雇用保険(失業保険)の役立話

退職前にやることリスト&退職後の手続き【2026年最新】

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退職を決めたときに一番困るのは、「何から手を付ければよいか分からない」状態です。退職日、有給の消化、会社から受け取る書類、失業保険の申請、年金と健康保険の切り替えまで、やることが一気に増えます。

ここで順番を間違えると、手続きが遅れて生活が不安定になりやすくなります。特に「退職前にしかやりにくいこと(審査や契約)」と、「退職後○日以内が期限の手続き」は、後から修正しづらいポイントです。

この記事は、退職前と退職後を時系列で整理し、迷いがちな点だけ補足します。チェックしながら進めれば、抜け漏れを減らせます。

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退職前にやるべきこと【チェックリスト付き】

まず全体像です。退職前は、次の順で整理すると迷いにくくなります。

  1. 退職の意思を伝え、退職日を決める
  2. 引き継ぎと有給消化の計画を作る
  3. 退職前のうちに済ませたい契約・審査(カード、住まい等)を確認する
  4. 退職後の手続き(失業保険・年金・健康保険)に必要な書類を把握する
  5. 転職活動の準備を始める

退職の意思を会社に伝える(最初のステップ)

退職手続きの第一歩は、直属の上司に退職の意思を伝えることです。そのタイミングは会社の就業規則に記載されています。就業規則は通常、社内の共有スペースや人事部で閲覧できます。

退職届のタイミング

法律上(民法627条)は、期間の定めがない雇用であれば、退職の申し入れから2週間で退職できます。ただし、会社側も引き継ぎや後任の手配が必要です。トラブルを避けるなら、就業規則に合わせて1ヶ月以上前に伝えると安全です。

退職届と退職願の違い

自己都合退職の場合は「退職届」を提出します。これは「自分の意思で退職する」ことを明文化したもので、会社側は原則として拒否できません。

一方「退職願」は会社に対して退職をお願いする書類です。労働契約の解約を願い出るものなので、会社側の承諾があって初めて有効になります。

会社都合退職の場合は退職届不要

会社都合の退職であれば、基本的に退職届を出す必要はありません。むしろ出してしまうと、「自分で辞めたいと言った」として自己都合退職扱いにされる可能性があります。会社都合退職は失業保険の給付条件が有利になるため、会社から書類提出を求められた場合でも、書面の文言(自己都合扱いにならないか)を必ず確認してから対応しましょう。

会社が辞めさせてくれない場合の対処法

「君がいないと困る」「もう少し我慢してくれないか」「引き継ぎが来るまで待ってほしい」など、退職を引き延ばされるケースは少なくありません。中には「違約金を請求する」といった脅しをかけてくる会社もあります。

しかし退職は労働者の権利であり、会社が一方的に止めることはできません。これを前提に対処してください。

理不尽な圧力がある場合は、労働基準監督署に相談することも選択肢です。メールや書面、音声などのやり取りは証拠として残しておきましょう。

どうしても退職が進まない場合は、退職代行サービスの利用も検討できます。費用はサービスにより異なりますが、電話とメールのみで完結するケースもあります。

有給休暇の申請と消化

有給休暇が残っている場合は、退職日から逆算して「いつから消化に入るか」を決め、早めに申請しておきましょう。有給休暇は労働基準法で定められた働く人の権利です。

ただし、会社が繁忙などを理由に「時季変更」を求めるケースもあります。トラブルを避けるためにも、引き継ぎ計画とセットで日程を示し、退職日までに消化できる形で調整するのが安全です。

有給を使うことで次の転職活動の準備や体調調整、今後の計画を立てる時間を確保できます。円満退社を目指しつつも、譲れない権利は行使しましょう。

【重要】クレジットカードの作成

クレジットカードは退職前に作成しておくほうが安全です。

クレジットカードの審査には安定した収入が求められる傾向があります。退職後や転職活動中は審査に通りにくくなる場合があります。既にカードを持っている場合は問題ありませんが、持っていない、または追加でカードが欲しい場合は退職前に手続きしましょう。

クレジットカード作成

カードがあれば公共料金の支払いやネットショッピングが便利になります。カード被害に遭ったとしても、補償のあるカード会社が多いため、現金よりリスクを抑えられる場面もあります。

マイホーム購入・引越・保険の検討

マイホームの購入や引越を考えている人は、退職前に手続きを済ませるほうが進めやすい場合があります。

マイホーム購入

住宅ローンを組む際は、定職についていることが条件になりやすいです。退職後や転職活動中では審査に通りにくくなるため、購入を検討している場合は退職前に段取りを確認しておきましょう。

