざまな給付を受けられます。失業給付が最もよく知られていますが、それだけではありません。
- 失業給付(基本手当):退職して仕事を探している間に受け取れる手当
- 再就職手当:早期に就職が決まった場合、所定給付日数の残りに応じて最大70%を受け取れる
- 教育訓練給付金:資格取得などの講座費用の一部が戻ってくる
- 育児休業給付金:育休中に給与の50〜67%程度を受け取れる
- 介護休業給付金:介護休業中に給与の67%程度を受け取れる
保険料は月数百円〜千円程度。この少額の負担で、退職時やライフイベントの際に大きな保障を受けられるため、加入できる条件であれば加入漏れがないようにすべきです。
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まとめ
アルバイトやパートでも、週20時間以上働いていて31日以上働く見込みがあれば雇用保険に加入できます。コンビニバイトや飲食店のパートなど、多くのアルバイトが対象です。
ただし、学業が本業の学生やダブルワークで既に他で加入している場合は、条件を満たしても加入できません。雇用保険は1人1つが原則です。
給与明細で雇用保険料が引かれているかを確認し、条件を満たしているのに未加入の場合は会社に確認しましょう。それでも対応されなければ、ハローワークに相談してください。
雇用保険に加入していれば、失業給付、再就職手当、職業訓練、育児休業給付など多くの給付を受けられます。加入要件を満たしているなら、必ず加入手続きが行われているか確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. コンビニバイトでも雇用保険に入れますか?
週20時間以上働いていて、31日以上働く見込みがあれば、コンビニバイトでも雇用保険に入れます。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなど、チェーンに関係なく同じ基準です。
Q. 雇用保険に加入したくない場合、断れますか?
加入要件を満たしている場合、個人の意思で断ることはできません。会社には加入させる法的義務があります。保険料は給与の0.55%(一般の事業の場合)と少額で、失業時や育休時のメリットが大きいため、正しく加入しましょう。
Q. パートで雇用保険料が引かれていません。違法ですか?
週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあるのに未加入であれば、会社が法律に違反している可能性があります。まずは雇用契約書と給与明細を確認し、会社の人事・総務に問い合わせてください。対応がない場合はハローワークに相談しましょう。
Q. ダブルワークで2つのバイト先があります。両方で加入できますか?
できません。雇用保険は1人1つが原則です。通常は「主たる賃金を受けている(給料が高い)」方の会社で加入します。もう一方の会社には、他で加入していることを伝えてください。
Q. 大学生のアルバイトは雇用保険に入れますか?
学業が本業の大学生は原則として入れません。ただし、定時制や通信制の学生、夜間学部の学生、または卒業予定で卒業後も引き続きその会社で働くことが内定している場合は加入できます。
Q. 自己都合で退職した場合、失業保険はすぐもらえますか?
2025年4月の制度改正により、自己都合退職の給付制限期間は従来の2か月から原則1か月に短縮されました(5年間に2回までの離職に限る)。待期期間(7日間)と給付制限(1か月)を経て受給できます。ただし、過去5年間に2回以上の自己都合退職による受給がある場合(今回が3回目となる場合など)は、3か月の給付制限となります。
Q. 雇用保険に加入するとどれくらい保険料がかかりますか?
2026年度(令和7年度)の時点では、一般の事業における労働者負担率は給与の0.55%です。月給10万円なら月550円、月給20万円なら月1,100円です(※料率は年度により見直される可能性があります)。