引越

賃貸物件の契約も同様です。定職についていないと借りられる物件が限られることがあります。退職する前に引越するか、次の就職先が決まってから引越すかを現実的に判断してください。

転職活動の事前準備

「退職してからゆっくり就職活動しよう」と考える方もいますが、すぐに次の仕事が決まるとは限りません。希望職種にどのくらいの求人数があるのか、給与水準はどれくらいか、退職前から調査しておくと安心です。

転職サイトへの登録や求人情報の収集を退職前から始めることで、退職後の動き出しが早くなります。

退職後にやるべきこと【手続きの順番】

退職時に会社から受け取る書類

退職時もしくは退職後に、会社から以下の書類を受け取ります。これらは次の手続きに必要なので、必ず保管してください。

離職票1と2

離職票1と2は、会社がハローワークへ手続きした後に発行され、退職後7日前後を目安に自宅に郵送されます(会社側の手続き状況により前後します)。ハローワークへの失業保険申請の際に必要です。また、配偶者の扶養に入る場合にも必要になります。

離職票1離職票2

源泉徴収票

年度の途中で退職した場合(3月末退職など)、会社から源泉徴収票が送られてきます。次の就職先に提出するか、自身で確定申告する際に必要です。

源泉徴収票

雇用保険被保険者証

次の転職先に提出する必要がある書類です。会社が作成して本人へ渡します。入社時に渡される場合もあれば退職時に渡される場合もあります。手元にない場合や紛失した場合は、ハローワークで再発行できます。

雇用保険被保険者証

年金手帳

年金手帳は次の就職先で必要です。本来、会社は年金番号を確認したら本人へ返す流れが多いため、ご自身で保管しているケースが一般的です。見つからない場合は会社に確認しましょう。

上記以外にも該当者によっては、厚生年金基金加入員証、年金基金脱退一時金請求書兼取扱方法選択届、生命保険預金口座振替依頼書などがあります。

失業保険の申請

次の就職先がすぐに決まる場合は失業保険の申請は不要です。そうでない場合は、ハローワークへ失業保険の申請に行きましょう。

雇用保険を1年以上(会社都合の場合は半年以上)加入していれば、失業保険を受け取れます。ただし、自己都合退職の場合は原則として1ヶ月の給付制限があります(2025年4月改正)。

※2025年4月1日より、自己都合退職の給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されました(5年間に2回まで)。なお、手続き後には7日間の待機期間もあります。最初の入金時期は、待機7日+給付制限1ヶ月が終わった後、最初の認定日(通常は4週間ごと)を経て振り込まれるため、申請から最短でも約1ヶ月半、一般的には約2ヶ月前後を見込んでおくと安心です。

◆参考記事

具体的な失業保険の金額や期間を知りたい場合は、以下を参照してください。

◆参考記事

国民年金への切替

会社に勤めていたときは、年金と健康保険は社会保険として給料から引かれていました。退職後は自身で手続きして国民年金と国民健康保険に加入しなければなりません。

国民年金の加入手続きは各市区町村役場で行います。退職日の翌日から14日以内に手続きを行う必要があります。なお、切替手続き自体は本人確認書類などで進められることが多いですが、失業による保険料免除を同時に申請する場合は離職票が役立ちます

国民年金の保険料免除制度

国民年金には保険料免除制度があります。所得が少なく、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合などが該当します。

免除の基準となるのは、本人・世帯主・配偶者の前年所得です。全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除があります。

◆詳しくは以下をご覧ください。

健康保険の切替【3つの選択肢】

会社の健康保険を抜ける場合、新たに以下3つから選択する必要があります。日本は国民皆保険制度であるため、何らかの公的医療保険に加入しなければなりません。

  • 健康保険の任意継続を使う
  • 国民健康保険に切り替える
  • 配偶者、両親等の扶養に入る

1. 任意継続

今加入している保険を継続して(上限2年間)加入することです。ただし会社と折半していた保険料を全額自分で支払わなければなりません。とはいえ上限も設けられているので、単純に2倍になることはありません。

2. 国民健康保険

退職日の翌日から14日以内に市区町村役場で手続きをする必要があります。国民健康保険は前年の所得によって保険料が決定するため、前年度の所得が多ければ多いほど保険料が増えます。

ただし、会社の倒産や解雇などによる離職、雇止めなどによる離職の場合は、国民健康保険が軽減される場合があります。

◆参考記事

1と2の金額を比較して、安い方を選びましょう。家族が多い場合は任意継続の方がお得な場合が多いです。

3. 扶養に入る

配偶者や親の扶養に入る場合です。扶養に入れば国民年金や健康保険料を支払う必要はなくなります。もちろん扶養する側が健康保険に加入している必要があります。

ただし扶養する側が健康保険協会や組合に入っていなければいけません。また金額にもよりますが、多くの健康保険では、失業保険(基本手当)の受給が始まると「収入あり」とみなされ、扶養に入れない(または扶養から外れる)扱いになります。一方で、給付制限期間中のみ扶養に入れる場合もあるため、具体的な判定基準は加入先(協会けんぽ・健保組合)に確認しましょう。

◆参考記事

転職活動・職業訓練

退職前から事前に就職活動はしておきましょう。就職活動は退職後3ヶ月が一つの目安です。長引くほど生活の不安が大きくなりやすいため、早めに動くほうが有利です。

ネットで転職サイトに登録したり、ハローワークで行うセミナーに参加しましょう。

職業訓練も検討する

職業訓練も一つの手段です。新しい仕事に挑戦する場合、経験や資格がないと難しい場合もあります。職業訓練で必要な知識を身につけ、資格を取得して挑戦することもできます。

職業訓練中は、失業保険を最後まで受けながら(延長)通うこともできますし、交通費も支給されます。自己都合退職で1ヶ月の給付制限が付いている場合でも、職業訓練が始まれば初日より前倒しで支給されます。

自分がどのような仕事につけば良いのか迷っているなら検討してみましょう。職業訓練の詳しい内容については以下のサイトをご覧ください。

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まとめ

退職前後は、やることが多いため「順番」だけ先に決めると迷いが減ります。退職前は、退職日と有給消化を固め、引き継ぎの見通しを立てたうえで、退職前にしか通りやすい審査(クレジットカード、住まいの契約など)を先に片付けるのが安全です。

退職後は、期限が近い手続きから進めます。健康保険と国民年金は退職日の翌日から14日以内が目安です。ここが遅れると、保険証がない期間ができたり、保険料の扱いが複雑になったりします。

失業保険は、申請してもすぐに入金されません。待機7日と給付制限が終わり、認定日を経てから振り込まれます。退職前の段階で、最初の入金までの生活費も合わせて見通しを立てておくと安心です。

最後に、迷ったときの優先順位は次のとおりです。

  1. 退職前:退職日と有給消化を確定し、退職前にしか進めにくい手続きを先に済ませる
  2. 退職直後:健康保険と国民年金(14日以内が目安)を優先する
  3. 書類到着後:離職票を受け取り次第、ハローワークで失業保険の申請を進める

よくある質問

退職届はいつまでに出せばいいですか?

法律上は退職日の2週間前までですが、会社の就業規則を確認してください。多くの会社では1ヶ月前としています。円満退社を目指すなら、遅くとも1ヶ月以上前に伝えるのが賢明です。

退職前にクレジットカードを作るべきですか?

推奨します。退職後や転職活動中はクレジットカードの審査に通りにくくなる場合があります。既にカードを持っている場合は問題ありませんが、持っていない、または追加でカードが欲しい場合は退職前に手続きしましょう。

退職後の手続きはどの順番で行えばいいですか?

優先順位は以下の通りです。

  1. 会社から必要書類(離職票、源泉徴収票など)を受け取る
  2. 健康保険の切替(退職日の翌日から14日以内)
  3. 国民年金への切替(退職日の翌日から14日以内)
  4. ハローワークで失業保険の申請
  5. 転職活動の開始

自己都合退職の給付制限期間は何ヶ月ですか?

2025年4月1日より、自己都合退職の給付制限期間は原則1ヶ月に短縮されました(5年間に2回まで)。以前は3ヶ月、2020年10月からは2ヶ月でしたが、現在は原則1ヶ月です。

有給休暇は退職前に必ず消化できますか?

有給休暇は労働基準法で定められた労働者の権利です。ただし、会社が繁忙などを理由に時季変更を求める場合もあるため、退職日までに確実に消化できるよう、早めに申請し引き継ぎ計画とセットで調整しましょう。

退職後すぐに転職先が決まった場合、失業保険は申請すべきですか?

次の就職先がすぐに決まる場合は失業保険の申請は不要です。失業保険は「就職する意思があり、就職できる能力があるにもかかわらず、就職できない状態」の人が対象です。すでに就職先が決まっている場合は該当しません。

会社が辞めさせてくれない場合はどうすればいいですか?

退職は労働者の権利です。理不尽な圧力がある場合は労働基準監督署に相談しましょう。メールや書面、音声などのやり取りを証拠として残すことが重要です。どうしても退職が進まない場合は、退職代行サービスの利用も検討できます。

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